3か月は12週です。週に使える時間が10時間なら、全部で120時間ほど。この時間を4技能に均等に割ると、どの技能にも十分な時間をかけられないまま試験日を迎えることがあります。この記事では、12週をどの順番で使うかという観点から、最初の1か月に何をやり、何を後回しにするかを整理します。時間の量ではなく、順番の話です。
01最初の2週は現在地の確認に使う
3か月の計画で最初に決めるのは、教材でも時間割でもありません。いまのスコアと目標との差を、技能ごとに数字で持つことです。ここが決まらないまま始めると、12週のあいだ、伸びているかどうかを判断する基準がないまま進むことになります。
最初の2週でやることは3つです。
- 模擬試験を1回、本番と同じ時間配分で通す。リスニングとリーディングは正答数を出す
- ライティングはタスク1を20分、タスク2を40分の配分で書く。スピーキングは録音を1回取る
- 目標スコアと現在地の差を、技能ごとに書き出す
この差が、そのまま12週の配分になります。オーバーオールは4技能の平均なので、全部を同じだけ上げる必要はありません。正答数で数えられるリスニングとリーディングのほうが、伸びるまでの見通しは立てやすくなります。
試験日は先に決めておく
12週の計画は、試験日が決まっていないと最後の4週が動きます。提出先の期限から逆算して、先に申し込んでおきましょう。コンピューター版は会場によって実施日が異なるので、早めに空席を確認しておきましょう。結果が出るまでの日数も見込んでおくと、期限に間に合わなくなる事態を避けられます。
2回目を受ける可能性があるなら、結果の発表時期と再受験できる日程も含めて逆算しておきましょう。1回目で足りなかった技能だけに絞って、あいだの期間を使えます。
差を書き出すと、たとえば次のようになります。
正答数について
正答数とバンドスコアの対応は、リスニングとリーディングで違います。リーディングはさらにアカデミックとジェネラルで違うので、下の例はアカデミックのリーディングを想定した数字です。
| 技能 | いま | 目標 | 差 | 12週での重点 |
| リスニング | 5.5(21問) | 6.5(27問) | 6問 | 落とし方の分類 → 弱点に絞る → 本番形式 |
| リーディング | 5.0(17問) | 6.5(26問) | 9問 | 時間配分 → 弱点に絞る → 本番形式 |
| ライティング | 5.5 | 6.0 | 0.5 | タスクの要素を数える → 通しで書く → 時間管理 |
| スピーキング | 5.0 | 6.0 | 1.0 | 止まらずに話す → 長めの発話 → 本番形式 |
この例では、合計が21.0から25.0へ4.0点ぶんの差があります。数字にすると大きく見えますが、リーディングの9問とスピーキングの1.0点で半分以上を占めていることもわかります。12週のうち、どの技能に時間を寄せるかはここで決まります。
提出先が技能ごとの最低スコアを決めている場合は、その条件も先に確認しておきましょう。オーバーオールだけを見て組み立てると、合計は足りているのに条件を外すことがあります。
IELTS総合対策
IELTSを5.0から6.0に上げるには:技能ごとの伸ばし方と後回しにしてよいこと
021週間の中で何を毎日やるか
4技能を1日ずつ順番に回す組み方は、週に1回しか触れない技能が出ます。リスニングとリーディングは短時間でも間隔を空けずに触れるほうが、読む速さや問題形式への感覚を保ちやすくなります。ライティングとスピーキングは、まとめて時間を取るほうが続きます。
| 技能 | 頻度 | 1回の長さ | 理由 |
| リスニング | 毎日 | 15分から20分 | 音に触れない日が続くと聞き取りの速さが落ちる |
| リーディング | 毎日 | 20分から30分 | 読む速さや問題形式への感覚を維持しやすい |
| ライティング | 週2回 | 60分 | 書き上げてから見直すまでを一続きにしたい |
| スピーキング | 週3回 | 20分 | 録音と聞き直しで1回が完結する |
平日に時間が取れない場合は、リスニングとリーディングだけを平日に回し、ライティングとスピーキングを週末にまとめます。1回のライティングを60分続けて取れないときは、書く日と見直す日を分けても構いません。書きっぱなしにするより、間が空いても見直しまで届いたほうが残ります。
1回の長さは、続けられる範囲で決める
上の表は、週に7時間から9時間ほど取れる場合の目安です。10時間ほど確保できる場合でも、すべてを予定で埋める必要はありません。余った時間は、リスニングとリーディングの復習や、間違いの見直しにあてます。週に5時間しか取れないなら、リスニングを10分、リーディングを1パッセージだけにして、ライティングを週1本に落とします。ここで無理な分量を書き込むと、2週目には表そのものを見なくなります。守れる分量にしておいて、余裕のある週に足すほうが12週を通せます。
時間帯の選び方にも差が出ます。ライティングとリーディングは頭が動く時間にあて、疲れている夜には音を聞く練習や語彙の確認を回すと、同じ1時間でも進み方が変わります。
IELTS総合対策
IELTS学習と仕事・家事の両立:忙しい日々でも続けるための現実的な戦略
031か月目:落とし方を分類する
最初の1か月は、量を増やす時期ではありません。落とした問題を、なぜ落としたのかで分ける時期です。ここを飛ばして問題数だけ増やすと、同じ理由の間違いを3か月繰り返すことになります。
| 技能 | 1か月目にやること | 分けかた |
| リスニング | 解いたあとにスクリプトで確認する | 聞き取れなかった問題と、聞き取れたのに書けなかった問題 |
| リーディング | 時間を計って解く | 時間切れで手を付けられなかった問題と、読んだうえで間違えた問題 |
| ライティング | タスクの要素を数えてから書く | 触れていない要素があるか、英語の誤りか |
| スピーキング | 録音を聞き直す | 詰まったのが語なのか、文の形なのか |
分類が済むと、2か月目に何をやるかが自動的に決まります。たとえばリスニングで「聞き取れたのに書けなかった」が半分あるなら、聞き取りの練習を増やすより、綴りと語数の指定を確認する時間のほうが結果につながります。
分類の記録は、細かくする必要はありません。解いた回ごとに、落とした問題番号と理由を1語で書き添えるだけで足ります。
L 第1回:Q3 綴り/Q7 聞き取れず/Q12 語数超過/Q19 聞き取れず/Q23 数字
R 第1回:Q9 時間切れ/Q10 時間切れ/Q14 読んで誤答/Q31 時間切れ
4回ぶん並べると、自分がどの理由で落としているかが目で見てわかります。上の例なら、リスニングは聞き取り以外の理由が3つ、リーディングは時間切れが3つなので、2か月目にやることは聞き取りの強化ではありません。
スピーキングとライティングにも同じ分け方が使えます。書いた答案を見返すとき、タスクの要素に触れていないのか、英語の形が崩れているのかで分けると、直す順番が決まります。要素に触れていない答案は、英語をいくら直しても評価は変わりません。
この時期に新しい教材を増やさない
1か月目は、手元にある1冊を最後まで使うほうが分類しやすくなります。教材が増えるほど、間違いの記録が分散して、月末に見返すものがなくなります。
042か月目:部分練習から通し練習へ
2か月目は、1か月目に分けた理由に合わせて練習を組み替え、ライティングとスピーキングを部分練習から通し練習へ移す時期です。部分練習だけを続けると、通して書いたときに時間が足りません。
- ライティングは週2本を40分で書き切る。導入だけ、ボディだけという練習は、通しの前後に組み込む
- スピーキングは Part 2 を2分で話し切る回を週1回入れる。残りは Part 1 と Part 3 の受け答え
- リスニングとリーディングは、1か月目に多かった落とし方に絞って解く
2か月目の1週間は、たとえば次のように組めます。
| 曜日 | 内容 | 時間 |
| 月・水・金 | リスニング20分(落とし方に絞って)+リーディング1パッセージ25分 | 45分 |
| 火・木 | リスニング15分+リーディング1パッセージ25分+スピーキング20分(録音と聞き直し) | 60分 |
| 土 | リスニング15分+リーディング25分+ライティング・タスク2を40分で1本、そのあと見直し30分 | 110分 |
| 日 | リスニング15分+リーディング25分+ライティング・タスク1を20分で1本、スピーキング Part 2 を20分 | 80分 |
合計すると週7時間25分で、02の表の範囲に収まります。取れる時間が少ない週は、リスニングとリーディングを残してライティングを1本に落とします。
2か月目の終わりに、もう一度模擬試験を通します。1回目との差を正答数で見ると、伸びている技能と止まっている技能がはっきりします。止まっている技能があっても、この時点では組み替えの材料が増えただけなので、計画を作り直す必要はありません。
この時期に、ライティングは同じタスクを2回書く回を1度入れてみましょう。1回目を見直したうえで書き直すと、自分が毎回どこで時間を使っているのかがはっきりします。新しいタスクを次々に書くより、同じタスクで直した経験のほうが本番で使えます。
IELTS総合対策
IELTS学習は「負荷」で決める:疲れている夜と頭が動く朝でやることを変える
053か月目:本番の形式と時間にそろえる
最後の4週は、内容を増やすより、本番の時間制限に合わせて通す練習を増やします。時間内に終わらない状態のまま試験日を迎えると、大きな取りこぼしにつながります。
| 週 | やること | 確かめること |
| 9週目・10週目 | 技能ごとに時間を計って通す | リーディングは3つのパッセージを60分で終えられるか |
| 11週目 | 4技能を1日で通す | 後半の集中が落ちるところはどこか |
| 12週目 | やってきたことの確認に絞る | 綴りや語数など、直前でも直せるものだけ |
11週目に4技能を1日で通すときは、リスニング、リーディング、ライティングを本番と同じ順番で、あいだに長い休憩を入れずに進めます。スピーキングはそのあとに続けます。ここで初めて気づくのが、ライティングに入る時点での集中の落ち方です。タスク2から先に書く、見直しを5分残すといった当日の段取りは、この1回で決めておくと本番で迷いません。
スピーキングは別日程になることがあります。受験確認書で日時を確認し、その日程に合わせて練習の山を作りましょう。3技能と同じ日だと思って準備していると、1週間早く来ることがあります。
最後の週に新しい問題集を始めると、直前になって新しい弱点が見つかり、不安につながることがあります。この時期に見直すのは、1か月目と2か月目に記録した自分の間違いです。
試験日が近づくと、時間の使い方の判断も変わります。残り時間が少ない状況での優先順位は、別の記事で詳しく扱っています。
IELTS総合対策
試験まで時間がない、そのとき捨てるべきこと:先延ばしの心理と直前期の実践戦略
06計画が崩れたときにどこから戻すか
12週の計画は、たいてい途中で崩れます。仕事が立て込む週、体調を崩す週が入るのは前提として、戻り方を決めておきましょう。
| 崩れ方 | 戻し方 |
| 1週まるごと空いた | その週の内容を飛ばして、予定どおりの週に戻る。取り返そうとして2週ぶんを1週でやらない |
| ライティングだけ手が回らない | 書く量を半分にして、見直しは残す。書きっぱなしの1本より、半分でも見直した1本 |
| 2週以上空いた | 模擬試験を1回通して現在地を測り直してから再開する |
崩れる原因が毎回同じなら、計画のほうを直します。平日の夜に入れたライティングが3週続けて流れているなら、その枠は最初から週末に移したほうが現実に合います。守れなかった予定を翌週も同じ時間帯に入れ直すのは、同じ崩れ方を繰り返すだけです。
1週ぶんを取り戻そうとして翌週に詰め込むと、その週も崩れます。12週のうち2週が抜けても、残りの期間で優先順位をつけ直すことはできます。抜けた週を数えるより、次の週に何をやるかだけ決めましょう。
07よくある質問
3か月でスコアはどのくらい上がりますか。
伸び幅は現在地と学習時間によって変わるため、一律には言えません。正答数で数えられるリスニングとリーディングのほうが、伸びるまでの見通しは立てやすくなります。まずは技能ごとに目標との差を数字で出しておきましょう。
最初に何から手を付ければよいですか。
模擬試験を1回、本番と同じ時間で通すところからです。リスニングとリーディングは正答数を出し、ライティングはタスク1を20分・タスク2を40分の配分で書き、スピーキングは録音を1回取ります。この結果が12週の配分を決めます。
4技能を1日ずつ順番に回す形ではだめですか。
その形だと、どの技能も週に1回しか触れないことになります。リスニングとリーディングは、短時間でも間隔を空けずに触れるほうが問題形式への感覚を保ちやすくなります。ライティングとスピーキングは、まとめて時間を取るほうが続きます。
平日に時間が取れません。
平日はリスニング15分とリーディング20分だけに絞り、ライティングとスピーキングを週末にまとめる方法もあります。ライティングは、書く日と見直す日を分けても構いません。
教材は何冊使えばよいですか。
1か月目は1冊で足ります。教材が増えるほど間違いの記録が分散し、月末に見返すものがなくなります。2か月目以降、落とし方の分類に合わせて足りない部分だけを補うとよいでしょう。
模擬試験は何回受ければよいですか。
12週なら、最初、2か月目の終わり、11週目の3回が目安です。回数を増やすより、1回ごとに落とした理由を分類するほうが次につながります。
計画が2週間分崩れました。作り直すべきですか。
2週以上空いたときは、模擬試験を1回通して現在地を測り直してから再開します。1週だけなら、その週の内容を飛ばして予定どおりの週に戻るほうが崩れにくくなります。
最後の1週間は何をすればよいですか。
やってきたことの確認に絞ります。新しい問題集を始めると、直前になって新しい弱点が見つかり、不安につながります。綴りや語数の指定のように、直前でも直せるものだけを見ておきましょう。
08まとめ
- 3か月は12週。最初の2週は現在地の確認に使い、技能ごとの差を数字で持つ
- リスニングとリーディングは毎日短く、ライティングとスピーキングは週にまとめて
- 1か月目は量を増やさず、落とした理由を分類する
- 2か月目は部分練習から通し練習へ移り、月末にもう一度模擬試験で差を測る
- 3か月目は本番と同じ時間で通す。最後の週に新しい教材を始めない
- 崩れた週は取り返そうとせず、次の週に何をやるかだけ決める
まずは今週のうちに、模擬試験を1回通してみましょう。12週の中身は、その結果を見てから決めれば間に合います。