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ライティング・タスク2

一見正しそうな一文に潜む並列構造のずれ|will が believe にかかっていませんか?

and は英語で最もよく使う接続詞でありながら、最も事故が起こりやすい接続詞でもあります。つないだ2つの要素の形と意味がそろっていないと、書き手の意図とは別の構造で読まれてしまうからです。こうした並列構造のずれは、イントロダクションの決まり文句の中にも入り込みます。

この記事では、その代表例を一つ取り上げ、ずれの仕組みと見つけ方を解き明かした上で、修正するときの考え方と、よくある類例を紹介します。

01一見正しそうな一文に潜むずれ

「Why is this? Is it a positive or negative development?」のように、原因と評価の両方を問う設問では、イントロダクションの最後に「これから何を論じるか」を予告する一文、いわゆるアウトライン・センテンスを置くのが定番です。そこで多くの受験者が書いてしまうのが、次のような文です。

不自然な表現

I will explain the reasons for this and believe that this is a positive development.

(この理由を説明し、これは好ましい変化であると考えることを述べたい、という意図の文)

書き手の意図は明確です。「本論では理由を説明します。そして私は、これは好ましい変化だと考えています」。設問の2つの問いにきちんと答える宣言をしており、内容としては申し分ありません。

ところが、この英文には文の骨格に関わる問題が一つあります。and で結ばれた並列構造がずれていて、後半が「I will believe(私はこれから信じる)」と読まれてしまうのです。

なお、文末の「this is a positive development」という表現自体は、この設問タイプで使われる定番の自然な言い回しです。問題はそこではなく、その手前のつなぎ方にあります。順番に見ていきましょう。

02will が believe まで支配する、並列構造のずれ

この文で and が結んでいるのは、explain と believe という2つの動詞の原形です。動詞の原形が並んでいるということは、文法上、両方が文頭の will の支配下に入ることを意味します。つまり、読み手にはこう見えています。

I will explain the reasons for this and believe that this is a positive development.

will は and で結ばれた2つの動詞の両方にかかります。後半は「I will believe(私はこれから信じるつもりだ)」と読まれてしまいます。

「これから理由を説明します」は未来の行為なので will と相性が良いのですが、「信じる」はどうでしょうか。believe は動作ではなく心の状態を表す状態動詞で、意見は「これから持つもの」ではなく「今すでに持っているもの」です。それを will の並列に入れてしまうと、「私はまだそう思っていないが、エッセイを書きながらこれから信じる予定だ」という奇妙な意味になり、時制の整合性が崩れてしまいます。

やっかいなのは、単語一つひとつはどこも間違っていないことです。スペルも語形も正しいのに、and のつなぎ方だけで文全体が不自然になる。これが並列構造のずれの怖さです。採点基準(Band Descriptors)では Grammatical Range and Accuracy が文構造の正確さを見る観点なので、こうしたずれが積み重なると評価に影響します。

and を見たら、後ろを文頭につなげて読み直す

このタイプのずれは、簡単なセルフチェックで見つけられます。自分の文に and が出てきたら、and の後ろの要素を、並列の起点(この文なら will)に直接つなげて読み直してみるのです。「I will believe that ...」と声に出してみれば、「これから信じる?」という違和感にすぐ気づけるでしょう。書き終えた後の見直しの習慣として、ぜひ取り入れてみてください。

03ずれを直すときの考え方

それでは、冒頭の一文をどう直せばよいのでしょうか。ポイントは、believe を will の並列から外して、「意見は今持っている」ことが伝わる形に組み込むことです。直し方は一つに決まっているわけではありません。考え方の方向を3つ見てみましょう。

直し方1:explain の目的語を2つ並べる

This essay will explain the reasons for this trend and why I believe it is a positive development.

このエッセイでは、この傾向の理由と、私がそれを好ましい変化だと考える根拠を説明します。

元の文の explain をそのまま活かせる、最小限の修正です。ここで and が結んでいるのは、the reasons for this trend という名詞句と、why I believe ... という名詞節です。どちらも explain の目的語なので、並列の構造が安定します。believe は why の節の中に現在形のまま収まるため、「今そう考えている」という時制の整合性も保たれます。

直し方2:意見側の動詞を行為動詞に変える

I will outline the reasons behind this phenomenon and argue that it is a positive development.

この現象の背景にある理由を示し、それが好ましい変化であることを論じます。

believe が will と合わないのは、状態動詞だからでした。それなら、意見を述べる側の動詞を argue(論じる)のような行為動詞に変えれば、「will outline ... and (will) argue ...」という並列がきれいに成立します。「これから論じる」は未来の行為として自然だからです。エッセイの予告文らしい、引き締まった一文になります。

直し方3:関係代名詞で意見を添える

This essay will discuss the causes of this trend, which I regard as a positive development.

このエッセイでは、この傾向の原因を論じます。私はこの傾向を好ましい変化だと考えています。

並列そのものを避けてしまう方法もあります。カンマ付きの関係代名詞 which で意見をコンパクトに差し込めば、「予告」と「立場表明」を一文で両立できます。regard A as B(AをBとみなす)は believe の言い換えとしても使える表現なので、あわせて覚えておくと便利です。

どの直し方でも構いません。大切なのは、理由の予告は未来の行為として、意見の表明は現在の状態として、それぞれにふさわしい形を与えることです。

IELTS学習アプリ Intro/Conclusion タスク2のイントロダクションとコンクルージョンを集中的に練習できるツールです。書き上げたアウトライン・センテンスの自然さチェックにも活用できます。

04他にもある、よくある並列構造のずれ

冒頭の will と believe は、「形はそろっているのに、意味が並列に耐えない」というケースでした。実際のエッセイでは、その逆、つまり「形そのものがそろっていない」ずれのほうがさらに頻繁に起こります。どれも and の前後を見比べるだけで見つけられるので、代表的なパターンを3つ押さえておきましょう。

類例1:to 不定詞と動名詞が混ざる

It is important to reduce waste and recycling materials.to reduce と recycling で形がそろっていません。しかも「waste and recycling materials(廃棄物とリサイクル資源)を減らす」という別の意味にも読めてしまいます。

It is important to reduce waste and recycle materials.to reduce と (to) recycle で形がそろい、あいまいさも消えます。

並列の起点が to のときは、and の後ろも原形(または to 付きの不定詞)でそろえます。形がずれると、読み手が構造を取り違える余地が生まれてしまいます。

類例2:not only A but also B の A と B がそろっていない

Studying abroad is beneficial not only for learning a language but also to experience a new culture.A は for + 動名詞、B は to 不定詞で、形がちぐはぐです。

Studying abroad is beneficial not only for learning a language but also for experiencing a new culture.for + 動名詞で A と B の形がそろいました。

not only A but also B は、A と B に同じ形を要求する構文です。書き出した時点の A の形を覚えておき、B もそれに合わせる意識を持つとよいでしょう。

類例3:should の支配範囲で形が崩れる

Governments should improve public transport and encouraging people to use it.should improve と encouraging で、助動詞の並列が崩れています。

Governments should improve public transport and encourage people to use it.should が improve と encourage の両方にかかる、安定した並列です。

これは冒頭の will と believe のちょうど裏返しのパターンです。助動詞を起点に動詞を並べるなら、and の後ろも原形にそろえる。逆に、原形でそろえた以上は、助動詞が両方にかかっても意味が成立するかを確認する。並列は「形」と「意味」の両面がそろって初めて完成します。

05まとめ

今回は、イントロの最終文でよく見かける「I will explain the reasons for this and believe that ...」という一文を題材に、並列構造のずれを解説しました。最後にポイントを確認しましょう。

  • and が出てきたら、後ろの要素を並列の起点(will や to など)につなげて読み直す
  • believe のような状態動詞は will の並列に入れない。意見は「今持っているもの」
  • 意見は「why I believe ...」「argue that ...」「, which I regard as ...」の形で組み込む
  • to 不定詞・動名詞・原形を混ぜない。not only A but also B は A と B の形をそろえる
  • 「this is a positive development」という表現自体は定番なので、自信を持って使ってよい

並列構造のずれは、単語レベルの間違いがない分、自分では気づきにくいミスです。しかし、見つけ方さえ知っていれば、見直しの数十秒で確実に修正できます。次にエッセイを書いたら、まず and の前後をチェックしてみてください。

ライティング・タスク2 IELTS Writing Task2 イントロの1文目に何を書くか|定型文・トレンド型・柔軟な導入の使い分け
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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