話す内容や書く内容が思いつかないという悩みは、IELTSのスピーキングやライティングでよく聞かれます。英語力の不足より先に、そのテーマについて知っていることの少なさが原因になっていることが少なくありません。環境問題にせよテクノロジーにせよ、日頃からある程度の知識と語彙のストックがあるテーマなら、理由や具体例は比較的自然に出てきます。
この記事では、IELTSでよく出るテーマ別に、内容の濃いYouTubeチャンネルを20本紹介します。文章を読むより気軽に、映像を眺めながらテーマへの理解と語彙を積み上げていく方法として使ってみましょう。
目次
なぜ「見て学ぶ」がアイデア不足の対策になるのか
自然科学・環境系
社会・経済・時事系
テクノロジー・科学系
都市・インフラ・エンジニアリング系
歴史・文化・教育系
見た内容をスピーキング・ライティングのアイデアにつなげる方法
よくある質問
まとめ
01 なぜ「見て学ぶ」がアイデア不足の対策になるのか
IELTSのスピーキングPart 3やライティングのタスク2は、自分の意見に理由と具体例を添えて展開していく形式の課題です。理由や具体例が思いつかないとき、原因の多くは英語力そのものではなく、そのテーマについて普段からどれだけ考えたり触れたりしてきたかという背景知識の差にあります。環境問題やテクノロジーの話題で理由がすぐ出てくる人は、英語が得意というより、そのテーマについて元々ある程度の知識を持っていることが多いといえます。
YouTubeの解説チャンネルやドキュメンタリーを見ることは、この背景知識を英語のまま蓄積していく方法の一つです。文章を読むよりも情報量が多く、映像や図解と結びついた状態で理解できるため、疲れているときでも続けやすいという利点があります。ナレーションで繰り返し使われる語彙やフレーズは、同じテーマの動画を何本も見るうちに自然と耳に残っていきます。1本だけを精読するより、同じジャンルの動画を何本もまとめて浴びるように見るほうが、そのテーマ特有の語彙やロジックの運び方が定着しやすくなります。
動画を見るだけでスコアが上がるわけではありません。あくまでスピーキングやライティングで使う理由や具体例のストックを増やすための土台づくりであり、実際に話す・書く練習と組み合わせて初めて効果が出てきます。スピーキングでは即興で理由を1つか2つ挙げられれば足りる場面が多い一方、ライティングではその理由を具体例まで含めて数文に展開する必要があるため、蓄積した背景知識をどこまで掘り下げて使うかは技能によって変わってきます。07節で、見た内容をアイデアにつなげる具体的な方法を扱います。
02 自然科学・環境系
自然科学や環境は、単独のテーマとして出題されるだけでなく、テクノロジーや都市化といった他のテーマの理由づけにもよく登場します。生態系や気候変動に関する語彙は、意見を裏付ける具体例としても使い勝手のよい範囲です。
BBC Earth :David Attenboroughが携わってきたBBCの自然ドキュメンタリーの公式チャンネルで、Planet EarthやBlue Planetといった代表シリーズの一部エピソードや抜粋が公開されています。生息地、絶滅危惧種、生態系といった環境テーマの語彙がナレーションの中で繰り返し出てきます。
Kurzgesagt - In a Nutshell :気候変動やエネルギー、進化といった科学トピックを、アニメーションで10分前後にまとめて解説しています。抽象的な科学の話題を身近な言葉に置き換えて説明するので、因果関係を説明するときの言い回しの参考になります。
National Geographic :動物や環境保護、探検をテーマにしたドキュメンタリーを幅広く公開しています。具体的な地域や種を扱う回が多く、話す・書く際の具体例のストックとして使いやすい内容です。
PBS Terra :環境問題や生態学を専門に扱うPBS系のサイエンスチャンネルで、都市化や資源利用など、環境と社会が交わるテーマを扱う回もあります。
03 社会・経済・時事系
教育、労働、都市化、格差といったテーマは、スピーキング・ライティングのどちらでも出題頻度の高い範囲です。ニュースメディア系のチャンネルは、こうしたテーマを図解や具体的なデータとともに扱うことが多く、意見の理由づけに使える視点をそのまま拾いやすいという特徴があります。
TED-Ed :さまざまな分野の専門家によるレクチャーをアニメーション付きで数分にまとめたシリーズです。教育、テクノロジー、社会問題まで扱う範囲が広く、字幕付きで視聴できるため語彙の確認もしやすくなっています。
Vox :アメリカのニュースメディアVoxが運営するチャンネルで、図解を交えながら社会・政治・経済の出来事の背景を掘り下げています。1つの出来事を多角的な理由から説明する組み立て方の参考になります。
The Economist :経済誌The Economistが運営するチャンネルで、経済政策や国際情勢を扱う動画が中心です。フォーマルな語彙やデータの示し方に触れられます。
DW Documentary :ドイツの公共放送Deutsche Weleによるドキュメンタリーチャンネルで、労働、移民、格差、環境政策など幅広いテーマの長尺ドキュメンタリーが公開されています。1つのテーマを30分前後かけて掘り下げる回が多く、具体例のストックを増やすのに向いています。
04 テクノロジー・科学系
テクノロジーは、利便性と弊害の両面から意見を展開しやすい一方、具体的な仕組みを知らないと理由が表面的になりがちなテーマでもあります。仕組みそのものを解説するチャンネルを見ておくと、賛成・反対どちらの立場でも根拠のある理由を組み立てやすくなります。
Veritasium :物理学や工学分野を中心に、身近な現象の仕組みを掘り下げて解説しています。技術がなぜそのように機能するのかを説明する組み立て方は、因果関係を説明する際の参考になります。
Two Minute Papers :AIや機械学習分野の最新の研究論文を数分で紹介しています。AIをテーマにした議論で、抽象論ではなく具体的な研究例を挙げたいときに参考になります。
CGP Grey :政治制度や社会のしくみ、テクノロジーが社会に与える影響などをアニメーションで解説しています。複雑な仕組みを短く整理して説明する構成そのものが、論理展開の参考になります。
SmarterEveryDay :エンジニアリングや自然現象を実験を通じて解説しています。技術的な内容を一般の視聴者向けの言葉に言い換える表現が多く、専門用語に偏りすぎない語彙を拾いやすくなっています。
05 都市・インフラ・エンジニアリング系
都市化、交通、公共サービスといったテーマは、身近である一方、具体的な仕組みを知らないと理由づけが「便利」「不便」といった表面的な言葉で終わりがちです。インフラの仕組みそのものを扱うチャンネルは、こうしたテーマに厚みを持たせる具体例の宝庫です。
Practical Engineering :橋やダム、下水道といった土木インフラの仕組みを専門的に解説しています。都市の機能を支える仕組みを具体的な語彙とともに知ることができます。
Real Engineering :交通、エネルギー、産業分野の技術的な仕組みを解説するチャンネルです。1つの技術が社会にどう影響してきたかという流れで説明する回が多く、理由づけの参考になります。
Wendover Productions :交通網、物流、都市の経済地理をテーマにしたチャンネルです。なぜその都市がそのように発展したのかという因果関係を扱う回が多く、都市化のテーマで使える視点が豊富です。
Not Just Bikes :オランダ在住の視点から、都市計画や公共交通、自動車中心の都市設計の課題を扱うチャンネルです。都市化・交通をテーマにした議論で、賛否どちらの立場にも使える具体例が見つかります。
06 歴史・文化・教育系
歴史や教育、伝統と現代的価値観の対立は、繰り返し出題されるテーマです。出来事の背景や制度の成り立ちを知っておくと、単なる意見の表明にとどまらない、根拠のある理由づけがしやすくなります。
Crash Course :歴史、経済学、心理学、生物学など幅広い教科をシリーズ形式で解説しています。1つのテーマを複数回に分けて体系的に扱うため、背景知識をまとまった形で積み上げられます。
Extra History :歴史上の出来事をアニメーションと語りで解説するチャンネルです。出来事の因果関係をストーリーとして説明する構成が多く、歴史・伝統に関するテーマの具体例として使いやすくなっています。
The School of Life :哲学、心理学、人間関係、感情といった個人と社会にまたがるテーマを扱うチャンネルです。抽象的な価値観の対立を整理して説明する言い回しが多く、伝統と現代的価値観のようなテーマの語彙に強くなります。
Big Think :さまざまな分野の専門家へのインタビュー形式で構成されたチャンネルです。1つのテーマに対して複数の立場からの見解が示されるため、賛成・反対どちらの理由づけにも使える視点が見つかります。
07 見た内容をスピーキング・ライティングのアイデアにつなげる方法
動画を見ただけでは、その内容はスピーキングやライティングのアイデアとして定着しません。見ながら、または見終えたあとに次の作業をはさむと、インプットが話す・書くときに使える形に変わっていきます。
知らなかった単語や言い回しをメモし、あとで見返せる場所にストックしておく
動画で扱われていた出来事や仕組みを、自分の言葉で1文に要約してみる。これはスピーキング・ライティングでよく使うパラフレーズの練習にもなる
気に入った具体例を、実際の受け答えやボディ段落で使えるように「テーマ名+具体例」の形でまとめておく
1週間で1テーマに絞り、同じジャンルの動画を何本かまとめて見る。1本だけでは表面的な理解で終わりやすい
ストックした語彙は、見ただけの状態から一度アウトプットして使ってみるまでに差が出ます。IELTS学習アプリのActiveVocabのように、拾った語彙を実際の文の中で使う練習ができるツールと組み合わせると、インプットで終わらせずに運用できる語彙として定着させやすくなります。
IELTS学習アプリ
運用語彙強化
動画から拾った語彙を、実際に文の中で使う練習を通して定着させられます。
そもそもアイデアの出し方自体に苦手意識がある場合は、動画からのインプットと合わせて、アイデアの広げ方そのものを扱った記事も参考になります。
ライティング・タスク2
歳を重ねるとアイデアが出なくなる?大人には大人の戦い方がある
08 よくある質問
YouTubeを見るだけでスコアは上がりますか
動画を見るだけではスコアは上がりません。テーマについての背景知識と語彙のストックを増やすための土台づくりであり、実際に話す・書く練習と組み合わせて初めて効果が出てきます。見た内容を要約したり具体例としてまとめたりする作業をはさむことが必要です。
どのくらいの頻度で見ればよいですか
1週間で1テーマに絞り、同じジャンルの動画を何本かまとめて見る見方が向いています。1本だけを単発で見るより、同じテーマの動画を続けて見るほうが、そのテーマ特有の語彙やロジックの運び方が定着しやすくなります。
字幕は英語と日本語のどちらで見るべきですか
本文では字幕の言語について特定の指定はしていませんが、TED-Edのように字幕付きで視聴できるチャンネルは、聞き取れなかった語彙をその場で確認しやすいという利点があります。知らない語彙が多いテーマでは英語字幕を表示しながら見ると、単語と発音を結びつけて覚えやすくなります。
紹介されているチャンネルはスピーキングとライティングのどちらにも使えますか
各チャンネルは自然科学・環境系、社会・経済・時事系、テクノロジー・科学系、都市・インフラ・エンジニアリング系、歴史・文化・教育系という5つの系統に分けて紹介しています。ここで得た語彙や具体例は、スピーキングPart 3の受け答えでもライティングのタスク2でも同じように使えます。
見た内容をどうやって具体例に変えればよいですか
動画で扱われていた出来事や仕組みを自分の言葉で1文に要約し、「テーマ名と具体例」の形でメモにまとめておく方法が使いやすいです。この要約作業自体が、スピーキング・ライティングでよく使うパラフレーズの練習にもなります。
拾った語彙はどう練習すれば身につきますか
メモした語彙を眺めるだけでなく、実際に文の中で使ってみる段階まで進めると定着しやすくなります。IELTS学習アプリのActiveVocabのように、語彙を実際の文で使う練習ができるツールを組み合わせるのも一つの方法です。
動画を見てもアイデアが思いつかない場合はどうすればよいですか
背景知識だけでなく、アイデアの広げ方自体に苦手意識がある場合もあります。その場合は動画からのインプットと合わせて、アイデアの出し方そのものを扱った記事も参考になります。
09 まとめ
スピーキングやライティングで理由や具体例が思いつかないという悩みは、英語力より先に、そのテーマについての背景知識の少なさから来ていることが少なくありません。YouTubeの解説チャンネルやドキュメンタリーを、同じテーマでまとめて浴びるように見ておくと、語彙とロジックの運び方が自然と身についていきます。
自然科学・環境、社会・経済・時事、テクノロジー・科学、都市・インフラ・エンジニアリング、歴史・文化・教育という5つの系統から、出題されやすいテーマに合わせて見る
1本だけでなく、1週間で1テーマに絞って同じジャンルをまとめて見る
見た内容は要約し、「テーマ名と具体例」の形でメモにストックしておく
拾った語彙は、練習ツールなどを使って実際に文の中で使うところまで進める
インプットの量を増やすことは、スピーキング・ライティングどちらにとっても土台づくりの一つにすぎません。ここで拾った具体例や語彙を、実際の受け答えやエッセイの中でどう使うかまで含めて、話す・書く練習と並行して進めていきましょう。