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ライティング・タスク2

let と allow の違い:妨げないのか、権限をもって認めるのか

執筆:高橋 響 公開日:

日本語ではどちらも「許可する」になってしまうため、let と allow の差は訳語からは見えません。しかし英語では、止めずに自由にさせるのか、認める側が権限や判断をもって決めるのかで、この2語がはっきり分かれています。続く形も違い、let は動詞の原形、allow は to不定詞です。

この記事では意味と形の違いを整理したうえで、答案でいちばん多い allow to do という誤り、受動態の扱い、enable との違いまで確認します。

01結論:妨げないのか、権限をもって認めるのか

let と allow の違いは、許可の出どころにあります。let は相手がしたいことを止めない、allow は認める側が権限や判断をもって決める、という関係です。

allow は必ずしも公式な手続きを指すわけではありません。My parents allowed me to stay up late. のように家庭内でも使います。共通しているのは、禁じることもできる立場の側が認めるという構図のほうです。

2語の基本

let:(したいように)させる、止めはしない。妨げないことで結果的にできるようにする

allow:許可する、認める。禁じることもできる立場の側が判断して与える

観点letallow
していること妨げない、自由にさせる権限や判断をもって認める
使う場面日常会話、家族や友人家庭から制度まで幅広い。答案でも使える
続く形let + 人 + 動詞の原形allow + 人 + to + 動詞の原形
受動態許可の意味では通常使わないbe allowed to do がよく使われる
答案での出番少ない多い

Let me explain. と Allow me to explain. を並べると差が見えます。前者は自分が説明したいので止めないでほしい、後者は説明することを認めてほしい、という頼み方です。同じ場面でも、どちらの立場から言っているかが変わります。

My parents let me stay out late on weekends.

両親は週末に遅くまで外出しても止めません(妨げない)

The company policy allows employees to work from home twice a week.

会社の方針で、従業員は週2回の在宅勤務が認められています(制度として認める)

02続く形が違う:let は原形、allow は to不定詞

意味の違いより先に形が違います。let のうしろには動詞の原形が来て、to は入りません。allow のうしろには to不定詞が続きます。

Let me know when you arrive.let + 人 + 原形。to は入らない

Let me to know when you arrive.let に to不定詞は続かない

The university allows students to choose their own schedules.allow + 人 + to不定詞

The university allows students choose their own schedules.allow に原形は続かない

make、have、help のように原形が続く動詞があるため、allow もその仲間だと思ってしまう答案が出ます。allow は to が要る側です。逆に let に to を足す誤りもあるので、2つを対にして覚えておくと取り違えにくくなります。

allow のうしろに動名詞が来ることもある

誰に許可するかを言わない場合は、allow のうしろに動名詞を続けます。この形では人を表す目的語が入りません。

The school does not allow smoking on the premises.

その学校は敷地内での喫煙を認めていません

The library allows eating in the lounge area only.

その図書館はラウンジでのみ飲食を認めています

行為そのものを認めるかどうかが問題で、誰がするかは問わない場合にこの形になります。人を出すなら allow students to eat、行為だけを言うなら allow eating です。

03allow には目的語が要る:allow to do と書けない

allow は他動詞なので、うしろには必ず目的語が来ます。日本語の「〜することを可能にする」をそのまま英語にして、allow to do と書いてしまうのが答案でいちばん多い誤りです。

This technology allows to reduce production costs.allow のうしろに目的語がない

This technology allows companies to reduce production costs.誰が減らせるのかを目的語で示す

This technology makes it possible to reduce production costs.主語を出したくないときは別の形にする

直し方は2つです。誰ができるようになるのかを目的語として補うか、make it possible to のような形に言い換えるかです。前者のほうが情報量が増えるので、答案では目的語を補うほうをおすすめします。

目的語は人でなくてもよい

allow の目的語は人に限りません。組織、機器、制度など、その行為をする主体であれば何でも入ります。

The new system allows the hospital to process applications more quickly.

新しいシステムにより、その病院は申請をより速く処理できます

Remote work allows parents to spend more time with their children.

在宅勤務により、親は子どもとより多くの時間を過ごせます

時間や量を「見込んでおく」意味もある

allow のうしろに時間や金額などの名詞が来ると、許可ではなく余裕を見込むという意味になります。

Allow at least two hours for the writing test.

ライティングの試験には少なくとも2時間を見ておきましょう

04受動態にできるのは allow のほう

受動態にすると2語の差がはっきりします。allow は be allowed to do の形が広く使われますが、let は許可の意味では受動態で使いません。

Students are allowed to use calculators in the exam.許可されているという事実を述べる定番の形

Students are let to use calculators in the exam.この形では使わない

be allowed to do は、誰が許可したのかを言わずに規則だけを述べられるので、ライティング・タスク2と相性があります。主語を政府や学校にしなくても、制度の説明ができます。

なお、let の受動態がまったく無いわけではありません。be let go は解雇されるという決まった言い方として使われます。ただしこれは慣用的な表現で、許可の意味とは別のものと考えておくとよいでしょう。

05enable との違い:許可するのか、可能にするのか

allow と形が似ている語に enable があります。どちらも enable / allow + 人 + to do の形を取りますが、意味の方向が違います。allow は許可、enable は能力や条件を与えて可能にすることです。

観点allowenable
与えるもの許可能力、手段、条件
主語になりやすいもの権限を持つ側(政府、学校、規則)技術、制度、資金などの手段
何の問題だったか制限や権限能力や手段
allow + 人 + to doenable + 人 + to do

使い分けの例

The government allows citizens to access public records.政府が権限として認めている。禁じられていたものが解かれた

The internet enables citizens to access public records from home.手段ができたので可能になった。誰かが禁じていたわけではない

制限や権限の問題なら allow、能力や手段の問題なら enable です。技術やインフラが主語のときは enable のほうが噛み合います。

allow は禁止を解く場合だけに限りません。The scholarship allows students to study abroad. のように、機会を与えるという意味でも使えます。境目は、認める側の判断が関わっているかどうかです。

enable も allow と同じく目的語が必要です。enable to do とは書けません。3節の allow to do と同じ誤りなので、まとめて直しておくとよいでしょう。

IELTS学習アプリ 表現ニュアンス比較 意味の近い表現を並べて差を確かめられます。allow と enable と permit のように、置き換えられるかどうかを確認するのに使えます。 ライティング・タスク2 impact と influence の違い:影響の強さと、動詞にできるかどうか

06allow for は「許可する」ではない

allow for は、許可するという意味ではありません。何かを考慮に入れる、見込んでおくという意味の別の表現です。allow と for が並んでいるだけの形と取り違えると、文の意味が変わってしまいます。

The budget allows for a 5 per cent increase in costs.

その予算は費用が5パーセント増えることを見込んでいます

These figures do not allow for inflation.

これらの数字はインフレを考慮に入れていません

ライティング・タスク1でデータを説明するときに使いやすい表現です。数字の前提に何が入っていないかを1文で示せます。

許可の意味で for を足す必要はありません。The school allows for students to eat in the lounge. は不自然で、The school allows students to eat in the lounge. が正しい形です。

07ライティング・タスク2でどちらを使うか

ライティング・タスク2では、制度や規則について述べる場面で allow がよく使われます。論じる対象が政策や制度で、認める側がはっきりしているからです。手段を与えて可能にする話であれば enable のほうが合います。let は会話的に響くので、答案では出番が限られます。

Governments should allow citizens to express their opinions freely.

政府は市民が自由に意見を表明することを認めるべきです

Many universities allow students to choose their own course schedules.

多くの大学は学生が自分で履修計画を選ぶことを認めています

Flexible working hours allow employees to balance work and family life.

柔軟な勤務時間により、従業員は仕事と家庭を両立できます

3つ目のように、主語が制度や仕組みでも allow は使えます。ただし、その仕組みが禁止を解いているのではなく手段を与えているのなら、5節のとおり enable のほうが正確です。ここを意識して選べていると、語彙の使い分けとして評価につながります。

同じ語を繰り返さないための言い換え

1本の答案で allow を何度も使うと、Lexical Resource の観点で不利になります。意味の方向ごとに持ち替えられるようにしておくとよいでしょう。

  • permit:allow より硬い。規則や法律の文脈で使いやすい
  • enable:手段を与えて可能にする。技術や制度が主語のとき
  • make it possible for 人 to do:動詞を変えずに形だけ変えたいとき
  • give 人 the opportunity to do:機会を与えるという方向に寄せたいとき

permit は allow とほぼ同じ形を取るので、置き換えがいちばん簡単です。Students are permitted to use calculators. のように受動態でも使えます。

ライティング・タスク2 上級者でも間違えやすい動詞10組の使い分け:rise と raise、claim と argue

08よくある質問

let と allow はどう使い分けますか。

許可の出どころで分けます。let は相手がしたいことを止めない、妨げないことで結果的にできるようにする語です。allow は禁じることもできる立場の側が、権限や判断をもって認める語です。allow は公式な場面に限らず、My parents allowed me to stay up late. のように家庭内でも使います。

allow のうしろに to は必要ですか。

人を目的語に置く場合は必要です。allow students to choose の形になります。let は逆で、let students choose のように原形が続き to は入りません。この2語は形が正反対なので、対にして覚えておくと取り違えにくくなります。

allows to do という形は使えますか。

使えません。allow は他動詞なので目的語が要ります。This technology allows to reduce costs. は誤りで、This technology allows companies to reduce costs. のように誰ができるようになるのかを補うか、This technology makes it possible to reduce costs. と言い換えます。

allow のうしろに動名詞を続けてもよいですか。

誰に許可するかを言わない場合は続けられます。The school does not allow smoking on the premises. のように、行為そのものを認めるかどうかが問題で、誰がするかを問わないときの形です。人を出すなら allow students to smoke のように to不定詞になります。

let は受動態にできますか。

許可の意味では通常使いません。Students are let to use calculators. とは言わず、Students are allowed to use calculators. とします。ただし be let go は解雇されるという決まった言い方として使われます。これは慣用表現で、許可の意味とは別のものです。

allow と enable の違いは何ですか。

制限や権限の問題なら allow、能力や手段の問題なら enable です。allow は禁止を解く場合だけでなく、The scholarship allows students to study abroad. のように機会を与える意味でも使えます。技術やインフラが主語のときは enable のほうが噛み合います。enable も目的語が必要で、enable to do とは書けません。

allow for はどういう意味ですか。

許可するという意味ではなく、何かを考慮に入れる、見込んでおくという意味です。These figures do not allow for inflation. のように使います。許可の意味で for を足す必要はないので、allow students to eat のように直接目的語を置きます。

allow の言い換えには何がありますか。

permit がいちばん置き換えやすく、形も同じで受動態にもできます。手段を与えて可能にする意味なら enable、動詞を変えずに形だけ変えたいなら make it possible for 人 to do、機会を与える方向に寄せたいなら give 人 the opportunity to do が使えます。

09まとめ

  • let は妨げないことで結果的にできるようにする語。allow は認める側が権限や判断をもって決める語
  • 形は正反対。let + 人 + 原形、allow + 人 + to不定詞
  • allow は他動詞なので目的語が要る。allow to do とは書けない
  • 誰に許可するかを言わないときは allow + 動名詞(allow smoking)
  • 受動態は be allowed to do。let の受動態は許可の意味では通常使わない
  • 制限や権限の問題なら allow、能力や手段の問題なら enable
  • allow for は考慮に入れるという別の意味。許可の意味で for は足さない

迷ったときは、何が問題だったのかを考えてみてください。認める側の判断や制限が関わっているなら allow、手段や能力が無かっただけなら enable、相手の自由に任せて妨げないという話なら let です。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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