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ライティング・タスク1

アカデミック・タスク1のOverview(概要文)の書き方

執筆:高橋 響 公開日: 最終更新:

アカデミック・タスク1の採点基準には、グラフや図が示している全体像を述べることが項目として組み込まれています。数値を正確に読み取って書き写せていても、この一文がないだけで Task Achievement の評価は伸びにくくなります。

この記事では、Overviewが何を求められているのか、どこに置くのか、どこまでを「概要」としてどこからを「詳細」とするのかを、図の種類ごとに整理します。

01Overviewは何を求められているのか

アカデミック・タスク1の採点基準(Band Descriptors)の Task Achievement では、バンド6の条件に「概要(overview)を示している」ことが含まれています。つまり Overviewは、Task Achievement で6以上を取るための必須要素です。バンド7ではさらに「main trends, differences or stages の明確な概要を示している」ことが条件になり、逆に低いバンドの記述には「概要がないまま詳細を機械的に並べている」という状態が挙げられています。

Overviewは、書けば加点される装飾ではありません。数値の読み取りがどれだけ正確でも、全体像の一文がなければ Task Achievement は6以上に届かないと考えてください。

求められているのは「読まなくても分かる要約」

Overviewの役割は、図を見ていない読み手に対して「この図で最も目立つことは何か」を一言で伝えることです。逆に言えば、図を見なければ意味が取れない書き方になっていたら、その文は概要として働いていません。

Overall, car ownership rose steadily throughout the period, while the use of public transport declined.図を見なくても方向が分かる

Overall, there were some changes in the figures over the period.どんな図にも当てはまり、情報がない

02どこに置くか

置き場所は2通りあります。どちらでも採点上の扱いは変わりませんが、実際に書くうえでは差が出ます。

1. イントロダクションの直後(推奨)

タスク文を言い換えた1文の直後に Overviewを置き、そこから詳細段落に入る形です。読み手は最初に全体像を受け取ってから細部を読むことになるので、内容が頭に入りやすくなります。

もう一つの利点は、時間切れのリスクを避けられることです。タスク2を先に書いた場合など、タスク1の残り時間が足りなくなる場面はよくありますが、この順序なら概要は先に確保されています。

2. 最後に独立した段落として置く

詳細段落を書き終えてから、最後に Overall で始まる短い段落を置く形です。全体を書いたあとなので概要はまとめやすくなりますが、時間が足りなくなったときに真っ先に落ちるのがこの段落です。

どちらの場合も、Overviewは詳細段落の中に混ぜず、独立させておくと読み手が見つけやすくなります。

構成例(推奨の順序)

第1段落:タスク文の言い換え(The chart shows … を別の表現で)+ Overall, …(全体像)

第2段落:詳細1(グループA、または前半の期間)

第3段落:詳細2(グループB、または後半の期間)

03概要と詳細の線引き

Overviewで最も判断に迷うのが、どこまで書いてよいのかという線引きです。基準はシンプルで、「個別の数値は詳細段落に回す」と考えておけば大きく外しません。

概要に入れるもの詳細段落に回すもの
全体としての方向(増加・減少・横ばい)各年の具体的な数値
最も高いもの・最も低いものその差が何ポイントか
順位の入れ替わりがあったかどうか入れ替わりが起きた正確な年
グループが2つに分かれるという構図グループ内の各項目の推移
プロセスの段階数と始点・終点各段階で何が行われるか

数値をまったく書いてはいけないのか

禁止されているわけではありません。ただし数値を入れ始めると詳細段落と内容が重複し、概要としての機能が薄れます。入れるとしても、全体像を示すために不可欠な1つか2つにとどめておくのが安全です。

Overall, electricity consumption more than doubled over the period, with industry remaining the largest consumer throughout.

Overall, consumption rose from 120 units in 1990 to 185 units in 2000 and then to 260 units in 2010.詳細段落と同じ内容になっている

04図の種類ごとに「概要」は変わる

「全体像」と言っても、図の種類によって何が全体像にあたるかは違います。図を見た瞬間にどこを探せばよいかを決めておくと、迷う時間が減ります。

時系列のグラフ(線グラフ・推移を示す棒グラフ)

期間を通じた方向が最優先です。すべての項目が同じ方向に動いているのか、逆方向に分かれているのかを見ます。次に、順位の入れ替わりがあったかどうかを確認します。

Overall, all four categories increased over the period, although the rate of growth varied considerably.

Overall, while spending on housing rose steadily, spending on food fell over the same period.

Overall, coal was the dominant source at the start of the period but had been overtaken by natural gas by the end.

ある時点だけを示す図(円グラフ、単年の棒グラフ)

推移がないので、最大と最小、そして項目のグループ分けが概要になります。上位のいくつかで全体の大半を占めている、といった構図も使えます。

Overall, transport accounted for the largest share of household spending, while education made up the smallest.

Overall, the top three categories together accounted for more than two thirds of the total.

数値が並んでいるだけなので、自分で軸を決める必要があります。行の中で突出しているもの、列の中で突出しているものを探し、そこから構図を作ります。

Overall, Country A led in every category except one, whereas Country D recorded the lowest figures across the board.

地図・レイアウト

数値がないぶん、変化の性質をまとめます。開発が進んだのか、用途が変わったのか、施設が移動したのか、規模が拡大したのかという方向です。

Overall, the village was transformed from a largely rural settlement into a residential area, with most of the farmland replaced by housing.

プロセス・ライフサイクル

段階の数、始まりと終わり、そして直線的な工程かサイクルかという3点が概要になります。

Overall, the process consists of seven stages, beginning with the collection of raw materials and ending with distribution to retailers.

Overall, the diagram illustrates a continuous cycle with no clear starting or finishing point.

ライティング・タスク1 【総まとめ】アカデミックタスク1

05Overviewでよく使う型

Overviewは毎回ゼロから組み立てるものではありません。いくつかの型を用意しておき、図に合わせて中身を差し替えるほうが速く、正確に書けます。

最も基本の型

Overall, + 主語 + 動詞(全体の傾向).

Overall, car ownership increased steadily throughout the period.

対比を入れる型

Overall, A rose over the period, whereas B showed the opposite trend.

Overall, while A and B increased, C and D remained relatively stable.

最上位を示す型

Overall, A was the most common category in every year shown.

Overall, A remained the highest throughout the period, while B was consistently the lowest.

最も目立つ特徴を名指しする型

Overall, the most striking feature is that A overtook B in the second half of the period.

It is clear that the gap between the two groups widened considerably over the period.

Overall という語を毎回使う必要はありません。It is clear that … / It can be seen that … / The most noticeable trend is that … などでも同じ働きをします。ただし読み手にとって見つけやすいという点では Overall, で始める形が最も分かりやすく、試験本番では素直に使ってよいでしょう。

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06やってしまいがちな4つの失敗

失敗1:イントロの言い換えで終わっている

Overall, the chart shows the changes in car ownership between 1990 and 2020. のような文は、イントロダクションで既に書いた内容の繰り返しです。何が起きたのかという情報がまったく入っていません。

Overall, the graph shows how the population changed over the period.

Overall, the population grew rapidly until 2000 and then levelled off.

失敗2:詳細を全部入れてしまう

すべての項目についてそれぞれの動きを書くと、Overviewが3行4行に膨らみます。概要は1文か2文が目安です。書ききれないと感じたときは、項目をグループにまとめられないかを考えてみてください。

失敗3:理由や意見を書いてしまう

タスク1で求められているのは図が示している内容の報告です。なぜそうなったのかという推測や、それがよいことか悪いことかという評価は求められていません。書いてしまうと Task Achievement の観点で不利になります。

Overall, car use increased because public transport became more expensive.図に書かれていない理由を推測している

Overall, car use increased while public transport use fell.

失敗4:内容のない「変化した」で済ませる

There were some fluctuations. / The figures went up and down. のような表現は、方向を示していないので概要になりません。上がったのか下がったのか、最終的にどうなったのかまで書く必要があります。変動が激しい図であっても、期間の最初と最後を比べれば方向は必ず言えます。

0730秒で概要を決める手順

本番では概要を考えるのに何分もかけられません。次の順番で図を見ると、短時間で判断できます。

  • 1. 軸を確認する:横軸が時間かどうかを見ます。時間なら「方向」、時間でないなら「最大と最小」を探す方針になります。
  • 2. 期間の最初と最後だけを比べる:途中の動きは無視して、始点と終点だけを見ます。ここで全体の方向が決まります。
  • 3. 項目をグループに分けられるか見る:増えたものと減ったもの、高い水準のものと低い水準のもの。2つに分けられれば、対比の型がそのまま使えます。
  • 4. 順位の入れ替わりを探す:線が交差している箇所があれば、それは概要に入れる価値のある特徴です。
  • 5. 一番目立つ1点を選ぶ:すべてを書こうとせず、読み手に1つだけ伝えるとしたら何を選ぶかを決めます。

この手順で出てきた材料のうち、多くても2つを1文か2文にまとめます。3つ以上入れたくなったときは、それは概要ではなく詳細段落の内容だと考えてよいでしょう。

08よくある質問

Overviewは必ず書かなければいけませんか。

アカデミック・タスク1では必要です。採点基準(Band Descriptors)では、Task Achievement のバンド6の条件に概要(overview)を示すことが含まれています。概要がないまま詳細を並べただけの答案は、この項目で6以上に届きません。数値の読み取りが正確でも、この一文の有無で評価が変わります。

Overviewはイントロの直後と最後、どちらに置くべきですか。

採点上の扱いは変わりませんが、イントロの直後をおすすめします。読み手が最初に全体像を受け取れることと、時間切れになっても概要が確保されていることが理由です。最後に置く場合は、詳細段落に混ぜず独立した段落にしてください。

Overviewに具体的な数値を書いてもよいですか。

書いても誤りではありませんが、原則として個別の数値は詳細段落に回します。数値を並べると詳細段落と内容が重複し、概要としての働きが弱くなるためです。入れるとしても、全体像を示すために欠かせない1つか2つにとどめてください。

Overviewは何文で書けばよいですか。

1文から2文が目安です。図の中に対比と最上位の両方など、性質の違う特徴が2つある場合は2文に分けると読みやすくなります。3文以上になるときは、詳細段落の内容が入り込んでいる可能性があります。

Overall 以外の書き出しを使ってもよいですか。

使えます。It is clear that … / It can be seen that … / The most noticeable feature is that … などでも同じ働きをします。ただし読み手が概要の位置を見つけやすいという点では Overall, で始める形が最も明確なので、本番では素直に使って問題ありません。

グラフの数値が上下に激しく変動していて、方向がまとめられません。

途中の変動は無視して、期間の最初と最後だけを比べてください。始点と終点を比べれば方向は必ず言えます。そのうえで、変動が激しいこと自体が特徴であれば、fluctuated considerably before ending slightly higher than the starting point のように、変動と最終的な方向をあわせて書きます。

ジェネラル・トレーニングのタスク1(手紙)にも Overviewは必要ですか。

必要ありません。Overviewが求められるのはアカデミック・タスク1の図表問題です。ジェネラルのタスク1は手紙なので、3つの箇条書きの要件をすべて満たすことと、相手との関係に合ったトーンを保つことが評価の中心になります。

09まとめ

Overviewは、書き足せば点が伸びる付け足しではなく、Task Achievement の評価に直接かかわる構成要素です。次の点を押さえておけば、どの図が出ても対応できます。

  • イントロダクションの直後に、独立した1文か2文で置く
  • 図を見ていない読み手に「一番目立つこと」が伝わる内容にする
  • 個別の数値は詳細段落に回す。入れるとしても1つか2つ
  • 時系列なら方向、単年の図なら最大と最小、地図なら変化の性質、プロセスなら段階数と始点・終点
  • 理由の推測や良し悪しの評価は書かない
  • 「変化した」で止めず、上がったのか下がったのかまで言い切る

過去に書いたタスク1の答案を開いて、Overviewだけを抜き出して並べてみてください。図を見ずに読んでも意味が取れる文になっているかどうかで、その一文が概要として働いているかが判断できます。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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