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スピーキング

IELTSスピーキングでさりげなく使ってみよう。試験官の印象に残る比喩表現10選

スピーキングの学習がある程度進むと、「正確に話せているのに、どこか教科書のような英語になってしまう」という壁に当たります。この壁を越える鍵のひとつが、ネイティブが日常会話で自然に使っている比喩表現です。たとえば I have the receipts. と言えば、レシートの話ではなく「証拠ならある」という意味。こうした表現を会話の流れにさりげなく混ぜられると、一気に英語のこなれ感が出て、試験官の印象にも残ります。

この記事では、IELTSスピーキングの回答にさりげなく混ぜられる比喩表現を10個紹介します。基礎表現がひととおり身についた中級から上級の方に向けて、意味だけでなく「どの質問が来たら、どう滑り込ませるか」までセットで扱います。

01なぜ比喩表現は試験官に「おっ」と思わせるのか

IELTSスピーキングの採点基準(Band Descriptors)の語彙力(Lexical Resource)には、バンド7の目安として「あまり一般的でない語彙やイディオムをある程度使い、スタイルやコロケーションへの意識が見られる」という趣旨の記述があります。ここで大切なのは「ある程度」と「自然に」という部分です。難しい単語を無理に詰め込むよりも、会話の流れに溶け込んだ比喩が1つある方が、この観点ではずっと有利に働きます。

丸暗記のことわざとの違いも押さえておきましょう。Every cloud has a silver lining. のようなことわざをフルセンテンスで唐突に差し込むと、どうしても「準備してきたものを言った」という印象になります。一方、この記事で扱う表現は名詞や動詞として文の中に組み込めるため、会話の自然さを保ったまま語彙の幅を見せられます。

比喩が試験官に「おっ」と思わせるのは、単に珍しい表現だからではありません。「この人は英語を英語のまま使っている」という感覚を与えるからです。だからこそ、使い方は徹底的に「さりげなく」が基本になります。

02証拠・議論の比喩:smoking gun から move the goalposts まで

まずは smoking gun の仲間たち、つまり「証拠」や「議論のフェアさ」にまつわる比喩です。ニュースやドラマに頻出するグループで、パート3の議論系の質問と特に相性がよい表現がそろっています。

01 smoking gun 動かぬ証拠

発砲直後の銃口から立ちのぼる煙が語源で、「言い逃れできない決定的な証拠」を指します。報道や海外ドラマの定番表現ですが、日常会話で少しおおげさに使うとユーモアにもなります。パート3で監視やプライバシーの話題が出たときに滑り込ませるチャンスがあります。

Q. Do you think companies should be allowed to monitor their employees' emails?

I'm not comfortable with constant monitoring, but I understand the logic. In many fraud cases, a single email turns out to be the smoking gun.

02 I have the receipts 証拠ならある(スクショ・履歴など)

レシートは「買った証明」。そこから転じて、スクリーンショットやメッセージ履歴のような「言った言わないを終わらせる証拠」を意味する、ソーシャルメディア発の新しい表現です。かなりカジュアルなので、友人とのやり取りを語るパート1やパート2の場面で威力を発揮します。

Q. Do you ever argue with your friends?

Sometimes. Recently my friend insisted he had never promised to come to my birthday party, but I had the receipts. I showed him the chat and he finally apologised.

03 cherry-pick 都合のいい事実だけをつまみ食いする

さくらんぼ狩りのように「良いものだけを選んで摘む」イメージの動詞です。自分に有利な事実だけを持ち出す姿勢を批判するときに使い、ソーシャルメディアやニュースの信頼性を問うパート3の質問と相性抜群です。cherry-pick the data、cherry-pick the facts の形でよく使われます。

Q. Do you trust the information you see on social media?

Not entirely. Influencers often cherry-pick the data that supports their message and quietly ignore the rest.

04 move the goalposts 途中でルールや基準を変える

サッカーのゴールポストを試合の途中で動かす、という反則のイメージから、「議論や交渉の途中で基準をずらす」ことを表します。仕事の話題、特に上司や職場への不満を語る場面で自然に使えます。keep moving the goalposts と keep を添えると「何度もやられている」ニュアンスが出ます。

Q. What do you think makes a bad manager?

For me, the worst kind is a manager who keeps moving the goalposts. You deliver exactly what was requested, and then the target suddenly changes.

03人間関係の比喩:red flag、ghosting、spill the tea

次は人間関係のグループです。友人、恋愛、コミュニケーションはIELTSスピーキングの頻出トピックなので、このグループは出番の多さが魅力です。いずれも現代の会話でよく耳にする、今っぽい響きのある表現です。

05 red flag 危険信号、警戒サイン

危険を知らせる赤い旗から、人や状況に潜む「警戒すべきサイン」を指します。恋愛にも仕事にも使える現代会話の定番で、That's a red flag. の一言で通じる手軽さも魅力です。友人や理想のパートナーについて聞かれたときに、条件を並べるだけでなくこの一言を添えると回答が生き生きします。

Q. What qualities do you look for in a friend?

Kindness, mainly. If someone is friendly to me but rude to restaurant staff, that's a huge red flag.

06 ghost(ghosting) 説明なく突然連絡を絶つ

幽霊のようにすっと消える、という比喩から生まれた動詞で、「理由も告げずに突然連絡を絶つ」ことを指します。オンラインの人間関係を語るパート3で自然に使えるほか、パート2で友人関係のエピソードを話すときにも便利です。

Q. Do you think it is easier to make friends online than in person?

Easier to make, but also easier to lose. People simply ghost each other instead of having an awkward conversation.

07 spill the tea ゴシップ・裏話を洗いざらい話す

ここでの tea は「ゴシップ、裏話」のこと。お茶をこぼす、ではなく「とっておきの話を全部話す」という意味の、かなりカジュアルな表現です。フォーマルな議論には向かないので、パート1の友人・休日トピックのようなくだけた場面専用と考えるとよいでしょう。

Q. What do you usually do when you meet your friends?

We find a nice cafe and spill the tea. After a month apart there is always a lot to catch up on.

04ネット時代の比喩と、議論の万能選手

最後のグループは、スマホやインターネットの話題で光る新しめの比喩2つと、どんな議論にも対応できる万能の定番1つです。テクノロジー系の質問はほぼ確実にどこかで出るので、準備しておいて損はありません。

08 go down a rabbit hole 調べ始めたら沼にはまる

『不思議の国のアリス』でアリスが落ちるウサギの穴が語源です。ひとつ調べ始めたら次から次へと深みにはまり、気づけば何時間も経っていた、というネット時代の「あるある」を一言で表せます。趣味や自由時間について聞かれるパート1で、具体的なエピソードと一緒に使うと効果的です。

Q. What do you usually do in your free time?

I watch documentaries, and sometimes I go down a YouTube rabbit hole. Last week I started with one video about deep sea creatures and surfaced two hours later.

09 doomscrolling 暗いニュースを延々スクロールしてしまうこと

doom(破滅)と scrolling を組み合わせた新語で、「気分が沈むと分かっているのに、暗いニュースをやめられずに延々スクロールしてしまう」ことを指します。スマホ依存やメンタルヘルスを扱うパート3の議論でこの一語が出ると、時事感覚のある語彙として印象に残ります。

Q. Do you think people spend too much time on their phones?

Absolutely. I catch myself doomscrolling before bed, reading one depressing headline after another, and it never makes me feel better.

10 double-edged sword 諸刃の剣

両側に刃のある剣は、相手だけでなく自分も傷つけかねません。メリットとデメリットが表裏一体である状況を指す定番の比喩で、賛否や利点・欠点を問われるパート3では最強クラスの汎用性を誇ります。It's a double-edged sword. と先に構図を示してから両面を説明すると、回答の構成そのものも整います。

Q. Is working from home good for employees?

It's a double-edged sword. You save hours of commuting, but the boundary between work and private life almost disappears.

05さりげなく使うための3つのコツ

10個の表現がそろったところで、いちばん大事な「さりげなさ」の話をします。せっかくの比喩も、使い方を誤ると逆効果になりかねません。次の3つを意識してみてください。

前置きをしない

There is an English idiom that says ... のような前置きは、それ自体が「今からイディオムを言います」という宣言になってしまいます。準備してきた感が出るうえ、話の流れも止まります。何事もなかったかのように文の中へ混ぜるのが、さりげなさの核心です。

1回の回答に1つまで

比喩を連発すると、かえって不自然に聞こえます。試験全体で10個すべてを使おうとする必要はまったくありません。その日の質問に合うものが1つか2つ、自然に出せれば十分に役目を果たします。

カジュアル度を場面に合わせる

spill the tea や I have the receipts は友人トピックの雑談トーン向き、smoking gun、cherry-pick、double-edged sword はパート3の議論トーン向きです。社会問題を論じている最中に spill the tea と言うと浮いてしまいます。表現そのものだけでなく、温度感ごと覚えるのがポイントです。

そして最後は、口に馴染ませる練習です。目で覚えた表現は本番では出てきません。例文ごと声に出して、自分の実体験に置き換えて言い直す練習を繰り返しましょう。

IELTS学習アプリ スピーキングチャンク練習 よく使うチャンクを声に出して練習できるツールです。比喩表現を口に馴染ませる練習にも活用できます。

06まとめ

smoking gun、I have the receipts、red flag、rabbit hole。今回紹介した10個は、どれも「暗記した難しい単語」ではなく「英語を英語のまま使っている」ことが伝わる比喩です。最後にポイントを整理します。

  • 比喩は前置きせず、文の中にさりげなく混ぜる
  • 1回の回答で使うのは1つまで。試験全体で1つか2つ出せれば十分
  • カジュアル系(spill the tea、I have the receipts)はパート1向き、議論系(smoking gun、cherry-pick、double-edged sword)はパート3向き
  • 自分の実体験と結びつく表現を2つ3つ選び、例文ごと声に出して練習する

まずは10個の中から「これは自分の話に使えそう」と感じたものを選んでみてください。あなたの生活に本当に doomscrolling の時間があるなら、その一言は必ず本番でも自然に出てきます。議論全体で使える表現のストックを増やしたい方は、こちらの記事もどうぞ。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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