お子さまがIELTSを受けることになったものの、保護者の方からは「英語のことは分からないので、どこまで関わればよいか判断がつかない」というご相談をよくいただきます。IELTSは大学入試や海外進学の条件として使われることが多く、期限のある試験です。そのため、英語の中身よりも先に決めておくべきことがいくつかあります。
この記事では、保護者の方が確認しておくとよい項目、費用と期間の目安、家庭での関わり方、そして外部の指導を検討する判断の材料を解説します。英語を教える話ではなく、勉強を続けやすい環境を整える話としてまとめました。
01最初に確認する3つのこと
英語の勉強法を調べる前に決まっていないと、あとから計画をやり直すことになる項目が3つあります。
| 確認すること | なぜ先に決めるのか | 調べる場所 |
| 何点必要か | 目標が決まらないと、学習量も期間も決められない | 志望校の募集要項 |
| いつまでに必要か | 出願の締切から逆算して、受験の回数が決まる | 募集要項の出願期間 |
| スコアがどう使われるか | 出願資格・得点換算・加点で、目標の立て方が変わる | 募集要項の英語外部検定の項 |
3つ目は見落とされやすいところです。同じ6.0でも、出願資格なら届かないと出願そのものができず、得点に換算される方式なら足りない分を他の科目で補えます。どちらなのかで、IELTSに割く時間の優先順位が変わります。
IELTS総合対策
日本の大学入試でIELTSはどう使われるか:出願資格・得点換算・加点の3つの型
この3つは、お子さま本人が調べるより、保護者の方が一覧にまとめておくほうが早く済むことが多い部分です。本人は現地の学業や学校の課題を抱えているので、条件の確認を分担できると、学習の時間が確保しやすくなります。
02費用の目安をどう見積もるか
IELTSにかかる費用は、受験料と学習にかかる費用に分かれます。受験料は公開されている金額なので、先に固定費として見積もれます。
日本国内の通常のIELTSの受験料は、2026年7月1日時点で27,500円(税込)です。UKVI版は31,900円(税込)です。海外で受験する場合は国ごとに金額が違い、日本より高くなることもあります。
受験回数を先に決めておく
受験料は1回ごとにかかるので、家庭で上限を先に決めておくと、1回ごとの目的がはっきりします。何回受ける可能性があるかは、出願の期限から逆算して考えておきましょう。たとえば2回受験するなら、通常のIELTSの受験料だけで55,000円(税込)になります。ここに教材費や指導の費用を足して、全体の予算を考えます。
学習にかかる費用は、進め方によって幅が出ます。判断のときは金額だけでなく、何が返ってくるかを見ておくと比べやすくなります。
| 進め方 | 費用の性質 | 本人に返ってくるもの |
| 市販の教材で独学 | 教材費のみ | 正解と解説。答案や回答への指摘は得られない |
| オンライン英会話 | 月額 | 話す量。IELTSの採点基準に沿った指摘は範囲外のことが多い |
| IELTS専門の指導 | 期間または回数で課金 | 採点基準に沿った答案・回答への指摘と、次に直す場所 |
教材の選び方も費用に関わります。実際の試験形式に近い問題集を1冊ずつ使い、まず1冊を終わらせてから次を買う進め方にすると、費用も学習も散らかりません。数冊を並行して進めると、どれも途中で止まったまま増えていきます。
リスニングとリーディングは正答数で伸びが見えるので、独学でも進捗を確認できます。一方でライティングとスピーキングは、正解が1つに決まる問題ではないため、自分の答案や回答を客観的に評価するのが難しくなります。費用をかけるかどうかを決めるときは、この2技能をどうするかが中心になります。
03どれくらいの期間がかかるか
必要な期間は現在の英語力と目標スコアの差で変わるため、一律には言えません。ただし、期間を見積もるときの考え方はあります。
IELTSのスコアは0.5刻みです。一般に、スコアが高くなるほど、次の0.5を取るために細かい弱点まで直す必要があり、学習量も増えやすくなります。5.0から5.5と、6.5から7.0では、必要な時間が違ってきます。
もう一つ、期間の見積もりで考慮しておきたいのが、伸びが数字に出るまでの遅れです。学習した内容がスコアに反映されるまでには時間差があり、数週間から数か月続けた学習の効果が、次の受験ですぐ数字に表れるとは限りません。1か月ごとに結果を求めると、この時間差の途中で方針を変えることになり、かえって遠回りになります。
たとえば平日に1時間、休日に3時間ずつ取れれば、週11時間になります。まずはこのように、学校生活の中で実際に確保できる時間を計算してみましょう。ここから、定期試験の前後や学校行事で止まる週を引くと、年間で使える時間が出せます。年間の組み立て方は、学習計画の記事で詳しく扱っています。
IELTS総合対策
高校生のIELTS学習計画:学校の授業と両立させる1年間の組み立て方
期間を見積もるときに、目標から逆算した技能別の目標も出しておくと、進み具合を数字で確認できます。オーバーオールの目標に対して、どの技能をあと何点上げれば届くのかは、計算ツールで確かめられます。
無料ツール
IELTSバンドスコア計算:4技能からオーバーオールを出す
04家庭でできることと、しないほうがよいこと
英語の内容に立ち入らなくても、家庭で整えられることがあります。逆に、よかれと思って行うと学習が止まりやすくなることもあります。
家庭で整えられること
- 受験日と締切の管理:申し込みの期限、証明書が届く日数、出願の締切。ここは本人より保護者の方が把握しているほうが確実です
- まとまった時間の確保:とくにライティングは、構成を考えて書き、見直すところまで含めると、細切れの時間では取り組みにくくなります。休日に60分続けて取れる時間があると、この練習に手をつけやすくなります
- 受験の費用と回数の合意:先に決めておくと、1回ごとの目的がはっきりし、結果が出たあとの会話も落ち着きます
避けたいこと
- スコアだけで評価する:IELTSは0.5刻みで、努力が数字に出るまでに時間がかかります。数字が上がらない期間に叱ると、学習そのものから離れてしまいます
- 他の受験者と比べる:必要なスコアは志望校によって違います。同級生の点数は、本人の目標とは関係がありません
- 教材を次々に増やす:手を広げると、1冊を終える前に別の教材へ移ることになります。何を終わらせるかを1つに絞るほうが進みます
学校の先生との関係も整理しておくとよい部分です。学校では定期試験や課題があり、IELTSとは別のスケジュールで学習が進みます。学校の試験には出題範囲がありますが、IELTSには範囲がありません。学校の課題を減らしてIELTSに充てるという判断は、評定にも関わるため慎重に考える必要があります。指定校推薦など、評定を使う進路の可能性が残っているなら、なおさらです。
もう一つ、無理に英語で話しかけて、IELTSの練習相手になろうとする必要はありません。IELTSのスピーキングは採点基準に沿って評価される試験で、日常会話とは求められるものが違います。家庭で作れるのは、練習の環境と時間のほうです。
05スコアが上がらない時期の見方
学習を続けているのにスコアが変わらない期間は、多くの受験者に起こります。IELTSは0.5刻みなので、力が伸びていても、次のバンドに届くまでは同じ数字が続きます。
この時期に見ておきたいのは、オーバーオールではなく技能別の内訳です。オーバーオールが6.0のまま変わらなくても、リーディングが5.5から6.5に上がり、別の技能が下がっていることがあります。この場合、4技能の力には変化が出ています。逆に4技能とも同じ数字なら、学習の中身を見直す時期に来ていると判断できます。
停滞が続く理由の見分け方は、別の記事で整理しています。
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IELTSスコアが伸び悩む「プラトー」を抜け出す方法:停滞期がいつまで続くのかを見極める
06外部の指導を検討する判断材料
独学を続けるか、指導を受けるかは、費用の話になりがちです。決めるときの材料は次の点です。
- 止まっている技能はどれか:リスニングとリーディングが止まっている場合は、正答数を見ながら教材や学習方法を調整できます。一方、ライティングとスピーキングは自分だけでは弱点を見つけにくいため、答案や回答を第三者に見てもらうと、どこを直せばよいか絞りやすくなります
- 残りの期間はどれくらいか:締切まで半年を切っていて、かつ1技能が下限に届いていない場合は、自力で原因を探す時間が足りないことがあります
- 指摘の中身:授業の時間数ではなく、答案や録音に対してどんな指摘が返るかで比べます
体験や相談の機会があれば、まずどこが止まっているのかの見立てだけでも聞いておくと、独学を続ける場合の方針もはっきりします。高校生の学習の進め方と、保護者の方が同席できる無料相談については、高校生向けのページにまとめています。
高校生コース
高校生のIELTS対策
07結果が出た日の話し方
スコアが出た日は、本人がいちばん結果を気にしているタイミングです。ここでの会話の方向が、次の受験までの学習の続き方に影響します。
まず見るのは、オーバーオールではなく技能別の内訳です。「何点だったか」だけではなく、「どの技能が動いたか」を一緒に確認すると、次に何をするかの話に自然につながります。前回のスコアが手元にあれば、4技能を並べて比べられます。
| 結果 | 確認すること |
| 目標に届いた | 提出先の条件(技能別の下限、受験時期)も満たしているか |
| オーバーオールは同じだが内訳が動いた | 下がった技能で何が起きたか。時間切れか、対策の時間が減っていたか |
| 4技能とも変わらない | 学習の中身を見直す時期。同じ教材の反復で止まっていないか |
| 1技能だけ下限に届かない | その技能に絞った対策と、出願先がOne Skill Retakeを認めているか |
スコアが下がることもあります。IELTSは受験ごとに問題が異なるため、同じ実力でも結果が多少変わることがあります。当日の体調の影響も考えられます。1回の結果だけで判断せず、2回分を並べて傾向を見るほうが、次の対策を決めやすくなります。
08よくある質問
保護者は何から確認すればよいですか。
志望校が求めるスコア、その提出期限、スコアの使われ方の3つです。特に3つ目は見落とされやすく、出願資格として使われる場合は基準に届かないと出願そのものができません。募集要項の英語外部検定の項に書かれています。
受験料はいくらかかりますか。
日本国内では2026年7月1日時点で27,500円(税込)、UKVI版は31,900円(税込)です。海外で受験する場合は国ごとに金額が異なります。受験のたびにかかるので、家庭で回数の上限を先に決めておくと判断しやすくなります。
目標スコアまでにどれくらいの期間が必要ですか。
現在の英語力と目標の差によって変わるため、一律には言えません。ただし一般に、スコアが高くなるほど次の0.5に必要な学習量は増えやすくなります。5.0から5.5と、6.5から7.0では必要な時間が違ってきます。
英語が話せない親でもできることはありますか。
受験日と出願締切の管理、まとまった学習時間の確保、受験回数と費用の合意は、英語の知識がなくても整えられます。ここが決まっていると、本人は学習の中身に集中できます。
家で英語で話しかけたほうがよいですか。
無理に英語で話しかける必要はありません。IELTSのスピーキングは採点基準に沿って評価される試験で、日常会話とは求められるものが違います。家庭で作れるのは、練習の環境と時間のほうです。
勉強しているのにスコアが変わりません。
スコアが0.5刻みなので、力が伸びていても次のバンドに届くまでは同じ数字が続きます。オーバーオールではなく技能別の内訳を見て、どこかが動いているかを確かめましょう。4技能とも同じ数字なら、学習の中身を見直す時期です。
独学と指導を受けるのは、どこで線を引けばよいですか。
止まっている技能で判断できます。リスニングとリーディングは正答数で伸びが見えるので、独学でも学習方法を調整できます。一方、ライティングとスピーキングは自分だけでは弱点を見つけにくいため、この2技能で止まっている場合は、答案や録音を第三者に見てもらうと、どこを直せばよいか判断しやすくなります。
09まとめ
保護者の方が関わる部分は、英語の中身ではなく、勉強を続けやすい環境を整えるところにあります。
- まず、志望校が求めるスコアと提出期限、スコアの使われ方を確認する
- 受験料だけでなく、教材や指導にかかる費用も含めて予算を考える
- 保護者は英語を教えるより、勉強する時間と受験までの予定を整える
- スコアが上がらないときは、オーバーオールではなく4技能の変化を見る
- 指導を受けるかどうかは、苦手な技能と残りの期間を基準に考える
高校生がIELTSで直面する課題そのものについては、社会経験の少なさをどう扱うかを扱った記事でまとめています。
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