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IELTSリーディングの見出し照合(Matching Headings):段落の要旨をどうつかむか

執筆:高橋 響 公開日: 最終更新:

段落ごとに見出しを選ぶ設問で、候補のリストと本文のあいだを何度も往復してしまうことがあります。読めていないわけではないのに、選んだ見出しが後の段落と入れ替わっていた、という失点の仕方をする設問タイプです。

この記事では、Matching Headings(見出し照合)で何が問われているのかを設問の指示文から確認したうえで、段落の要旨をつかみそこねる3つの誤読を具体例で整理します。判断の軸は一つで、その見出しが段落のどこか一部を指しているのか、段落全体をまとめているのかを見ます。

01Matching Headings は何を問う設問か

Matching Headings は、段落全体が何を述べているかを一言でまとめた見出しを、候補のリストから選ぶ設問です。特定の一文の内容ではなく、段落の要旨と見出しが対応しているかが問われます。

試験用紙には、次のような指示文が印刷されています。

Matching Headings の指示文

Reading Passage 1 has six paragraphs, A-F.
Choose the correct heading for each paragraph from the list of headings below.
Write the correct number, i-ix, in boxes 1-6 on your answer sheet.
NB There are more headings than paragraphs, so you will not use them all.

指示文からは次のことが読み取れます。見出しの候補は段落の数より多く用意されていること、答えるのは見出しの番号であること、そして使わない見出しが残ること。候補が余るという前提を持っておくと、消去法だけで最後の段落を埋める解き方から離れられます。

指示文の前に Example として1つの段落の答えが示されていることがあります。その見出しはすでに使われているので、残りの段落の候補からは外れます。例が示されているかどうかは、設問に取りかかる前に確認しておきたいところです。

この設問が難しく感じられる理由

難しさは英文の難易度そのものではなく、候補の見出しが互いに似せて作られている点にあります。段落の内容を正しく理解していても、候補のうち2つが同じ話題を指していて、片方が段落の一部だけを、もう片方が段落全体をまとめていることがあります。どちらも本文の内容として間違っていないので、内容の正誤では選べません。

そのため、この設問で見るのは「本文に書かれているかどうか」ではなく「段落全体をカバーしているかどうか」です。候補の見出しを本文と照合する作業ではなく、段落の要旨を自分の言葉で一言にしてから候補を見る作業だと考えると、往復の回数が減ります。

リーディング IELTSリーディング設問タイプ完全攻略:10種類の特徴とつまずきやすいポイント、対策の方向性

02冒頭の一文だけで見出しを決める誤読

2-1 1文目の話題を、段落の要旨だと思う

本文

Early attempts to farm oysters relied on wooden stakes driven into the seabed, a method borrowed from coastal communities in southern Europe. The technique produced reliable yields in sheltered bays, but it could not be used where currents were strong. It was the introduction of floating rafts in the 1970s that finally allowed cultivation to move into open water, and within a decade the industry had tripled in size.

見出しの候補

i The origins of a European technique
ii A change that opened up new locations
iii The damage caused by strong currents

1文目に borrowed from coastal communities in southern Europe とあるi を選んでしまう

1文目と2文目は、3文目の変化を導くための前置き段落が述べているのは浮き筏の導入で外洋へ広がったこと。ii が段落全体をまとめている

なぜ読み違えるのか

英語の段落はトピックセンテンスから始まると習うため、1文目を要旨として受け取る読み方が身についているためです。ところが IELTS の本文では、旧来のやり方や一般に信じられていることを先に置き、それを受けて後半で転換を述べる構成がよく使われます。この形では、1文目は要旨ではなく比較の対象として置かれています。

解答では何が起きるか

1文目の話題で見出しを決めると、その見出しが本来は別の段落の答えだった場合に、2つの段落の答えが入れ替わります。Matching Headings は同じ見出しを2度使わない設問なので、1つのずれが隣の段落まで巻き込むことになります。

読むときのポイント

however、but、yet、it was ... that のような転換や強調の合図が段落の後半にあるときは、そのあとの一文まで読んでから見出しを選びましょう。段落の最後の一文が要旨を担っていることは珍しくありません。1文目だけで見出しを決めず、転換や強調の合図があればその後ろの内容まで確かめてから候補に目を移すだけでも、この型の取り違えはかなり減ります。

03段落の一部だけを指す見出しを選ぶ誤読

候補のリストには、段落に確かに書かれている内容を指しているのに、段落の一部しかカバーしていない見出しが混ざっています。内容として正しいので、本文と照合する読み方では弾けません。

本文

Museums have long relied on temperature and humidity controls to slow the decay of paper documents. In recent years, however, several institutions have begun digitising their collections instead, arguing that a high-resolution scan removes the need to handle the original at all. Critics point out that digital files demand their own form of maintenance, since storage formats become unreadable within a few decades.

見出しの候補

i Why paper documents decay in storage
ii Scanning as a way of protecting originals
iii Two methods of preservation, each with a cost

2文目に digitising ... removes the need to handle the original とあるので ii2文目だけを指していて、1文目の環境管理と3文目の批判が入っていない

環境管理とデジタル化という2つの方法を挙げ、どちらにも負担があると述べているiii が3つの文をすべて含んでいる

ii を落とせるかどうかは、その見出しが段落の何文目を指しているかを確かめられるかで決まります。候補を1つ選んだら、その見出しが段落のどの部分に対応しているかを指でたどってみて、段落の一部にしか届いていない場合はいったん保留にします。段落全体の中心的な内容をよりよく表している見出しが他にあれば、そちらが答えです。

i のように、段落に出てくる語(paper、decay、storage)を使いながら、段落が述べていない内容を指す見出しもあります。この本文は紙が劣化する理由を説明しておらず、劣化を遅らせる方法を扱っています。語が共通していることと、その話題が段落の要旨であることは別です。

04本文と同じ語句が入った見出しを選ぶ誤読

本文の語句がそのまま使われている見出しは、選びたくなる一方で、外れであることが少なくありません。見出しは段落の要旨をまとめたものなので、本文の言い方をそのまま繰り返すよりも、パラフレーズされた形になることが多いためです。

本文

The city council commissioned a study of traffic flow along the eastern corridor, expecting it to justify the widening of the main road. The results, however, showed that congestion fell sharply whenever a parallel bus route was given priority at junctions. Funding was subsequently redirected away from road building.

見出しの候補

i A study of traffic flow along the eastern corridor
ii Research that changed a spending decision
iii The rising cost of widening main roads

i は本文1文目の a study of traffic flow along the eastern corridor をそのまま写している段落が何を述べているかではなく、何を題材にしているかを言っているだけ

調査の結果が予想と違い、予算の使い道が変わったという流れii は本文の語をひとつも借りずに段落の展開をまとめている

語句が一致している見出しを見つけたときは、その見出しが段落の題材を言っているのか、段落の展開を言っているのかを確かめておきましょう。題材だけを言う見出しは、複数の段落に当てはまってしまうことが多く、答えとして機能しません。

逆に、本文にひとつも同じ語が出てこない見出しを、根拠がないという理由で早々に外さないようにしておきます。パラフレーズを見抜く読み方については、プラスワンポイントの別記事でまとめています。

リーディング リーディングのパラフレーズ(言い換え)を見抜く読み方トレーニング:パターンの把握から日々の練習法まで

05解く手順を整理する

ここまでの3つの誤読を踏まえて、解く順番を整理しておきます。候補のリストを先に暗記しようとせず、段落を1つ読むごとに候補へ戻ると、往復の回数が減ります。

ステップ すること 確かめること
1 指示文の確認 対象の段落の範囲と、Example があるかどうかを見る すでに使われている見出しが候補から外れているか
2 候補にざっと目を通す 候補のリストを1回だけ読み、似ている見出しの組に印を付ける 同じ話題を指す候補が2つ以上ないか
3 段落を1つ読む 1文目と最後の一文を読み、転換の合図があればその後ろまで読む 段落の要旨が前半にあるか後半にあるか
4 要旨を一言にする 候補を見ずに、段落が何を述べているかを自分の言葉でまとめる その一言が段落全体の中心的な内容を表しているか
5 候補と突き合わせる 4でまとめた一言に近い候補を選ぶ 選んだ見出しが段落の一部ではなく、段落全体の中心的な内容を表しているか

ステップ4を飛ばして候補と本文を直接照合すると、語句の一致に引っ張られます。順番としては、先に自分の言葉で要旨を作り、それに近い候補を探すほうが安定します。

迷ったときの扱い

候補が2つに絞れてどちらとも決めきれないときは、その段落をいったん飛ばして次の段落に進むほうが得です。他の段落で片方の見出しが確定すれば、残った候補が自動的に決まることがあります。リーディング全体の時間配分については、こちらの記事で扱っています。

リーディング IELTSリーディング60分の時間配分と読み方の切り替え:3種類の読み方の使い分けと撤退の目安

06よくある質問

Matching Headings は段落の1文目だけ読めば解けますか。

1文目だけでは足りません。IELTSの本文では、旧来のやり方や一般に信じられていることを先に置き、後半で転換を述べる構成がよく使われます。1文目だけで決めず、however や but のような転換の合図があればその後ろまで読み、要旨がどこにあるかを確かめてから見出しを選びます。

本文と同じ単語が入っている見出しを選べば正解になりますか。

語句が一致していることは根拠になりません。見出しは段落の要旨をまとめたものなので、本文の言い方をそのまま繰り返すよりパラフレーズされた形になることが多くあります。語句が一致している見出しを見つけたら、それが段落の題材を言っているだけなのか、段落の展開をまとめているのかを確かめます。

候補が2つに絞れたあと、どちらかを決められません。どうすればいいですか。

それぞれの見出しが段落のどの部分に対応しているかを指でたどり、段落の一部にしか届いていないほうを保留にします。段落全体の中心的な内容をよりよく表している見出しがあれば、そちらが答えです。それでも決まらないときは、その段落を飛ばして次に進み、他の段落で片方が確定するのを待つほうが時間の面では得です。

見出しの候補は段落の数と同じですか。

指示文に「NB There are more headings than paragraphs, so you will not use them all.」と書かれているとおり、候補は段落の数より多く用意されています。使わない見出しが残る前提なので、消去法だけで最後の段落を埋める解き方はうまくいきません。

Example として答えが1つ示されている場合、その見出しは他の段落でも使えますか。

使えません。Example で示された見出しはすでに使われているので、残りの段落の候補からは外れます。設問に取りかかる前に、Example があるかどうかを確認しておきましょう。

候補のリストは先に全部読んでおくべきですか。

最初に1回だけ目を通し、同じ話題を指す候補の組に印を付けておく程度で十分です。すべて覚えようとすると本文を読む前に時間を使ってしまいます。段落を1つ読むごとに候補へ戻るほうが、往復の回数が減ります。

1つ間違えると他の段落まで連鎖して外れるというのは本当ですか。

同じ見出しを2度使わない設問なので、ある段落に別の段落の答えを入れると、その2つが入れ替わる形になります。1文目の話題だけで見出しを決めたときに起きやすい失点の仕方です。

Matching Headings と Matching Information は何が違いますか。

Matching Headings は段落全体の要旨と見出しが対応しているかを問い、Matching Information は特定の情報がどの段落に書かれているかを問います。前者は段落の一部だけを指す選択肢が誤答になりますが、後者は段落の一部にその情報があれば正解になります。

07まとめ

Matching Headings で問われているのは、段落全体が何を述べているかです。本文に書かれている内容かどうかではなく、段落全体の中心的な内容を最もよく表している見出しかどうかで選びます。候補のリストには、内容としては正しいのに段落の一部しか指していない見出しが混ざっているので、内容の正誤だけでは絞りきれません。

誤読は3つの型に収まります。1文目の話題を要旨だと思うこと、段落の一部だけを指す見出しを選ぶこと、本文と同じ語句が入った見出しに引っ張られることです。どれも、段落全体ではなく一部の情報に引っ張られることから生まれています。候補を先に見てから本文を照合する読み方では、こうした誤読が起こりやすくなります。

  • 1文目と最後の一文を読み、転換の合図があればその後ろまで読む
  • 候補を見る前に、段落の要旨を自分の言葉で一言にする
  • 選んだ見出しが段落のどの文に対応しているかを指でたどる
  • 本文と語句が一致している見出しは、題材を言っているだけでないか確かめる
  • 2つに絞れて決まらない段落は飛ばし、他の段落が確定してから戻る

候補を眺める時間より、段落を読んで要旨を一言にする時間のほうに配分を寄せていきましょう。要旨が言葉になっていれば、候補との突き合わせは一度で済みます。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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