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ライティング・タスク1

ライティング・タスク1は時系列かスナップショットか:横軸で見分けて動詞を選ぶ

執筆:高橋 響 公開日:

ライティング・タスク1で図を見たとき、最初に決めるのは線グラフか棒グラフかではありません。そのグラフが時間の経過にともなう変化を示しているのか、ある時点の数値を並べているのか、という2択です。ここを分けずに書き始めると、使う動詞が図の内容と合わなくなります。

この記事では、時系列とスナップショットの判別を横軸から行う方法と、それぞれで使う動詞や表現の違いを整理します。判別に迷いやすい図の扱い方と、書き始めるまでの手順もあわせて扱います。

01タスク1のグラフはまず2つに分けて考える

アカデミック・タスク1のグラフは、時系列のグラフとスナップショットのグラフの2つに分けて考えます。時系列は時間の経過にともなう数値の変化を示すもの、スナップショットはある時点の数値を並べたものです。この2つでは、レポートで使う動詞がまったく違います。

時系列のグラフでは、数値の増減を中心に説明します。何がどれだけ増えたのか、どこで下がったのか、期間全体としてどちらに動いたのかが書く内容になります。一方、スナップショットのグラフでは、数値の比較を中心に説明します。どれが一番大きいのか、どれとどれが同じくらいなのか、上位のいくつかで全体のどれくらいを占めているのかが書く内容です。

グラフの見た目は分類の決め手にならない

ここで注意したいのは、棒グラフだから比較、線グラフだから変化、と見た目で決められないことです。棒グラフには、複数の国の数値を並べたスナップショットのものもあれば、年ごとの数値を並べた時系列のものもあります。見た目はどちらもよく似た棒グラフですが、書くべき内容は別物です。

円グラフも同様で、1つだけ出ていればある時点の内訳ですが、2000年と2020年の2つが並んでいれば、その差を説明することになります。図の種類を先に見てしまうと、この違いを飛ばしたまま書き始めることになります。

ライティング・タスク1 【総まとめ】アカデミックタスク1

02時系列かスナップショットかは横軸で分かる

時系列かスナップショットかは、横軸を見れば判別できます。横軸に年や月が並んでいれば時系列、国名や品目などのカテゴリが並んでいればスナップショットです。縦軸は数値の単位を確認するために見るところで、判別に使うのは横軸のほうです。

タスク文の時の表現も手がかりになる

横軸と同じことは、タスク文の時の表現からも分かります。次の2つは、同じデータを扱いながら時の表現だけが違う例です。

タスク文の例(説明のために作成したものです)

The chart below shows the percentage of households with internet access in five countries in 2015.

The chart below shows the percentage of households with internet access in five countries between 1995 and 2015.

1つ目は in 2015 と時点が1つだけ指定されているので、スナップショットです。5つの国の2015年時点の数値を比べることになります。2つ目は between 1995 and 2015 と期間が指定されているので、時系列です。同じ5つの国について、20年間でどう動いたかを書くことになります。

期間を示す表現には、between A and B のほかに from 1990 to 2020、over a 20-year period、in the period from 2000 to 2010 などがあります。こうした表現が入っていれば時系列と考えて差し支えありません。逆に、in 2015、in a particular year のように時点が1つしか出てこなければスナップショットです。

横軸がない図はタスク文で判断する

円グラフには横軸がないため、タスク文に出てくる年がいくつあるかで判断します。年が1つならスナップショット、2つ以上の円が並んでいれば、その間の変化を扱うことになります。表の場合は、一番上の行に年が並んでいるかどうかを見ます。

03時系列のグラフではどんな動詞を使うか

時系列のグラフでは、増減を表す動詞を中心に使います。上がったか下がったか、どのくらいの速さで動いたか、途中で止まったか、といった内容を表す語がまとまって必要になります。

動きの種類上がる下がる
普通に動くincrease、rise、grow、climb、go updecrease、fall、decline、drop、go down
急激に動くsoar、jump、shoot upplummet、plunge、tumble
わずかに動くedge up、tick updip、ease

上がり下がり以外の動きにも語をあてます。横ばいなら remain stable、level off、plateau、上下を繰り返しているなら fluctuate、最高点に達したなら peak at、reach a peak of を使います。この4つは増減の動詞だけでは書けない動きなので、押さえておくと表現の幅が出ます。

動詞に添える副詞と前置詞

動詞だけでは、どのくらい動いたかが伝わりません。gradually、steadily、slightly、sharply、dramatically といった副詞を添えて、変化の程度を示します。

数値の示し方も決まっています。到達点を示すなら rise to 40 per cent、変化した幅を示すなら rise by 10 percentage points、起点と終点の両方を示すなら rise from 20 per cent to 40 per cent です。to と by の使い分けは意味が変わるところなので、書きながら確認するとよいでしょう。

04スナップショットのグラフではどんな表現を使うか

スナップショットのグラフでは、比較を表す表現を中心に使います。増減の動詞は基本的に出番がありません。ある時点の数値しか示されていないので、動いたかどうかを書く材料が図の中にないためです。

用途使う表現
2つを比べるmore than、less than、higher than、lower than
倍数で比べるtwice as many as、three times as high as、half as much as
最大と最小を示すthe highest、the largest、the lowest、the smallest
割合を示すaccount for、make up、represent
順位を並べるbe followed by、come second、rank third

数値の添え方は、at 40 per cent のように前置詞を使う形が使いやすいです。Japan recorded the highest figure, at 91 per cent. のように、文の後ろに数値を置くと、比較と数値を1文にまとめられます。

文が単調になりやすい点に注意する

スナップショットのレポートでは、使う動詞が be動詞と account for のあたりに集中しやすく、同じ形の文が並びがちです。採点基準(Band Descriptors)の Lexical Resource や Grammatical Range and Accuracy の観点では、語彙や文構造の幅も見られます。比較の型を変える、主語を数値のほうに置き換える、2つの項目をまとめて1文にするといった調整で、文の形を散らしておくとよいでしょう。

05動詞を取り違えるとどうなるか

動詞を取り違えると、採点基準(Band Descriptors)の Task Achievement の観点で不利になります。図が示していない内容を書けば事実と違う記述になり、図が示している内容を書かなければ求められている情報が抜けるためです。

スナップショットの図に増減の動詞を使った場合

The percentage of households with internet access increased in Japan.2015年だけの図には、増えたという情報がない

The percentage of households with internet access was highest in Japan, at 91 per cent.その時点の比較として書く

ある時点だけを示す図に increased と書くと、図にない変化を報告したことになります。数値そのものが合っていても、図の読み取りとしては誤りです。

時系列の図を比較だけで書いた場合

Japan had a higher percentage than the United Kingdom.20年間の変化に触れていない

The percentage in Japan rose steadily from 17 per cent to 91 per cent over the period.期間を通じた動きを書く

こちらは文としては誤りではありません。ただ、期間が指定された図で比較の文だけを並べると、変化という中心的な情報が抜けたレポートになります。時系列の図では、比較の文を使うにしても、変化を書いたうえで補足として置く形になります。

06判別に迷うグラフはどう見分けるか

判別に迷う図は、横軸と凡例、そして図の数を順に見ていくと整理できます。よく出てくる形を表にまとめます。

図の形分類書く内容
横軸が年、凡例に項目名時系列項目ごとの増減と、期間全体の方向
横軸がカテゴリ、年は1つスナップショットカテゴリ間の比較、最大と最小
横軸がカテゴリ、凡例に年が2つ以上両方の性質各年の比較と、年ごとの変化の両方
円グラフが1つスナップショット内訳の比較、上位が占める割合
円グラフが2つ以上並ぶ時系列2つの円のあいだで何が増え、何が減ったか
表の最上行に年が並ぶ時系列行ごとの動きと、突出した変化
複合型(グラフと表など)図ごとに判定片方が時系列、もう片方がスナップショットのことがある

両方の性質を持つグラフの扱い

横軸にカテゴリが並び、凡例に年が2つ以上ある棒グラフは、両方の性質を持ちます。この場合は、どちらか一方を選ぶのではなく、両方を書きます。各年の中でどのカテゴリが大きいかという比較と、年をまたいでどのカテゴリが伸びたかという変化の、2つの見方を段落で分けると整理しやすくなります。

地図とプロセスはこの分類の外

地図やレイアウト、プロセスやライフサイクルの問題は、時系列とスナップショットの分類に当てはめません。数値の増減や比較を扱う図ではないためです。地図は開発前と開発後を比べることが多く、時間の前後は出てきますが、書くのは施設が建った、道路が広がったといった変化であって、増減の動詞ではありません。

07図を見てから書き始めるまでの手順

図を見てから書き始めるまでは、次の5つを順に確認します。時間の目安は1分程度です。20分のうち1分をここに使っても、途中で気づいて書き直すより速く終わります。

  • タスク文の時の表現を見る。in 2015 のように時点が1つか、between 1995 and 2015 のように期間かを確認します
  • 横軸を見る。年が並んでいるか、カテゴリ名が並んでいるかを確認します
  • 縦軸の単位を確認する。per cent なのか、in millions などの単位付きなのかで、数値の書き方が変わります
  • 時系列なら期間全体でどちらに動いたか、スナップショットならどれが最大でどれが最小かを、ひとことで決めます。これがOverall文の中身になります
  • その判断に合う動詞群を頭に置いてから書き始めます。時系列なら増減の動詞、スナップショットなら比較の表現です

4番目で決めた内容は、そのままOverall文になります。時系列であれば期間を通じた方向、スナップショットであれば最大と最小が概要にあたるので、判別が済んだ時点で概要の骨格はできていることになります。

ライティング・タスク1 アカデミック・タスク1のOverall文(概要文)の書き方

この手順は、実際の図で何度か試してみないと1分には収まりません。模擬試験の形式でタスク1を解ける環境があれば、判別から書き始めるまでを通しで練習しておくとよいでしょう。

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08よくある質問

棒グラフは時系列とスナップショットのどちらですか。

棒グラフにはどちらもあります。複数の国や品目を並べたスナップショットの棒グラフもあれば、年ごとの数値を並べた時系列の棒グラフもあります。見た目では決まらないので、横軸に年が並んでいるかカテゴリ名が並んでいるかで判断してください。

横軸に年が並んでいれば必ず時系列ですか。

横軸に年や月が並んでいれば時系列と考えて差し支えありません。年が2つしかない場合も、その2点のあいだで何が増え何が減ったかを書くことになるので、時系列として扱います。タスク文に between A and B や from A to B といった期間の表現があるかどうかも同じ手がかりになります。

スナップショットのグラフで increase を使ってはいけませんか。

ある時点だけを示す図では使いません。図に変化の情報がないため、増えたと書くと図が示していない内容を報告したことになります。数値そのものが合っていても、図の読み取りとしては誤りになります。

円グラフはどう判断すればよいですか。

円グラフには横軸がないので、タスク文に出てくる年がいくつあるかで判断します。年が1つで円が1つならスナップショットとして内訳を比較します。2000年と2020年のように円が2つ以上並んでいれば、そのあいだで何が増え何が減ったかを書きます。

時系列とスナップショットの両方の性質があるグラフはどう書けばよいですか。

どちらか一方を選ばず、両方を書きます。横軸にカテゴリが並び、凡例に年が2つ以上ある棒グラフがこの形です。各年の中でどのカテゴリが大きいかという比較と、年をまたいでどのカテゴリが伸びたかという変化を、段落で分けると整理しやすくなります。

地図やプロセスの問題もこの分類に当てはめるのですか。

当てはめません。地図やレイアウト、プロセスやライフサイクルは、数値の増減や比較を扱う図ではないためです。地図では開発前と開発後を比べることが多いのですが、書く内容は施設が建った、道路が広がったといった変化で、増減の動詞は使いません。

図の判別にどのくらい時間をかけてよいですか。

1分程度が目安です。タスク1の目安時間は20分なので、そのうち1分を判別に使う計算になります。途中で分類を間違えていたことに気づいて書き直すより、先に1分を使うほうが速く終わります。

動詞を取り違えるとスコアにどう影響しますか。

採点基準(Band Descriptors)の Task Achievement の観点で不利になります。ある時点だけの図に増減の動詞を使えば、図が示していない内容を書いたことになります。逆に期間が指定された図を比較の文だけで書くと、変化という中心的な情報が抜けたレポートになります。

09まとめ

タスク1のグラフは、線か棒か円かという見た目ではなく、時系列かスナップショットかで分けて考えます。判別は横軸を見れば済み、横軸がない円グラフはタスク文の年の数で判断できます。ここが決まると、使う動詞群とOverall文の中身が同時に決まります。

  • 横軸に年や月が並んでいれば時系列、カテゴリ名が並んでいればスナップショット
  • タスク文の時の表現も手がかりになる。in 2015 なら時点、between 1995 and 2015 なら期間
  • 時系列では increase、rise、fall、soar などの増減の動詞と、程度を示す副詞を使う
  • スナップショットでは higher than、the largest、account for などの比較の表現を使う
  • ある時点だけの図に増減の動詞を使うと、図にない変化を書いたことになる
  • 横軸がカテゴリで凡例に年が2つ以上ある図は、比較と変化の両方を書く
  • 円グラフは1つならスナップショット、2つ以上並んでいれば時系列として扱う
  • 地図とプロセスはこの分類の外にある

次にタスク1の図を見るときは、線か棒かを見る前に横軸を確認してみてください。そこで時系列かスナップショットかが決まれば、書き出しの動詞に迷う時間がなくなります。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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