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ライティング・タスク2

前向きの理由(表の議論)と後ろ向きの理由(裏の議論)

前向きの理由(表の議論)と後ろ向きの理由(裏の議論)
IELTSライティングのエッセイで、アイデアを考えているうちに知らず知らずのうちに「後ろ向きの理由」をあげてしまうことがあります。「後ろ向きの理由」とは、例えば「Aするべきだ」という主張と「Bするべきだ」という主張が対立している状況で、Bの悪いところを挙げることによって「Aするべきだ」という主張に結びつけようとする方法のことです。

本記事では、この「前向きの理由(表の議論)」と「後ろ向きの理由(裏の議論)」というふたつの概念を整理します。それぞれの特徴と使い分けを理解することで、エッセイの議論をより明確に組み立てられるようになります。

後ろ向きの理由(裏の議論)とは

まず、「後ろ向きの理由」がどのようなものかを具体例で確認しましょう。

政府は鉄道にもっとお金をかけるべきか、あるいは道路にもっと投資をするべきかという議論を考えてみましょう。「鉄道に投資するべき理由」として次のように書いたとします。

後ろ向きの理由の例

道路への投資は車の台数を増やし、排気ガスによる大気汚染や温室効果ガスの排出につながる。環境への悪影響を考えると、政府は鉄道にもっとお金をかけるべきだ。
このようなロジックは、間違いではありませんが根拠として非常に弱くなりがちです。なぜなら、鉄道に投資をすべきと考える「前向きの理由(表の議論)」が述べられていないからです。「道路への投資は良くない」という話が、「鉄道に投資するべき理由」にすり替わっています。これが「後ろ向きの理由(裏の議論)」の典型的なパターンです。

このように、対立する選択肢や現状を否定することで自分の立場を支持しようとする議論を、ここでは「後ろ向きの理由」と呼びます。
前向きの議論(表の議論)直接的な理由(積極的な理由)
後ろ向きの議論(裏の議論)間接的な理由(消極的な理由)

前向きの理由(表の議論)にするには?

一方、「前向きの理由」とは、自分が支持する立場を直接支持する根拠のことです。先ほどの例に当てはめると、次のようになります。

前向きの理由の例

鉄道への投資を増やすことで、都市部の交通渋滞が緩和され、多くの人の通勤時間が短縮される。また、鉄道ネットワークの整備は地方と都市部を結び、地方経済の活性化にもつながる。
「鉄道があることでこういう良いことがある」という形で、主張を直接支持しています。言い換えれば、道路に投資をする欠点を主張の根拠にするのではなく、鉄道に投資をする利点を主張の根拠にするということです。

後ろ向きの理由は相手の立場を批判することに終始しており、肝心の「自分の立場がなぜ良いのか」を示せません。読み手にとっても、議論の軸がぼやけた印象を与えることになります。

前向きの理由と後ろ向きの理由の混在

実際のエッセイでは、前向きの理由と後ろ向きの理由が混在していることがよくあります。次の例を見てください。

混在している例

政府は鉄道への投資を優先するべきだ。なぜなら、鉄道は多くの人を一度に運ぶことができ効率的であるからだ。また、道路への投資は車社会を助長し、環境問題を悪化させる可能性がある。
「なぜなら」から始まる文は前向きの理由です。「多くの人を一度に運ぶことができる」という鉄道固有のメリットを述べています。「また」から始まる文は後ろ向きの理由です。道路投資の問題点を指摘しています。

このように混在しているケースは珍しくありませんが、後ろ向きの理由が増えるほど、自分の主張の根拠が薄れていきます。ボディパラグラフのメインポイントとして使うのであれば、前向きの理由を中心に展開するのが基本です。

後ろ向きの理由が有効なケースも

ただし、後ろ向きの理由が必ずしも弱いわけではありません。内容によっては、前向きの理由と表裏一体になっており、実質的に同じことを伝えている場合があります。

たとえば、ペットは室内で飼うべきという主張に対して次のような理由を挙げたとします。

後ろ向きの理由が有効になる例

ペットを屋外に放し飼いにすると、車や野生動物による事故、あるいは感染症のリスクにさらされる可能性がある。室内で管理することで、こうした危険を大幅に減らすことができる。
この場合、「屋外の危険性」という後ろ向きの視点から述べているものの、その裏には「室内飼育の方が安全だ」という前向きの主張が明確に存在しています。「安全性が高まる」というメリットを示せているため、議論としての強度は比較的高いと言えます。

後ろ向きの理由が有効かどうかを判断する目安は、「その理由を述べることで、自分の立場の直接的な根拠になっているか」です。対立意見の欠点を並べるだけで終わっていれば弱い議論ですが、そこから自分の立場の強みに着地できていれば、一定の説得力を持ちます。

セルフチェック

自分のエッセイが「後ろ向きの理由」に偏っていないかを確認するためのシンプルな問いがあります。

チェックの問い

「もし対立する選択肢がなかったとしても、自分の主張は成り立つか?」
たとえば「道路への投資が存在しなかった世界」を想像したとき、「それでも鉄道に投資するべきだ」と言えるかどうかを考えてみます。もし「道路がなければ別に鉄道にこだわる必要もない」となれば、その理由は対立意見に依存しており、後ろ向きの理由に過ぎないということになります。

一方、「鉄道への投資は渋滞緩和や地方活性化につながる」という前向きの理由であれば、道路への投資とは関係なく成立します。こうした独立した根拠が、前向きの理由の強みです。

エッセイを書き終えたら、各ボディパラグラフのメインポイントを一文で抜き出し、上記の問いに当てはめてみるとよいでしょう。後ろ向きの理由だとわかった場合は、「では、自分の立場のどのようなメリットがそこから生まれるのか」を補足するだけで、議論の質がぐっと上がります。

まとめ

「前向きの理由」と「後ろ向きの理由」のポイントをまとめます。
  • 前向きの理由:自分の立場を直接支持する根拠。「○○には△△というメリットがある」という形で、対立意見とは独立して成立する
  • 後ろ向きの理由:対立する立場の欠点を指摘することで、自分の立場を間接的に支持する根拠。対立意見が存在することに依存している
  • 後ろ向きの理由でも、自分の立場のメリットと表裏一体になっている場合は有効な議論になり得る
  • まずは前向きの理由から考え、それが後ろ向きの理由に偏っていないかを書いた後に確認する習慣をつける
「なぜその立場が良いのか」に直接答えられているかどうか。そのシンプルな問いを意識するだけで、エッセイの論理的な強さは確実に変わっていきます。
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Hibiki

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール 『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象に IELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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