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ライティング・タスク2

outweigh の言い換えは慎重に:exceed・surpass が使える場面と使えない場面

執筆:高橋 響 公開日:

Do the advantages outweigh the disadvantages? という設問で、outweigh の扱いに迷う人は上級者にも意外と多いところです。設問の語をそのまま繰り返すのを避けようとして exceed や surpass に置き換えた答案はよく見かけますし、綴りの近い overweigh や overweight と取り違えている答案もあります。置き換えのほうは、辞書の訳語が「上回る」で重なっているだけで、実際の英語では相性の悪いものが混ざっています。

先に結論を書いておくと、outweigh は無理に言い換えなければならない語ではありません。そのうえでこの記事では、outweigh が何を比べる動詞なのかを整理し、exceed・surpass・prevail over・eclipse が代わりに使えるのかを一つずつ確認します。置き換えたい場合に安全な表現と、outweigh 自体で起きやすい取り違えまで扱います。

01outweigh はどんな意味の動詞か

outweigh は「重要性や価値の点で上回る」という意味の他動詞です。比べているのは数の多さではなく、天秤にかけたときの重みです。weigh(重さを量る)に out(上回る)がついた語形からも、二つのものを天秤に載せて傾きを見る比喩がそのまま残っていることがわかります。

この語は目的語を必要とします。The advantages outweigh the disadvantages. のように、上回る側を主語に、上回られる側を目的語に置きます。典型的な組み合わせは、主語側が advantages・benefits・gains、目的語側が disadvantages・drawbacks・costs・risks です。抽象名詞どうしの比較に使う語だと考えておくとよいでしょう。

ライティング・タスク2でこの語に出会うのは、利点と欠点を扱う問題タイプ、なかでも Do the advantages of this outweigh the disadvantages? の形です。当サイトの分類では問題タイプ3Bにあたります。設問がこの形で出た場合、答案は「利点と欠点のどちらが重いか」に答える必要があります。

ここで押さえておきたいのは、outweigh が重みの比較である以上、「利点が3つあって欠点が2つだから利点が上回る」という数の議論は、この設問への答えとして噛み合わないという点です。深刻な欠点が1つあれば、小さな利点が5つあっても天秤は欠点側に傾きます。言い換えを考える前に、この意味の中身を確認しておくと、後で見る exceed や surpass との違いも理解しやすくなります。

そしてもう一点、先に押さえておきたいことがあります。outweigh は無理に言い換える必要のない語です。設問に出てくる語をそのまま使ってはいけないという規則はありませんし、outweigh 自体が利点と欠点の重みを比べるための標準的な動詞です。言い換えを考えるのは、同じ文を何度も繰り返してしまうときや、導入で設問を自分の言葉に置き直したいときであって、動詞1語を必ず差し替えなければならない場面はありません。以下のセクションは、置き換えたいときにどの語なら安全かという話として読んでください。

ライティング・タスク2 問題タイプ別の答え方:利点・欠点(Advantage / Disadvantage)【各論③】

02exceed は outweigh の言い換えに使えるか

exceed は、比べる対象が金額や数値のように測れるものであれば自然に使えますが、advantages と disadvantages を比べる文では避けたほうが安全です。この線引きが、exceed をめぐって判断が分かれる原因になっています。

exceed の中心的な意味は「限度・量・数値を超える」です。exceed the speed limit(制限速度を超える)、exceed expectations(期待を上回る)、exceed 50 per cent(50パーセントを超える)のように、目盛りのあるものに対して使う語だと考えるとつかみやすくなります。そのため、費用対効果を論じる文脈で benefits と costs を比べるときには問題なく機能します。costs は金額という共通の目盛りで測れるからです。

一方、advantages と disadvantages は、それ自体では何の単位でも測られていません。ここに exceed を置くと「何を測った結果として超えているのか」が示されないまま、測定の含みだけが残ります。この不自然さを理由に、指導者によっては明確に不可と判断します。文法上の誤りとまでは言い切れないものの、判断が割れる表現をわざわざ選ぶ必要はないでしょう。

The economic benefits of the scheme exceed its costs.金額という共通の目盛りで比べている

The advantages of this trend exceed the disadvantages.何を測った比較なのかが示されていない

もし exceed を使いたい場合は、比較の基準を文中に出してしまうのが確実です。The economic gains from the policy exceed the costs of implementing it. のように、金額や数量が絡む形にすれば、語の性質と文の内容が一致します。

03surpass・prevail over・eclipse はどう響くか

surpass・prevail over・eclipse は、訳語では「上回る」「勝る」と outweigh に重なりますが、本来置かれる場面が違います。明確な誤りと切り捨てられるものばかりではなく、読み手によって許容の幅が変わる語も混じっています。そのため、慎重に選ぶなら避けておくというのがこの記事の立場です。

本来の使われ方 outweigh の代わりに使えるか
surpass 質や達成度で上回る。記録・期待・競合相手を対象にとる 不自然と判断されやすい。利点と欠点は優劣を競う関係ではないため、慎重に選ぶなら避ける
prevail (over) 対立する力に打ち勝つ。common sense prevailed over panic のように争いを描く 判断が分かれる。争いの比喩が強く、利点と欠点の比較としては定着していないため、慎重に選ぶなら避ける
eclipse 相手が霞むほど目立つ。報道文でよく使われる比喩 誤りではないが報道文寄り。差の大きさを誇張する含みが入るため、慎重に選ぶなら避ける
trump 他の要素より優先される。口語寄りで、記事の見出しなどで使われる 誤りではないが口語寄り。論述文の書き言葉としては軽いため、慎重に選ぶなら避ける

surpass は、同じ土俵にある二つのものを比べて、片方が上位に立つことを表します。Her results surpassed all expectations. や The company surpassed its rivals in overseas sales. のように、達成度や成績の比較が典型です。利点と欠点は同じ土俵で成績を競っているわけではないので、ここに surpass を置くと、主語と目的語の関係が語の想定と合いません。

prevail は自動詞で、over を伴って「打ち勝つ」という意味になります。対立する二つの力があって、片方が最終的に押し切るという構図を描く語です。The advantages prevail over the disadvantages. と書くと、利点と欠点が戦って利点が勝ったという読み方になります。利点と欠点は互いに争っているわけではないので、この構図が内容と噛み合わず、論説文の中では比喩だけが浮いてしまいます。

eclipse は「相手が影に隠れて見えなくなるほど目立つ」という比喩です。この2語は誤りではなく、実際に報道記事などで使われています。ただし eclipse は差が圧倒的であることを含意するため、程度を慎重に示したい論述の中では言い過ぎになりやすく、trump は優先順位が入れ替わることを軽い調子で述べる語なので、書き言葉としての格が outweigh とは異なります。避けるべき理由は正誤ではなく、文体が合うかどうかにあります。

指導者によって判断が分かれるのは、辞書の語義だけを見れば重なるのに、実際に使われる場面が違うからです。加えて、目標スコアによって指導の細かさが変わるという事情もあります。まずは時間内に書き切ることが課題の段階なら、語の選択まで厳密に指摘しないことのほうが多く、ここで挙げた語もそのまま通ることがあります。一方、より上のバンドを狙う段階になると、こうした選び方の精度が問われてきます。自分がいまどちらの段階にいるかで、どこまで気にするかを決めるとよいでしょう。次のセクションで見る表現に寄せておけば、どの段階でも問題は起きません。

04安全に使える言い換えはどれか

迷ったときは、be outweighed by・carry more weight than・be far greater than・do more good than harm の4つから選ぶと安全です。いずれも比較の中身が outweigh と一致していて、コロケーションとしても確立しています。

表現 例文 使いどころ
be outweighed by The drawbacks are outweighed by the long-term benefits. 語は同じでも構文が変わるので、繰り返しの印象が薄れる
carry more weight than The environmental benefits carry more weight than the initial costs. outweigh と同じ天秤の比喩を保ちたいとき
be far greater than The advantages of this approach are far greater than its drawbacks. 誤解の余地なく差を示したいとき
do more good than harm Overall, this policy does more good than harm. 主語が施策・変化・技術そのものであるとき
more than compensate for The gains in efficiency more than compensate for the losses. 相殺してなお余りある、と言いたいとき
justify The benefits justify the costs involved. コストに見合うかどうかを論点にしているとき

とくに使いやすいのが受動態の be outweighed by です。設問が The advantages outweigh the disadvantages という語順で聞いてくるので、答案で The disadvantages are outweighed by the advantages と裏返すだけで、同じ語を使いながら文の形は変わります。導入で設問を言い換えるときにも、結論で立場を確認するときにも使えます。

carry more weight than は、outweigh とまったく同じ天秤の比喩を保った言い方です。weight という語が表に出るので、重要度の比較であることが読み手に伝わります。be far greater than は、far や considerably を添えると差の程度まで示せます。差が大きくない立場をとるなら slightly greater とすることもできます。

more than compensate for には注意点があります。more than を外して The gains compensate for the losses. とすると、「ちょうど埋め合わせる」という意味になり、上回っているとは言えなくなります。同じことが offset にも当てはまり、offset だけでは釣り合いを表します。上回っていると言いたいなら more than を必ずつけてください。

The gains more than offset the losses.埋め合わせてなお上回る

The gains offset the losses, so the advantages outweigh the disadvantages.釣り合っただけでは上回った根拠にならない

05there are more や greater で言い換えられるか

There are more advantages than disadvantages. は英文としては正しいものの、outweigh と同じ意味にはなりません。前者が言っているのは数の多さで、outweigh が言っているのは重要度だからです。この二つは別の主張です。

outnumber も同じ性質の語です。The advantages outnumber the disadvantages. は「利点のほうが数が多い」という意味で、どちらが重いかには触れていません。数の話を書くこと自体が誤りというわけではありません。ただ、設問が聞いているのは「どちらが重いか」なので、上を目指す段階では、問いに正面から答える形にそろえておきたいところです。

一方、greater は使えます。The advantages are greater than the disadvantages. は重要度の比較として読めるからです。ただし greater は「何が大きいのか」を明示しない語でもあるので、in the long run(長期的に見れば)や in scale(規模の点で)のような限定を添えると、主張がはっきりします。more significant・more substantial・more compelling も同じ役割で使えます。

The long-term advantages are considerably greater than the short-term drawbacks.重要度の比較として読める

There are more advantages than disadvantages, so the benefits are more important.数の多さを重要度の根拠にしている

数の話を書いてはいけないわけではありません。書くのであれば、数と重みを混同しない形にしてください。たとえば There are several drawbacks, but none of them is as serious as the benefit of wider access. のように、数を挙げたうえで重みの比較に着地させれば、設問への答えとして成立します。

06動詞ではなく名詞側と文構造を替える

outweigh そのものを言い換えるより、advantages と disadvantages の側を替えるほうが安全で、語彙の幅を示す効果も変わりません。動詞は選択肢が少なく相性の問題も起きやすいのに対し、名詞側は代わりの語が豊富にあるからです。

元の語 言い換え候補
advantages benefits, upsides, gains, positive effects
disadvantages drawbacks, downsides, costs, risks, harms, negative effects

組み合わせを変えるだけで、The benefits outweigh the drawbacks. / The gains outweigh the costs. / The positive effects outweigh the negative ones. のように、同じ動詞のまま複数の文が作れます。主語側と目的語側は対になる語でそろえると読みやすくなります。benefits に対して drawbacks、gains に対して losses、といった具合です。

もう一段進めるなら、文の構造ごと替えてしまう方法があります。比較の動詞を使わずに、二つの節を対比させる書き方です。

While this development has clear drawbacks, its benefits are considerably more significant.

The costs of the scheme are real, but they are minor compared with what it offers.

On balance, the case for this policy is stronger than the case against it.

採点基準の Lexical Resource で見られているのは、動詞1語を別の語に差し替えられるかどうかではありません。同じ内容を複数の形で表現できるかどうかです。動詞を無理に替えて不自然な組み合わせを作るくらいなら、outweigh はそのまま残して、名詞と文の作りで幅を出すほうが評価につながります。

IELTS学習アプリ パラフレーズ練習 ライティング・タスク2の設問文を言い換える練習ができます ライティング・タスク2 poor people はどこまで言い換えられる?貧困を表す表現のバリエーション

07outweigh 自体の使い方で起きやすいミス

言い換えを考える前に、outweigh を正しく使えているかを確認しておいてください。この語には、書き慣れていない段階でくり返し見かける形のミスがあります。

overweigh・overweight と取り違える

まず確認しておきたいのが綴りです。設問で使われている動詞は outweigh であって、overweigh でも overweight でもありません。out と over は形が近いうえ、日本語の「オーバー」に引かれるため、書き慣れていない段階では入れ替わりやすいところです。

overweigh は辞書には載っていますが、現代英語ではほとんど使われません。答案に書くと、読み手にはまず outweigh の綴り間違いとして受け取られます。overweight のほうは「太りすぎの、重量超過の」を表す形容詞・名詞で、利点と欠点の比較にはそもそも使えません。動詞として使う場合も「過大に評価する、重い負担をかける」という別の意味になります。

The advantages of this policy outweigh the disadvantages.正しい綴り

The advantages of this policy overweigh the disadvantages.現代英語ではまず使わない語

The advantages of this policy overweight the disadvantages.overweight は「太りすぎの」を表す語

もう一つ見落とされやすいのが三人称単数の一致です。主語が単数なら The benefit outweighs the cost. と s をつけます。設問で複数形の advantages を見慣れているため、単数主語にしたときに s が落ちやすくなります。

08よくある質問

設問にある outweigh を答案でそのまま使ってもよいですか

使って構いません。outweigh は利点と欠点の重みを比べる標準的な動詞で、言い換えないと評価が下がるという仕組みはありません。むしろ無理に別の動詞へ置き換えて不自然な組み合わせを作るほうが、評価には不利に働きます。受動態の be outweighed by にすれば、語を替えずに文の形だけを変えられます。

exceed を outweigh の代わりに使うと間違いですか

文法上の誤りとまでは言い切れませんが、advantages と disadvantages を比べる文では避けたほうが安全です。exceed は限度・量・数値を超えるという意味が中心で、目盛りのあるものに使う語だからです。金額で測れる benefits と costs の比較であれば自然に使えます。

surpass はどんなときに使う語ですか

質や達成度で上回るときに使う語で、記録・期待・競合相手を対象にとります。surpass expectations や surpass its rivals のような使い方が典型です。利点と欠点は優劣を競う関係ではないため、outweigh の代わりに置くと不自然と判断されやすく、慎重に選ぶなら避けるほうが安全です。

There are more advantages than disadvantages と書けば outweigh の言い換えになりますか

なりません。この文が言っているのは数の多さで、outweigh が言っているのは重要度です。数の多さに触れること自体は構いませんが、設問が聞いているのは「どちらが重いか」です。数を挙げたあとで重みの比較に着地させておくと、問いに正面から答えた形になります。

overweigh や overweight は outweigh の代わりに使えますか

どちらも使えません。設問で使われている動詞は outweigh です。overweigh は辞書には載っていますが現代英語ではほとんど使われず、答案に書くと綴り間違いとして受け取られます。overweight は「太りすぎの、重量超過の」を表す別の語で、利点と欠点の比較には使えません。

offset と outweigh はどう違いますか

offset は「埋め合わせる、釣り合わせる」という意味で、上回っているとまでは言いません。上回っていると言いたいときは more than offset のように more than を添えます。compensate for についても同じことが当てはまります。

言い換えるなら結局どの表現が一番安全ですか

be outweighed by、carry more weight than、be far greater than、do more good than harm の4つが安全です。いずれも重要度の比較という中身が outweigh と一致していて、組み合わせとしても定着しています。コストに見合うかを論点にしているなら justify も使えます。

同じ語について指導者ごとに判断が違うのはなぜですか

辞書の語義だけを見れば「上回る」で重なるのに、実際に使われる場面が語ごとに違うからです。加えて、目標スコアによって指導の細かさも変わります。まずは書き切ることが課題の段階では語の選択まで厳密に指摘しないことが多く、より上のバンドを狙う段階では選び方の精度が問われます。どの段階でも問題の起きない表現を選んでおくほうが確実です。

09まとめ

outweigh は「重要性の点で上回る」を表す他動詞で、数の比較ではありません。この意味の中身を押さえておくと、どの語が代わりになってどの語がならないかの判断がつきます。

  • outweigh は無理に言い換えなくてよい。設問の語をそのまま使っても評価は下がらない
  • outweigh が比べているのは数ではなく重み。利点の個数を根拠にしない
  • exceed は金額など測れる対象なら可。抽象的な advantages との組み合わせは避ける
  • surpass・prevail over・eclipse・trump は本来の場面が違う。正誤よりも文体の問題で、慎重に選ぶなら避ける
  • 安全な言い換えは be outweighed by / carry more weight than / be far greater than / do more good than harm
  • offset と compensate for は more than を添えないと「釣り合う」止まり
  • there are more や outnumber は数の主張。重みの主張に着地させる
  • 動詞より名詞側(benefits・gains・drawbacks・risks)と文構造を替えるほうが安全
  • 綴りは outweigh。overweigh は現代英語でまず使わず、overweight は「太りすぎの」を表す別の語

設問の語をそのまま使うことに引け目を感じる必要はありません。判断が割れる動詞を選んで採点者の解釈に賭けるより、意味の合う表現を確実に使い、幅は名詞と文の作りで見せる。この順番で考えると、言い換えに時間を取られずに中身の議論へ進めます。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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