メインアイデアとサポートまで決められるようになると、次の課題は「その順序と流れ」です。Task ResponseとCoherence and CohesionでBand 7以上を狙うには、書き始める前に各段落の流れとエッセイ全体の進行まで決めておく必要があります。
さらにこの記事では、プランニングとライティングを交互に進める二段階プランニングを紹介します。プラスワンポイントのハイレベル集中講座「ライティングサミット」でも実践されている方法です。
プランニングの解説は、レベルごとに3本に分けています。この記事は上級にあたります。基本と、メインアイデアの組み立ては初級・中級の記事で解説しています。
初級
プランニングの基本
中級
プランニングの実践:メインアイデアとサポート
01各ボディの流れをイメージする
Band 7.0以上を目指す方は、各ボディパラグラフをどのような順序で書くかをプランニングの段階で決めておきましょう。パラグラフ内の流れが明確になると、より論理的で読みやすいエッセイになります。
一般的なボディパラグラフの構成は以下の通りです。
ボディパラグラフの基本構成
- トピックセンテンス: メインアイデアを述べる
- 説明・根拠: メインアイデアを詳しく説明する、または根拠を示す
- 具体例: 例を挙げて説得力を高める
- 影響・結論: そのアイデアの影響を述べる、またはパラグラフをまとめる
先ほどの「教育機会の平等」のメインアイデアで考えると、以下のような流れになります。
ボディパラグラフの流れの例
- 無料教育は教育機会を平等にする(トピックセンテンス)
- 貧しい家庭の学生も経済的な障壁なく大学に進学できる(根拠)
- ドイツの例:無料教育により誰でも大学教育を受けられる(具体例)
- 才能ある学生が活躍でき、社会全体の損失を防げる(影響)
このように事前に流れをイメージしておくことで、ライティング中に「次は何を書こう」と迷う時間を減らすことができます。ただし、実際に書き始めると予定通りにいかないこともあります。その場合は柔軟に対応し、書きながら調整していくことも大切です。
02エッセイ全体の流れをイメージする
最後に、イントロダクション、ボディ1、ボディ2、コンクルージョンという4つのパラグラフ全体の流れを確認します。これは、エッセイに一貫性を持たせるために重要なステップです。
特に以下の点を確認しましょう。
全体の流れで確認すべきポイント
- イントロダクションで自分のポジションを明確に述べているか
- 2つのボディパラグラフは異なる視点からアプローチしているか
- ボディ1とボディ2の順序は適切か(重要度や論理的な順序)
- コンクルージョンでポジションを再確認できるか
例えば、「教育機会の平等」と「社会全体の利益」という2つのメインアイデアがある場合、どちらを先に書くべきでしょうか。一般的には、より直接的な理由(この場合は「教育機会の平等」)を先に述べ、より広い視点の理由(「社会全体の利益」)を後に述べると、論理的な流れが作りやすくなります。
プランニングでここまで準備できれば、あとはそのプランに沿って書いていくだけです。プランニングにかけられる時間は「プランニングの基本」で説明した通りですが、慣れないうちはじっくり時間を取って練習してみましょう。練習を重ねることで、徐々にスピードアップできるようになります。
03一般的なプランニングの問題点
多くの学習者が実践している標準的なプランニングの流れは以下のようなものでしょう。
一般的なプランニングの流れ
- 5〜10分:アイデアを考えて構成を練る
- 30〜35分:エッセイを書く
- 1〜2分:見直し
この方法の考え方はシンプルです。エッセイを書く前にしっかりアイデアや構成を考えておくことで、書き始めてから迷わずに済むようにするというものです。プランニングには、ポジションの決定、各ボディのメインアイデア、それぞれのサポートアイデアや具体例を考えることが多いでしょう。
ライティング初級者から中級者にあがるに従って、このようなプランニングを取り入れていく方も多いでしょう。一方で、ある程度試験を受けている人の中には、「最初の10分間のプランニングが本当に機能しているのか」という疑問を持ち始める人も少なくありません。
一般的なプランニングには、実践していると気づきやすい落とし穴がいくつかあります。
1
アイデアを考えるだけで終わってしまう
プランニングの大半の時間をメインアイデアを考える時間に使ってしまい、結果としてメインアイデアのリストを作っただけで終わることがあります。メインアイデアをサポートする説明や具体例まで十分に詰め切れていない状態でエッセイを書き始めると、ボディを書く途中で筆が止まり、再び考え直す(追加でプランニングをする)羽目になります。
2
書きながら結局考え直している
せっかく前もってプランニングをしたのに、エッセイを書いている途中で「このアイデアではサポートが続かない」「別の方向性のほうが良かった」と考えを変えてしまい、再び考え直す(追加でプランニングをする)こともあります。最初にプランニングに時間を使ったにもかかわらず、書きながらさらに考え直すという二重の時間コストが発生してしまうのです。
3
書き進めてから方向性の間違いに気づく
ほとんどの人は、エッセイをイントロダクションから書き始めます。しかし、エッセイの中で矛盾や方向性の間違いに気づくのは、エッセイの後半にさしかかってからです。特に自分の主張を展開することの多い第2ボディ(ボディが2つの場合)に、このような問題が生じることが多いのですが、この時点ではすでにかなりの時間が経過しており、「やはり違う角度から論じたい」と感じても修正が間に合わないケースがほとんどなのです。
04二段階プランニング(上級者向け)
これらの問題を解決しようと編み出されたのが、以下のような「二段階プランニング」です。これはライティングサミットでも紹介されている方法で、多くの受講生の方がパフォーマンスの向上を実感しています。実際にこの方法を取り入れてから試験でハイスコアを達成した受講生も多くおられます。
この手法は、プランニングとライティングを交互に進めることで、より精度の高いエッセイを書くことを目的としています。
二段階プランニングの流れ
- 3〜5分:仮プランニング
- 6〜8分:ボディ1・ボディ2のトピックセンテンスを書く(2文)
- 6〜8分:各段落に2つ目のメインアイデアがある場合は、そのセンテンスも書く(+2文)
- 2〜3分:検証(タスクを再確認、エッセイ全体の流れの確認)
- 5〜6分:追加プランニング+ボディ1の完成
- 5〜6分:追加プランニング+ボディ2の完成
- 5〜6分:イントロダクションとコンクルージョンを書く
- 1〜2分:見直し
イントロとコンクルージョンは最後に
この方法の最大の特徴は、ボディを先に書き、イントロとコンクルージョンを最後に書くという順序にあります。イントロは「これから何を書くか」を読者に伝えるものですが、実際には「すでに何を書いたか」がわかってから書くほうが正確に書けます。ボディの内容が確定した状態でイントロを書けるため、整合性のとれたエッセイになりやすいのです。
トピックセンテンスを書いた後に立ち止まる
メインアイデアを書いた後に、「検証(タスクを再確認、エッセイ全体の流れの確認)」というプロセスを入れているのには理由があります。トピックセンテンスはその段落で何を主張するかを一文で示したものです。この段階で全体を俯瞰すると、「ボディ1とボディ2の内容が矛盾している」「タスクで問われていることから逸脱している」といった問題に気づきやすくなります。
これは本来、最初のプランニングで気づくべきことですが、ロジカルな思考に慣れていない方は、プランニングの段階では意外と矛盾に気づきません。そこである程度骨組みを作った段階で一度立ち止まり、全体を見渡すことで、問題を早期に発見できるのです。まだ本文を書き込んでいない段階なので、この時点での修正は比較的容易です。
05二段階プランニングの根拠
あとで考え直す想定でプランニングをする
この二段階プランニングの考え方の根底にあるのは、「どんなライティング上級者でも、書きながら考えが深まることがある」という現実です。プランニングで完璧な設計図を作ろうとするのではなく、途中で見直す余地を意図的に残すことで、より柔軟にエッセイを完成させることができます。
通常のプランニングでは、10分程度の限られた時間の中でアイデアを出し切ろうとします。しかし、私たちがよく経験するように、アイデアは「英語を書き進めるうちに」深まることもしばしば起こります。二段階プランニングではこの事実を逆手に取り、書きながら生まれるアイデアをプランに還元できるタイミングを明示的に設けているのです。
この方法はトータルの時間配分が通常のプランニングと大きく変わるわけではありません。結局のところ、トータルで使っているプランニングの時間はほぼ同じです。違いは、思考とライティングを分断せず、交互に進めるという発想にあります。これにより、「プランニングで考えたこと」と「実際に書いたこと」のギャップが生まれにくくなります。
なぜイントロは最後でいいのか
「イントロを最初に書かないのは気持ちが悪い」と感じる人もいるかもしれません。しかし、プロのライターや学術論文を書く研究者の中には、本文を書き終えてから序文や要旨を完成させるという手順を取る人も多くいます。これは、何を書いたかが明確になってから「何を書くか」を説明するほうが論理的に整合しやすいからです。
IELTSの試験においても、同じ発想が使えます。ボディで展開した論点が固まった状態でイントロを書けば、論点がボディの内容と一致しやすくなります。
06自分に合う方法を見つける
二段階プランニングはすべての人に最適な方法ではありません。一般的なプランニングで問題なくエッセイを書けている人が、あえてこの方法に切り替える必要はないでしょう。一方で、「10分プランニングしても書いているうちに詰まってしまう」「プランと書いた内容がズレてしまう」という悩みを抱えている人には、試してみる価値があります。
自分に合ったプランニングスタイルを見つけるためには、いくつかのパターンを実際に試してみることが必要です。
どのパターンが自分にとって最もスムーズに感じるか、そして書き上がったエッセイの質が高いかを、複数回練習して比較してみてください。数回同じパターンで練習すれば、自分との相性がわかってきます。さまざまなバリエーションを練習の中で試してみて、自分が一番しっくりくると感じたものこそがその人にあった最善の手法なのです。
試験でいきなり試すのは絶対にNG
二段階プランニングは一般的なプランニングとは手順が複雑なため、慣れていない状態で試験本番に臨むと、混乱して時間を無駄にするリスクがあります。「ボディを先に書く」「イントロを最後に書く」という順序を体に染み込ませるには、少なくとも5〜10回は本番と同じ時間制限の中で練習を重ねることが必要です。新しい方法を試すのは必ず練習の場でのみにしましょう。
07よくある質問
二段階プランニングとは何ですか。
プランニングとライティングを交互に進める方法です。3〜5分の仮プランニングのあとボディのトピックセンテンスだけを書き、そこで一度立ち止まって全体を検証してから各ボディを完成させ、イントロダクションとコンクルージョンを最後に書きます。
なぜイントロダクションを最後に書くのですか。
イントロダクションは「これから何を書くか」を伝えるものですが、実際には「すでに何を書いたか」が分かってから書くほうが正確に書けるからです。ボディの内容が確定した状態で書けるため、整合性のとれたエッセイになります。学術論文でも本文のあとに序文を仕上げる書き手は多くいます。
二段階プランニングは誰にでも向いていますか。
いいえ。一般的なプランニングで問題なく書けている人が、あえて切り替える必要はありません。「10分プランニングしても書いているうちに詰まる」「プランと書いた内容がズレる」という悩みがある人に向いています。
試験本番でいきなり試してもよいですか。
絶対に避けてください。手順が複雑なため、慣れていない状態で本番に臨むと混乱して時間を無駄にします。本番と同じ時間制限で少なくとも5〜10回は練習してから使ってください。
トピックセンテンスを書いたあとに立ち止まるのはなぜですか。
トピックセンテンスはその段落の主張を一文で示したものなので、並べて俯瞰すると「ボディ1とボディ2が矛盾している」「タスクから逸脱している」といった問題に気づきやすくなるからです。まだ本文を書き込んでいない段階なので、修正が容易です。
二段階プランニングにすると時間は増えますか。
トータルで使うプランニングの時間はほぼ同じです。違いは、思考とライティングを分断せず交互に進める点にあり、「プランニングで考えたこと」と「実際に書いたこと」のギャップが生まれにくくなります。
ボディ1とボディ2はどちらを先に書くべきですか。
一般的には、より直接的な理由を先に、より広い視点の理由を後に置くと論理の流れを作りやすくなります。二段階プランニングでは両方のトピックセンテンスを先に書くため、この順序も検証の段階で判断できます。
08まとめ
上級で扱うのは、流れの設計と、プランニングそのものの組み立て直しです。
- 各ボディはトピックセンテンス・説明/根拠・具体例・影響/結論の流れで設計する
- 2つのボディの順序は、直接的な理由から広い視点の理由へ
- 一般的なプランニングは、書きながら考え直す時間コストが読めない
- 二段階プランニングは、トピックセンテンスの段階で全体を検証する
- イントロダクションとコンクルージョンは最後に書く
- 新しい方法を試すのは必ず練習の場でのみ
どのプランニングが自分に合うかは、実際に試して比較するまで分かりません。時間を計りながら、複数のパターンを練習の中で試してみてください。
初級
プランニングの基本
中級
プランニングの実践:メインアイデアとサポート