a bunch of は、もともと花束やぶどうの房のように「束ねられたひとかたまり」を指す言葉です。a bunch of flowers、a bunch of keys のように具体物と結びつくのが本来の使い方で、そこから a bunch of people、a bunch of reasons のように口語で人や理由にも広がって使われるようになりました。ただし、この広がった使い方はあくまで会話的なもので、書き言葉、特にエッセイのような改まった文章の中に置くと、そこだけ話し言葉が混じったように浮いて見えます。
heaps of、loads of、tons of も同じ系統の表現です。いずれも「山積み」「積み荷」のような具体的なイメージから転じたもので、日常会話やカジュアルな文章ではごく自然に使われますが、フォーマルな文章の語彙としては選ばれません。
エッセイでの言い換え
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There are heaps of reasons why cities should invest in cycling infrastructure.heaps of は会話的で、エッセイの中では浮いて見える
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There are numerous reasons why cities should invest in cycling infrastructure.numerous はフォーマルな文章に馴染む
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A bunch of people believe that working from home increases productivity.a bunch of people は口語的な言い方
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Many people believe that working from home increases productivity.many は中立的でどんな文脈にも合う
a lot of と lots of は、上の表現ほど極端に口語的ではありませんが、それでもエッセイの中で連発すると単調で軽い印象を与えます。特に lots of のほうが a lot of よりくだけた響きがあります。
A lot of countries have introduced plastic bag charges in recent years.(近年、多くの国がレジ袋の有料化を導入している)
この文自体は誤りではありませんが、序論や結論のように文章全体の印象を左右する箇所では、many や a large number of に置き換えたほうが落ち着いた響きになります。a lot of を使ってはいけないわけではなく、同じ表現を繰り返さないための選択肢を持っておくことが重要です。
また、同じグループに入れた plenty of は、単に「多くの」というより「十分すぎるほどある」という意味の表現です。There is plenty of time.(時間はたっぷりある)のように「足りている」ことを伝える文脈では自然ですが、単なる数や量の多さを述べたい場面で plenty of を使うと、意味が少しずれてしまうことがあります。
03エッセイで安心して使えるフォーマルな表現
可算名詞に使える表現には、many、numerous、a host of、a large number of、a great number of、a significant number of などがあります。それぞれ響きは近くても、ニュアンスに少しずつ違いがあります。
numerous
many よりもややフォーマルで、studies、reasons、benefits、factors といった名詞の前に置かれることが多い表現です。数の多さそのものを強調する響きがあります。
Numerous studies have shown that regular exercise improves both physical and mental health.(数多くの研究が、定期的な運動は心身の健康を向上させることを示している)
ただし、フォーマルだからといって、エッセイの中の「多くの」をすべて numerous に置き換えるのは逆効果です。numerous は数の多さを強調するやや重い語なので、何度も繰り返すと文章が大げさで硬い印象になります。many はそれ自体が学術的な文章でも使われる標準的な語であり、無理に言い換える必要はありません。基本は many で書き、同じ語の繰り返しを避けたい箇所で numerous や a large number of を織り交ぜる、という順番で考えるとバランスが取れます。
a number of は「多くの」ではない
エッセイで非常によく使われる a number of にも触れておきます。a number of は「多くの」と訳されることがありますが、実際の意味は「いくつかの、複数の」に近く、必ずしも数の多さを主張しません。数の多さを伝えたいときは、large を付けて a large number of とします。
A number of studies have questioned this assumption.(複数の研究がこの前提に疑問を呈している)
動詞の受け方にも注意しましょう。a number of people は、a lot of people と同じように後ろの名詞に合わせて複数で受けます。「number という単数名詞が主語だから単数」と考えて動詞を単数形にしてしまうのは、よくある誤りです。一方、似た形の the number of people は「人々の数」という単数の名詞句なので、こちらは単数で受けます。この二つを混同しないようにしてください。
A number of students were absent from the lecture.(何人かの学生が講義を欠席していた。複数扱い)
The number of students studying abroad is increasing.(留学する学生の数は増えている。単数扱い)
a large number of / a great number of
many よりも一段フォーマルで、汎用性の高い表現です。特別な統計的根拠がなくても、幅広い場面で安全に使えます。
A large number of commuters rely on public transport every day.(多くの通勤者が毎日公共交通機関を利用している)
a significant number of / a considerable number of
Urbanisation has brought a host of challenges, from traffic congestion to rising housing costs.(都市化は、交通渋滞から住宅費の高騰まで、数々の課題をもたらしてきた)
a growing number of / an increasing number of
「ますます多くの〜」と、数の多さに加えて増加の傾向まで一緒に伝えられる表現です。社会の変化を論じることの多いライティング・タスク2とは特に相性がよく、序論で話題の広がりを示すときにも使いやすい形です。a number of と同じく、動詞は後ろの複数名詞に合わせて複数で受けます。
A growing number of companies allow their employees to work from home.(在宅勤務を認める企業がますます増えている)
a wide range of / a variety of は「多様な」
「多くの」の言い換え候補としてよく挙がる a wide range of と a variety of にも触れておきます。この二つが表すのは単なる数の多さではなく、「種類が幅広い」という多様さです。数がどれだけ多くても、種類が同じであれば range や variety は使えません。種類の豊富さを伝えたい文脈ではエッセイでも安心して使えますが、単に「多い」と言いたいだけの場面では、many や a large number of を選ぶほうが正確です。
The internet gives students access to a wide range of learning materials.(インターネットのおかげで、学生は実に幅広い学習教材を利用できる)
不可算名詞には、much、a great deal of、a considerable amount of、a substantial amount of が対応します。money、evidence、information、time、research のような名詞と組み合わせて使います。
The government has invested a great deal of money in renewable energy.(政府は再生可能エネルギーに多額の資金を投じてきた)
A considerable amount of evidence supports this argument.(かなりの量の証拠がこの主張を裏付けている)
なお、much を肯定文で使うことには注意が必要です。much は本来、疑問文・否定文で使われるのが基本で、肯定文で使うとかなり堅い書き言葉の響きになります。そのため、I have much money. のような日常的な内容の肯定文では不自然に響きます。一方、Much work remains to be done.(多くの仕事が残っている)のようなフォーマルな文では自然に使えますし、アカデミックな文体であるエッセイでも、Much research has shown that ... のような使い方は問題ありません。ただし、迷ったときは a great deal of や a considerable amount of を選ぶほうが安全です。
Countless species have gone extinct as a direct result of habitat destruction over the past century.(過去1世紀の間に、生息地の破壊によって数えきれないほどの種が絶滅してきた)
a myriad of
ギリシャ語で「1万」を意味した語に由来し、もともと文学的・詩的な響きを持つ表現です。現代の書き言葉では a myriad of reasons のように使われますが、エッセイの中で何度も繰り返すと、無理に難しい語彙を使おうとしている印象を与えてしまいます。描写を豊かにしたい一箇所に絞って使うのが安全です。
The city now offers a myriad of cultural attractions, from museums to street festivals held almost every weekend.(その街は現在、美術館からほぼ毎週末開催される路上フェスティバルまで、実に多様な文化的アトラクションを提供している)
なお、myriad は a myriad of reasons のほかに、myriad reasons と of を付けずに形容詞のように使うこともできます。どちらも正しい形です。同じ系統のやや文語的な表現に a multitude of(非常に多くの)もありますが、これも響きの強い表現なので、使う箇所を絞るという点は同じです。
a plethora of
a myriad of と並んで、エッセイで背伸びした語彙としてよく登場するのが a plethora of です。plethora はもともと医学で「(血液の)過多」を指した語で、本来は「ありあまるほどの過剰」という含みを持ちます。現代では単に「非常に多くの」の意味でも広く使われていますが、フォーマルな文章では、多さがかえって問題になるような文脈で使うと本来のニュアンスと噛み合います。
Consumers today face a plethora of choices, which can make decision-making more difficult.(今日の消費者はありあまるほどの選択肢に直面しており、それがかえって意思決定を難しくすることがある)
a legion of
legion はもともと古代ローマ軍の軍団(数千人規模)を指す語で、そこから「大勢のまとまった集団」を表す文語的な表現になりました。fans、critics、supporters のように人を表す名詞と結びつくのが自然で、legions of fans と複数形で使われることも多い表現です。
The film has attracted a legion of devoted fans around the world.(その映画は世界中で大勢の熱心なファンを獲得している)
逆に、a legion of problems や a legion of factors のように人以外の抽象的な名詞と組み合わせると、本来のニュアンスからずれて不自然に響きやすくなります。エッセイで無理に使う必要はなく、読んだときに意味が分かればよい表現と考えておくとよいでしょう。
an astronomical number of
astronomical はもともと「天文学の」という意味で、an astronomical price(天文学的な値段)のように、日常会話の誇張表現として定着した言葉です。この比喩的な誇張のニュアンスが強いため、根拠を積み上げて論じる準学術的なエッセイの文体とは相性がよくありません。具体的な数値や根拠を示さないまま「天文学的な数の」と言い切ってしまうと、レキシカルリソースの観点だけでなく、主張の説得力そのものが弱く見えてしまうこともあります。強調したい場合は、a substantial number of のような表現か、可能であれば具体的な数字を示すほうが説得力を持たせやすくなります。
There are countless benefits to remote work, and a myriad of companies have already adopted it, resulting in an astronomical number of employees working from home.強調表現を一文に3つ重ねていて大げさに響く
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There are many benefits to remote work, and a growing number of companies have already adopted it, resulting in a significant increase in the number of employees working from home.強調は一つに絞り、あとはフォーマルで落ち着いた表現に置き換える
目安として、こうした強調表現はエッセイ全体で使うとしても一度程度にとどめ、それ以外の箇所は many、numerous、a large number of のような標準的なフォーマル表現でそろえるのが、自然でバランスの取れた文章になります。
Thousands of commuters were affected by the rail strike.(何千人もの通勤者が鉄道ストライキの影響を受けた)
Millions of people around the world now work remotely at least part of the week.(世界中で何百万人もの人が、いまや週の少なくとも一部を在宅で勤務している)
複数形の s と of の付け方
この表現でつまずきやすいのが、複数形の s と of の扱いです。ルールは一つで、「漠然とした多数を表すときは複数形+of、具体的な数字を前に付けるときは単数形で of なし」となります。
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Three hundreds people attended the conference.数字が前に付くときは hundred に複数形の s を付けない
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Three hundred people attended the conference.300人が会議に出席した
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Hundred of people gathered in the square.漠然とした多数を表すときは hundreds と複数形にする
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Hundreds of people gathered in the square.何百人もの人が広場に集まった
several hundred people(数百人)、a few thousand cars(数千台の車)のように、several や a few が前に付く場合も単数形で of なしです。「数字(または数字に相当する語)が前に付いたら単数形」と覚えておくと迷いません。
桁を重ねた形と、小さめの規模を表す dozens of
tens of thousands of(何万もの)、hundreds of thousands of(何十万もの)のように桁を重ねた形も、ごく普通に使われる自然な表現です。
Hundreds of thousands of tourists visit the city every summer.(毎年夏には何十万人もの観光客がその街を訪れる)
また、それほど大きくない「何十もの」には dozens of が使えます。dozen は「12個(1ダース)」ですが、dozens of は文字通りの12の倍数ではなく、「数十の」という漠然とした多数を表します。
Dozens of new cafes have opened in the area over the past few years.(この数年で、その地域には何十軒もの新しいカフェがオープンした)
桁は現実の規模に合わせる
一つだけ注意したいのは、桁の選び方です。I have told you millions of times.(何百万回も言ったでしょう)のような誇張の使い方は日常会話では自然ですが、エッセイでは桁が実際の規模とかけ離れていると、誇張というより不正確な記述に見えてしまいます。実際の規模が分からないときは、thousands of と桁を断定するより、many や a large number of のような漠然とした表現を選ぶほうが安全です。
hundreds の s の付け忘れや of の入れ忘れといった細かい形の誤りは、書いている本人はなかなか気づきにくいものです。書き終えたエッセイにこうした誤りが残っていないかは、ツールでチェックすると効率よく確認できます。