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スピーキング

IELTSスピーキングで「そんな人知らない!」となったときの対処法|Part 2 Cue Card

執筆:高橋 響 公開日: 最終更新:

IELTSスピーキングのパート2では、そんな人は知らない、そんな場所には行ったことがない、と思ってしまうCue Cardが出ることがあります。

今回は「絵を描くのが好きな子供について話してください」というCue Cardを例に、条件に合う人物が思い浮かばないときの対処法を見ていきます。ゼロアンサーという考え方を使えば、知らないままでも2分間話しきることができます。

01なぜ「知らない」Cue Cardで手が止まるのか

Part 2 問題例

Describe a child you know who likes drawing or painting very much.

You should say:

  • who this person is
  • how you knew this person
  • how often this person draws or paints

and explain why you think this person loves drawing or painting.

友達や行ったことのある場所を聞かれるCue Cardなら、深く知らなくても一応一人、一箇所は思い浮かびます。ですが、このCue Cardは条件が二段階になっています。まず子供と接点があること、そのうえで、その子が絵を描くのが好きだと具体的にわかっていることです。

兄弟姉妹の子供がいない、甥や姪がいない、自分にもまだ子供がいないという方にとっては、この時点で候補がゼロになります。絵が好きな子供どころか、そもそもよく知っている子供自体が思い浮かばない、というのはよくあるパターンです。

IELTS Speakingでは、Cue Cardに出てきた人物や出来事が実際に存在するか、事実として正しいかを検証されるわけではありません。一方で、ただ時間を埋めればよいわけでもありません。重要なのは、与えられたトピックについて話を展開し、適切な語彙や文法を使いながら、ある程度まとまりのあるスピーチを続けることです。

ゼロアンサーとは

答えが思いつかないから黙る、というやり方ではありません。答えを持っていないこと自体を出発点にして、そこから話を組み立てていく方法です。詳しい考え方は、以前のニュースレターで紹介しました。

知らないと認める
一番近い人物を出す
伝聞・推測に切り替える
具体的なdetailを添える
ニュースレター スピーキング奥の手!ゼロアンサーを作ろう!

今回は、この流れを絵を描くのが好きな子供というCue Cardに実際に当てはめて、下の4つの下位設問にどう対応するかを見ていきます。

024つの下位設問を、話を広げる材料として使う

You should say の下にある箇条書きは、一つずつ正確に答える欄ではなく、話を広げるための材料として使うと組み立てやすくなります。

下位設問ゼロアンサーでの考え方
who this person is 条件に完全に一致する人物でなくてよい。同僚の子供や友人の甥など、一番近い人物を選ぶ
how you knew this person その人物とどう知り合ったか、接点をそのまま説明する。結婚式で一度会っただけ、会社の飲み会に連れてきていた、といった経緯で十分に内容になる
how often this person draws or paints 本人の様子を直接知らなければ、apparently や I heard that のような伝聞、I'd guess のような推測に切り替える
why you think this person loves it 断定せず、if I had to guess のように自分の推測として理由を述べる。具体的すぎる理由を並べるより、推測している様子の方がむしろ自然に聞こえる

4つの下位設問は、正確な事実を埋める欄ではなく、話を広げるための材料だと捉え直すと、知らないトピックでも組み立てやすくなります。条件に完全に一致していなくても、一番近いところから話を広げていけば、内容は十分成立します。

03モデルアンサーで確認する

この流れをつなげると、次のような回答になります。実在する人物について正確な情報を持っていなくても、話がきちんと成立していることに注目してみてください。

モデルアンサー(英語)

Cue Card: Describe a child you know who likes drawing or painting very much.

To be honest, this is actually a tricky one for me, because I don't really spend much time around children. I don't have kids myself, and none of my close friends do either, so I can't really think of one specific child who's really into drawing.

The closest person I can think of is my colleague's daughter. I've only met her maybe twice, at a couple of company events where we brought our families along, so I don't know her all that well.

As for how often she draws, honestly I have no idea, since I've never actually seen her do it. But my colleague talks about her all the time, and apparently she's constantly drawing at home, according to her mum, so I'll just go with that.

Why she loves it so much, I couldn't really say for sure, since I barely know her, but if I had to guess, I'd say it's probably because drawing is one of those things kids can just get lost in. There's no winning or losing, nobody telling you you're doing it wrong, you just make whatever you want.

Actually, now that I think about it, I do remember one thing. At one of those events, she showed everyone a drawing of her family, and her dad was drawn about three times bigger than everyone else, which I thought was pretty funny.

So yeah, I can't claim I know a child who's obsessed with painting, but that's the best I've got.

注意点

伝聞や推測を使ってよいのは、知らないことを正直に埋めるためです。apparently や according to のような表現は便利な一方、使いすぎると、知らない話題について次々と架空の設定を作っているように聞こえてしまいます。上のモデルアンサー程度の分量にとどめ、細かい設定を盛り込みすぎないようにしましょう。

日本語訳

正直に言うと、これは自分にとって答えづらい問題です。というのも、普段あまり子供と接点がないんですよね。自分にも子供はいませんし、親しい友人にもいません。だから、絵を描くのが本当に好きな子を一人挙げろと言われても、なかなか思いつかないんです。

一番近いのは、同僚の娘さんですね。会社のイベントに家族連れで来ていたときに、たぶん2回くらい会ったことがあるだけなので、正直あまりよく知りません。

どのくらいの頻度で描いているかは、正直まったくわかりません。実際に描いているところを見たこともないので。ただ、同僚がよくその子の話をしていて、お母さんによると家では四六時中絵を描いているらしいので、とりあえずそれを信じることにします。

なぜそんなに好きなのかと聞かれると、よく知らないので断言はできませんが、あえて推測するなら、絵を描くことは勝ち負けもないし、誰かにやり方が違うと言われることもなく、ただ好きなように描けるからじゃないかと思います。

そういえば一つだけ思い出しました。そのイベントのとき、その子が家族の絵をみんなに見せてくれたんですが、お父さんだけ他の家族の3倍くらいの大きさで描かれていて、それが結構面白かったです。

というわけで、絵に夢中な子供を知っていると胸を張って言えるわけではないんですが、今の自分に出せる精一杯の回答です。

使われている技術
該当箇所使っている技術
冒頭 知らないと先に認めている。無理に作り話をしようとしていない
whoの設問 一番近い、接点の乏しい人物として同僚の娘を出すことで、知らないことを保ったまま設問に触れている
howの設問 面識の薄さそのものを回答にしている。2回しか会っていないという事実だけで内容になっている
頻度の設問 apparently、according to her mum という伝聞表現で、知らない頻度の設問を推測で埋めている
理由の設問 if I had to guess で理由を素朴に推測している。専門知識がなくても自然に聞こえる言い方
最後の一文 抽象的な話で終わらせず、具体的なdetailを一つ加えることでスピーチに内容を持たせている

04よくある質問

絵が好きな子供を一人も知らない場合、この設問に答えられないのではないですか。

答えられなくても問題ありません。IELTS Speakingでは、Cue Cardの人物が実在するか、話の内容が事実として正しいかを検証されるわけではありません。知らないことを正直に認めたうえで、一番近い人物や推測を使って話を展開すれば、内容として成立します。

ゼロアンサーで答えると評価が下がりませんか。

評価が下がる根拠はありません。重要なのは、トピックについて話を展開し、適切な語彙や文法を使いながらまとまりのあるスピーチを続けられるかどうかです。知らないと認めたうえで話を広げられていれば、その点で不利になりません。

IELTSでは作り話をしてもいいのですか。

IELTS Speakingでは、Cue Cardで話す内容が実際の経験に基づいているかを確認されるわけではありません。そのため、実際には経験していない出来事を想定して話すこと自体が問題になるわけではありません。ただし、複雑な架空設定を作る必要はありません。自分が知っている範囲から一番近い人物を選び、そこから伝聞や推測で話を広げるほうが、自然に話し続けやすくなります。

一番近い人物すら思いつかない場合はどうすればよいですか。

同僚や友人の子供、SNSで見かけた程度の知り合いなど、記憶の片隅にある人物を探してみましょう。それすら見つからない場合は、なぜ子供と接点がないのかを話すこと自体が、whoの設問に対する内容になります。

頻度を聞かれて本当に知らない場合、どう答えればよいですか。

apparently や I'd guess、according to といった伝聞・推測の表現を使いましょう。モデルアンサーのように、〜と聞いた、たぶん〜だと思う、と正直に前置きすれば、知らないままでも自然に話を続けられます。ただし、細かい架空の設定を盛り込みすぎないよう、伝聞や推測は要点にとどめましょう。

知らないと言い続けても、パート2の2分間は持ちますか。

モデルアンサーは、知らないことを認めながらも、接点の経緯や推測、最後の具体的なdetailを積み重ねる構成になっており、内容としては十分な分量になります。ただ時間を埋めるのではなく、話を展開できていることが大切です。

最後に具体的な記憶を一つ加えているのはなぜですか。

知らないという抽象的な話だけで終わらせず、最後に一つ具体的なdetailを入れることで、スピーチに内容を持たせているためです。モデルアンサーでは、イベントで見た家族の絵という細部を最後に加えています。

この考え方は絵が好きな子供以外のCue Cardにも使えますか。

使えます。知っている人物や訪れた場所そのものが思い浮かばないタイプのCue Card全般に応用できる考え方で、以前のニュースレターで紹介したゼロアンサーの基本的な組み立て方と同じです。

05まとめ

  • 知っている子供がいなくても、条件に完全に一致していなくても、一番近いところから話を広げればゼロアンサーは機能する
  • 4つの下位設問は、正確な事実を埋める欄ではなく、話を広げるための材料として使う
  • apparently、I'd guess、according to 〜 のような伝聞・推測表現は便利だが、架空の設定を増やしすぎない
  • 最後に一つ具体的なdetailを添えると、スピーチに内容を持たせやすい

そんな人は知らない、そんな場所には行ったことがない、と止まってしまうのは、もったいないことです。今回の組み立て方は、人物や場所そのものが思い浮かばない他のCue Cardにもそのまま応用できます。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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