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スピーキング

The reason is because は間違い?話し言葉で that より because が選ばれる理由

執筆:高橋 響 公開日:

理由を説明しようとして The reason is ... と言いかけたあと、続きを that にするか because にするか、一瞬迷ったことはないでしょうか。学校では「the reason is because は誤り、正しくは the reason is that」と習います。ところが実際の英語を聞いていると、ネイティブスピーカーは会話の中で当たり前のように because を使っています。

この記事では、because が誤りだと説明されてきた文法上の言い分を整理したうえで、それでも話し言葉で because が使われ続ける事情を、音・語順・話しながらの組み立てという3つの側面から解説します。結論を先に言えば、この形は単純に「文法的に間違い」と片づけられるものではありません。IELTSのスピーキングとライティングで、それぞれどう扱えばよいかまで踏み込みます。

01the reason is because はなぜ誤りだと説明されてきたのか

the reason is because が「誤り」と説明されてきた背景には、主に2つの考え方があります。1つは、is のうしろには主語と対応する名詞句や節が来るべきだという考え方、もう1つは、reason と because が同じ因果関係を重ねているという考え方です。どちらも学校英文法でよく持ち出される説明ですが、現代の英語の使われ方を見れば、この2点だけを根拠に「誤り」と決めるのは適切ではありません。まず、それぞれの言い分を整理します。

is のうしろに来る要素がそろわない

be動詞は、主語とうしろの要素を対応させるはたらきをします。The reason is X. の X には、主語の the reason の内容を説明する要素が来ます。that節はここで補語としてはたらき、that it has a strong research programme が the reason の中身を示します。

いっぽう because節は、一般には理由を表す副詞節として説明されます。そのため The reason is because ... については、be動詞の補語に because節を置くのは構造上おかしい、という説明がされてきました。

ただし、この説明だけでは実際の英語を十分に説明できません。because には、この構文で that に近くはたらくと考えられる用法があり、辞典でもその使用が認められています。

The reason I chose this university is that it has a strong research programme.that節が the reason の内容を説明している

The reason I chose this university is because it has a strong research programme.話し言葉では普通に使われる。書き言葉では避けたい形

reason と because で因果を二度示している

もう1つの指摘は、意味の重複です。the reason という名詞がすでに「理由」を表しているのに、because がもう一度「〜だから」と因果を示します。日本語で言えば「理由は、〜だからという理由です」に近い構造だ、というわけです。同じ論法で the reason why も冗長だと言われることがあります。

この2つはどちらも「形の整理としてはそうなる」という話であって、通じないとか意味が変わるという話ではありません。△で示したとおり、この形は英語として実際に使われています。次にその実態を見てみましょう。

02実際の英語では、この形はどれくらい使われているのか

the reason is because は、話し言葉を中心に、実際によく使われている形です。しかも最近くずれた新しい言い方ではなく、16世紀までさかのぼって用例が確認されている古い形です。英語の用法辞典 Merriam-Webster's Dictionary of English Usage は、この形が何世紀にもわたって使われてきたことを用例とともに記録し、冗長だとする批判を紹介したうえで、because がこの構文で that に近い意味ではたらいていると説明しています。

この形は少なくとも16世紀までさかのぼって確認でき、近年になって突然生まれた崩れた英語ではありません。にもかかわらず、学校文法では意味の重複や構造上の問題を理由に、避けるよう指導されることがあります。学校で習う規則が、実際の英語の分布とずれている例のひとつです。

同じことは関係代名詞の制限用法でも起きています。学校では「制限用法では which と that のどちらでもよい」と習いますが、実際の英語では that と省略が大半で、コンマなしの which は書き言葉に偏ります。規則として教わったものが、実際の使われ方の偏りまでは教えてくれません。構図としてはこの記事の話と同じです。

スピーキング 制限用法のwhichは使われない!?学校で習う関係代名詞と実際の英語のギャップ:成り立ちと実践的な付き合い方

大切なのは、どちらが正しいかを決めることではありません。話し言葉と書き言葉で分布が違う形だと分かっていれば、聞いたときに戸惑わず、自分が使うときにも場面で選び分けられます。

03なぜ話し言葉では because が使われることがあるのか

話し言葉では、because のように理由の始まりを明示する語が、聞き手にとって役に立つ場面があります。読み手は戻って読み直せますが、聞き手は流れていく音からその場で意味を組み立てるためです。

もちろん、the reason is because が使われる理由を、音や語順だけで説明できるわけではありません。because にはこの構文で that に近くはたらく用法があり、実際の使用にはさまざまな要因が関わっています。ここでは、話し言葉でこの形が使いやすくなる要因として、3つの点を見てみましょう。

3-1 because は「ここから理由が来る」と示しやすい

接続詞の that は、話し言葉では弱く発音されることがあります。is that は /ɪz ðət/ のように続き、that の部分が目立ちません。加えて、文脈によっては that 自体が省略されます。

いっぽう because は /bɪˈkɒz/ /bɪˈkʌz/ のように第2音節に比較的はっきりした強勢があり、「ここから理由を説明する」ことを音として示しやすい語です。理由を明示的に導入したい場面では、because のほうが使いやすく感じられることがあります。

The reason is that I didn't have enough time. /ðə ˈriːzn ɪz ðət .../

The reason is because I didn't have enough time. /ðə ˈriːzn ɪz bɪˈkɒz .../

3-2 主語が長くなったあとで、構造をもう一度示せる

the reason 構文の主語は、話しているうちにどんどん長くなります。The reason I decided to move to Australia rather than staying in Japan is ... のように関係詞節を伸ばしていくと、is にたどり着くころには、聞き手の意識から冒頭の reason が薄れています。

主語が長くなると、話し手は文の構造をもう一度示したくなることがあります。because を置けば、「ここから理由を説明する」という合図を、その時点でもう一度出せます。長い主語を作ってしまったあとの立て直しとして使えるわけです。

3-3 話しながら理由を組み立てやすい

話し言葉では、文の前半を話したあとで、理由を考えながら続きを組み立てることがあります。is のあとで一拍おいてから話を続ける場面です。こうした場面で、because を置いてから理由を続ける形が自然に使われます。

The reason is ... because I'd never lived abroad before.

3点に共通しているのは、because が「ここから理由が来る」ことを音で予告できることです。書き言葉ではこの予告が要りません。読み手は戻って読み直せるので、that で足ります。話し言葉と書き言葉で分布が違うのは、この差と無関係ではないでしょう。

04日本語の「理由は〜だからです」と同じ形になっている

日本人学習者がこの形を自然に口にするのには、母語の側の事情もあります。日本語の「私がこの大学を選んだ理由は、研究環境が整っているからです」という文も、「理由は」と「〜だから」の両方で理由を示す構造です。そのため、the reason is because という形を作りやすいのは不思議ではありません。

ただし、これを「日本語につられた誤り」と考える必要はありません。英語話者が話し言葉で because を選ぶ事情は前の章で見たとおりで、日本語とは関係なく起きています。たまたま結果として似た形になっているだけです。

気をつけたいのは、日本語の「理由は〜だからです」が書き言葉でも普通に使えるのに対し、英語の the reason is because は書き言葉では避けられる、という非対称です。日本語の感覚のまま英語のエッセイに持ち込むと、そこだけ話し言葉の質感が残ります。

05IELTSのスピーキングとライティングで、どちらを使えばよいか

結論から言うと、スピーキングではこの形を使ったことだけを理由に避ける必要はなく、ライティングでは that にするか、構文ごと言い換えるのが無難です。IELTSは話す試験と書く試験で求められる英語の質感が違うため、同じ形でも扱いが変わります。なお、IELTS公式は特定の構文について採点の扱いを示してはいないので、以下は指導上の判断です。

技能 the reason is because 理由
スピーキング 使っても差し支えない 話し言葉で実際に使われている形で、理由の始まりを音で示せる。ただし、この形を使うこと自体に特別なメリットがあるわけではない
ライティング that に置き換えるか、構文を変える フォーマルな文章ではこの形を避ける書き手が多い。読み手は戻って読み直せるため、because で理由の始まりを示す必要も小さい

スピーキングでの扱い

スピーキングでは、この形を使ったことだけを理由に避ける必要はありません。実際の話し言葉で使われている形なので、聞いたときに「間違いだ」と身構えなくてよい、と考えておけば十分です。ただし、Grammatical Range and Accuracy ではさまざまな文構造を使い分けられるかと、それを正確に使えるかが見られるため、あえてこの形を多用する必要もありません。

気をつけたいのは、the reason is because を毎回の理由づけに使ってしまうことです。同じ導入を繰り返すと、表現や文構造のバリエーションが少なく聞こえることがあります。理由を述べる形は次の章の言い換えも交ぜて、いくつか用意しておくと安心です。

ライティングでの扱い

エッセイでは that を使います。誤文だからではなく、フォーマルな文章ではこの形を避ける書き手が多く、あえて使うメリットも大きくないためです。ただ、that に直しただけでは the reason ... is that ... という重い主語の構文が残ります。書き言葉では、そもそもこの構文を使わずに書いたほうが読みやすくなることが多く、次の章の言い換えが役に立ちます。

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06the reason 構文そのものを使わない言い換え

that か because かで迷う場面は、the reason 構文を使わなければそもそも発生しません。理由を述べる形はほかにもあり、どれも主語が短く、書き言葉でも話し言葉でも使えます。

言い換え 使いどころ
This is mainly because ... This is mainly because rents in the city centre have risen sharply. 前の文を受けて理由を足す。エッセイのボディで使いやすい
One reason for this is that ... One reason for this is that many families cannot afford childcare. 理由が複数あることを示しつつ1つ目を出す
X is largely due to ... The decline is largely due to changes in consumer habits. うしろに名詞句が来る。ライティング・タスク1の変化の説明に合う
That's why ... That's why I ended up studying in Melbourne. 理由を先に述べたあと、結論を後ろに置く。スピーキング向き
What made me choose ... was ... What made me choose Melbourne was the size of the city. 選んだきっかけを1つに絞って示す。Part 2 のスピーチで使える

due to のうしろには名詞か動名詞が来ます。That's why ... は、理由を先に話してから結論を置く順番になるので、the reason 構文とは語順が逆になります。話しながら理由が固まってきた場面で使いやすい形です。

これだけあれば、that か because かという迷いから離れられます。IELTSでは同じ表現の繰り返しが目立つので、理由を述べる形をいくつか持っていること自体に価値があります。

07よくある質問

the reason is because を使うと、スピーキングの評価は下がりますか

IELTS公式は特定の構文について採点の扱いを示していないため、断定はできません。ただ、話し言葉で実際に使われている形なので、これを使ったことだけを理由に避ける必要はありません。理由を述べるたびに同じ形を使うと、表現や文構造のバリエーションが少なく聞こえることがあるので、This is mainly because ... や That's why ... なども交ぜると安心です。

ライティングで the reason is because と書いてしまったら、どう直せばよいですか

because を that に置き換えれば、学校文法で一般に教えられる形になります。誤文だから直すのではなく、フォーマルな文章ではこの形を避ける書き手が多いためです。ただし the reason ... is that ... は主語が長くなりがちなので、This is mainly because ... や One reason for this is that ... のように構文ごと変えるほうが読みやすくなることが多いです。

the reason why も避けたほうがよいですか

reason と why で意味が重なるという指摘はありますが、the reason why は書き言葉でも広く使われています。the reason I chose ...、the reason that I chose ...、the reason why I chose ... はいずれも実際に使われる形なので、書きやすいものを選んで差し支えありません。

なぜ話し言葉では that ではなく because が選ばれるのですか

聞き手は流れていく音からその場で意味を組み立てるため、理由の始まりが音に出ているほうがたどりやすいからです。接続詞の that は弱形になって /ɪz ðət/ のように埋もれやすいのに対し、because は強勢を持ちます。主語が長くなったあとの立て直しや、話しながら理由を組み立てる場面にも使いやすい形です。

the reason is because はいつごろから使われている形ですか

16世紀までさかのぼって用例が確認されています。Merriam-Webster's Dictionary of English Usage は、この形が何世紀にもわたって使われてきたことを用例とともに記録し、because がこの構文で that に近い意味ではたらいていると説明しています。最近くずれた新しい言い方ではありません。

日本語の「理由は〜だからです」につられた誤りなのでしょうか

日本語も「理由は」と「〜だから」の両方で理由を示す構造のため、日本人学習者には出てきやすい形です。ただし英語話者が because を選ぶ事情は音と語順によるもので、日本語とは関係なく起きています。結果として似た形になっているだけです。

The reason is, I didn't have time. のように、いったん区切ってから理由を続ける形は使えますか

話し言葉では使われます。The reason is ... といったん区切ってから、理由を続ける形です。ただし理由を示す語が音に残らないので、because を置けば理由が始まることを明示できます。

ライティング・タスク1でも the reason 構文は使えますか

使えますが、変化の原因を述べる場面では X is largely due to ... のほうが収まりがよくなります。due to のうしろには名詞か動名詞が来るので、節を続けたいときは because を使うか、This is mainly because ... の形にします。

08まとめ

the reason is because は、文法の整理としては指摘の余地がある形でありながら、話し言葉では何世紀も使われ続けてきました。「the reason is because は間違い」とだけ覚えるより、なぜ話すときに because が使われるのかまで分かっていれば、スピーキングで迷わず、ライティングでも自分の判断で選べます。

  • 「誤り」と説明されてきた背景は、is のうしろの要素がそろわないことと、reason と because で因果が重なることの2点
  • この形は16世紀までさかのぼる古い形で、話し言葉を中心に実際によく使われている
  • 話し言葉で使いやすいのは、that が弱く発音されるのに対し、because は強勢を持って理由の始まりを示せるから
  • 主語が長くなったあとの立て直しにも、話しながら理由を組み立てる場面にも because は使いやすい
  • 日本語の「理由は〜だからです」も両方で理由を示す構造だが、英語話者が because を選ぶ事情は日本語とは無関係
  • IELTSではスピーキングでこの形を避ける必要はなく、ライティングは that にするか構文ごと言い換えるのが無難
  • This is mainly because ... / One reason for this is that ... / That's why ... を用意しておくと迷いが減る
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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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