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ライティング・タスク2

a lack of / the lack of / lack of の使い分け

執筆:高橋 響 公開日: 最終更新:

「〜の不足」を英語で表現する際、lack of という表現がよく使われます。しかし、a lack of を使うべきなのか、the lack of を使うべきなのか、あるいは無冠詞の lack of を使うべきなのかで迷うことがあります。

どれを使うべきかは、「どの不足の話をしているのか」によって変わります。この記事では a lack of・the lack of・無冠詞の lack of をどう選び分けるか、そして名詞ではなく動詞の lack を使ったほうがよい場面について整理します。

01まず lack の3つの使い方を分ける

冠詞の話に入る前に、lack という語が文の中で果たす役割を分けておくと、迷う場面がかなり減ります。lack は名詞としても動詞としても使え、さらに lacking という形での使い方もあります。

使い方
名詞(a / the) lack of + 名詞There is a lack of public transport in the area.
動詞lack + 目的語(of は入れない)The area lacks public transport.
形容詞的be lacking (in + 名詞)The area is lacking in public transport.

冠詞をどうするか悩むのは、このうち1つ目の名詞用法だけです。当然ですが、動詞の lack には冠詞も of も付きません。

また、名詞の lack は数えられる名詞のような顔をしていますが、複数形の lacks が使われることはほとんどありません。つまり実際に選ぶ必要があるのは、a lack of・the lack of・無冠詞の lack of という3つだけです。

02a lack of:初めて「不足」を持ち出すとき

3つのうち最も出番が多いのが a lack of です。まだ話題に出ていない「不足」を、新しい情報として文に持ち込むときに使います。There is 構文や、be動詞のうしろで説明を加える形でよく現れます。

There is a lack of affordable housing in major cities.

The main problem is a lack of qualified teachers.

Many rural areas suffer from a lack of medical facilities.

This decision was made because of a lack of reliable data.

of のうしろに来るのが複数名詞(teachers, facilities)でも不可算名詞(housing, data)でも、a lack of という形自体は変わりません。数えているのは「不足」という状態のほうであって、足りていないモノの数ではないからです。

動詞は lack に合わせる

ここで気をつけたいのが主語と動詞の一致です。名詞句の中心は lack なので、of のうしろが複数名詞でも動詞は単数扱いになります。

There is a lack of jobs in the region.中心は a lack なので is

There are a lack of jobs in the region.jobs に引きずられている

これは a lack of に限った話ではなく、a number of / a range of / the amount of など「名詞 + of + 名詞」の形すべてに共通する考え方です。of のうしろの名詞が目に入りやすいぶん、書いている最中に引きずられやすいところです。

03the lack of:どの不足かが特定できるとき

the が付くのは、「どの不足のことを言っているのか」が読み手の側でも特定できるときです。エッセイでは主に次の2つの形で出てきます。

前の文で触れた状況を受けるとき

A significant number of students drop out during their first year at university. The lack of academic support in this period is often cited as one reason.

前の文で「大学1年目の中退」という状況を示したうえで、その時期の支援不足を指しています。読み手はすでにどの場面の話か分かっているので、the が自然に働きます。

うしろの修飾語で範囲が絞られるとき

The lack of investment in public infrastructure over the past two decades has become increasingly visible.

in public infrastructure と over the past two decades によって、どの投資不足のことかが文中で限定されています。この場合は前の文がなくても the で問題ありません。

一般論に the を付けると読み手が探しはじめる

逆に、特定の手がかりがないまま the を付けると、読み手は「どの不足のこと?」と前の文脈を探しにいくことになります。書き手には自明でも、読み手には情報が渡っていない状態です。

A lack of exercise can lead to a range of health problems.一般論としての導入

The lack of exercise can lead to a range of health problems.どの運動不足を指すのか手がかりがない

ボディの冒頭で新しい論点を出す場面はたいてい「初出」なので、a を選んでおくと外しません。the が生きてくるのは、その論点を展開して2文目・3文目で受け直すときです。

04無冠詞の lack of:列挙と前置詞句

冠詞を付けない lack of も存在します。ただし使える場所はかなり限られています。

前置詞のうしろの定型的な言い方

The project was cancelled due to lack of funding.

The case was dismissed for lack of evidence.

The plan failed through lack of preparation.

due to lack of funding は自然ですが、due to a lack of funding も同じように使われ、こちらのほうが目にする機会は多くなります。無冠詞のほうがやや形式ばった、あるいは簡潔さを優先した響きになると考えておくとよいでしょう。

他の無冠詞名詞と並べて列挙するとき

Poverty, unemployment and lack of education are closely connected.

Poverty も unemployment も冠詞なしで並んでいるので、lack of education だけに a を付けると形が揃わなくなります。列挙の中では周囲に合わせるのが自然です。

文頭の主語として一般論を述べるとき

Lack of sleep affects concentration and memory.

A lack of sleep affects concentration and memory.

どちらも通じます。無冠詞のほうが硬く、見出しや格言に近い響きになります。エッセイの本文では a lack of を選んでおけば、読み手が引っかかることはありません。

迷ったときの判断順序

  • 新しく「不足」を持ち出す:a lack of を選ぶ。これが基本形です。
  • 前の文や修飾語で「どの不足か」が絞れている:the lack of にする。
  • 無冠詞名詞と並べる、または due to / for などの定型句:無冠詞の lack of を使う。

05動詞の lack には of を付けない

気をつけておきたいのは、動詞で使う場合は他動詞であり、lack of のように自動詞として使ってはいけない点です。名詞の lack of という並びを覚えているぶん、動詞にしたときも of が残ってしまうかたが多くおられます。

The report lacks of detail.

The report lacks detail.

Many students lack of confidence in speaking.

Many students lack confidence in speaking.

動詞の lack は目的語を直接取ります。前置詞の of は不要です。

名詞と動詞、どちらを選ぶか

同じ内容は名詞でも動詞でも書けます。違うのは文の重心です。

There is a lack of practical training in the current curriculum.

The current curriculum lacks practical training.

上は「不足がある」という状態そのものを主題にした形、下はカリキュラムを主語に立てた形です。内容は同じでも、下のほうが語数が少なく、次の文への流れも作りやすくなります。

ボディ段落で There is / There are が続いてしまったときは、動詞の lack に置き換えられないか考えてみるとよいでしょう。同じ単語でも品詞を切り替えることで、文構造のバリエーションを示すことができます。

06be lacking in と lacking の使い方

be lacking in は「〜の点で不十分だ」という意味で、主語の性質を評価するときに使います。

The essay is lacking in supporting evidence.

His argument was lacking in detail.

lacking を単独で「欠けている」という意味で使うこともできます。この場合、足りていないものが主語に立ちます。

Supporting evidence was lacking.

What is lacking is a clear long-term plan.

ただし be lacking in は lack より使う場面が狭く、書き言葉ではやや評価的な響きを持ちます。エッセイの本文で状況を客観的に述べたいときは、動詞の lack か名詞の a lack of を選ぶほうが素直です。be lacking in は、自分の主張として「不十分だ」と評価を下す場面に取っておくとよいでしょう。

07lack of ばかりに頼らない

lack of は守備範囲が広いので、社会問題を扱うエッセイでは1本の中に何度も出てくることがあります。表現のバリエーションを見せたい方は、以下のような表現も覚えておくといいでしょう。

表現指している状況
a shortage of需要に対して供給が足りない。一時的・数量的a shortage of nurses in rural hospitals
a scarcity of資源などがそもそも希少で手に入りにくいa scarcity of clean water
the absence ofまったく存在しないthe absence of clear regulation
insufficient / inadequate量が足りない、質が十分でないを形容詞で言うinadequate funding for public schools
limited access to存在はするが手が届かないlimited access to higher education
fail to provide足りない側ではなく、提供する主体を主語にするThe government fails to provide adequate housing.

言い換えは「同じ意味の別の単語に置き換える作業」ではなく、「何がどう足りていないのか」を言い分けるための選択です。たとえば地域に病院が1つもないなら the absence of hospitals、病院はあるが数が足りていないなら a shortage of hospitals、病院はあっても遠くて通えないなら limited access to healthcare と、指している状況がそれぞれ違います。

やみくもに置き換えると、かえって内容がぼやけることがあります。まず日本語で「何がどう足りないのか」を一段細かく言い直してみて、それに合う英語表現を選ぶ順番にすると、語彙の幅と内容の正確さが同時に上がります。

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08よくある質問

a lack of と lack of はどちらを使えばよいですか。

迷ったら a lack of を選んでください。エッセイの本文で「不足」を新しい情報として持ち出す場面では、こちらが標準的な形です。無冠詞の lack of は、due to lack of funding のような前置詞句の定型表現か、他の無冠詞名詞と並べて列挙する場合に限って使うと考えておくと安全です。

a lack of のうしろは単数形と複数形のどちらですか。

うしろに来る名詞の性質で決まります。数えられない名詞ならそのままの形(a lack of information)、数えられる名詞なら原則として複数形(a lack of facilities)です。lack 自体の形はどちらでも変わりません。

There are a lack of ... と書いてよいですか。

正しくありません。名詞句の中心は a lack という単数の名詞なので、There is a lack of ... となります。of のうしろが複数名詞であっても、動詞は単数のままです。

lack of は動詞として使えますか。

使えません。The report lacks of detail. は誤りで、正しくは The report lacks detail. です。動詞の lack は of を挟まずに目的語を直接取ります。

lacks と is lacking in はどう違いますか。

lacks は「〜を欠いている」と事実を述べる言い方です。is lacking in には「〜の点で不十分だ」という書き手の評価が入ります。エッセイで状況を客観的に説明する場面では lacks のほうが素直で、評価を下す場面で is lacking in を使うと役割が分かれます。

the lack of を使ってよいのはどんなときですか。

読み手が「どの不足のことか」を特定できるときです。前の文ですでにその状況に触れている場合か、in public infrastructure over the past two decades のようにうしろの修飾語で範囲が絞られている場合が該当します。手がかりがないまま the を付けると、読み手は前の文脈を探しにいくことになります。

09まとめ

lack は冠詞の選択と品詞の切り替えという2つの判断が同時に必要になる語です。次の6点を押さえておけば、エッセイの中で迷う場面はほとんどなくなります。

  • 名詞の lack は a lack of が基本形。新しく「不足」を持ち出すときに使う
  • the lack of は、前の文や修飾語で「どの不足か」が特定できるときだけ
  • 無冠詞の lack of は、due to / for などの定型句と、無冠詞名詞との列挙に限る
  • 主語が a lack of ... のとき、動詞は単数(There is a lack of jobs.)
  • 動詞の lack は of を取らない(lacks detail であって lacks of detail ではない)
  • 繰り返しは shortage / scarcity / absence / limited access to などで、状況ごとに言い分ける

自分の過去の答案を開いて lack で検索し、1つずつ「これは初出か、それとも受け直しか」を確認してみてください。冠詞の判断は文脈を読む作業なので、既に書いたものを見直すほうが感覚をつかみやすくなります。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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