However は、それまでの流れを打ち消して別の方向へ進むことを予告する語です。だからこそ、1本のエッセイの中で置ける場所はそう多くありません。段落の途中で軽い対比のたびに使ってしまうと、いざ議論を大きく切り替えたい場所に来たときに、同じ合図をもう一度出すことになります。
この記事では、However を段落の途中で使ってしまうとライティング・タスク2の議論の運びにどう影響するのか、なぜそうなってしまうのか、そして譲歩を効果的に使うために書き始める前に何を決めておけばよいかを整理します。
目次
howeverを段落の途中で使うと何が起きるのか
なぜ段落の途中でhoweverを使ってしまうのか
譲歩は悪くない。決めておくべきは譲歩を終える場所
段落内の小さな対比には別の表現を使う
プランニングの段階で転換点を1か所に決めておく
よくある質問
まとめ
01 howeverを段落の途中で使うと何が起きるのか
However を段落の途中で使うと、本当に議論を切り替えたい場所に来たときに、読み手へ出す合図が残っていない状態になります。However は「ここまでの流れはいったん置いて、これから別のことを言います」と予告する語なので、1本のエッセイの中で何度も出てくると、読み手はどれが本当の転換点なのかを判断できなくなります。
採点基準のCoherence and Cohesionでは、段落と段落の関係が読み手に見えるかどうかが問われます。However はその関係を示す標識として働く語です。標識が道路の分岐点だけに立っていれば道順は分かりますが、100メートルおきに同じ標識が立っていれば、どこで曲がればよいのか分からなくなります。段落の内側で細かい対比のたびに使ってしまうと、これと同じことが起こります。
例に使うタスク
タスク例
Some people believe that public libraries are no longer necessary because information is available online. To what extent do you agree or disagree?
オンラインで情報が手に入るため、公共図書館はもう必要ないと考える人がいます。どの程度賛成、または反対しますか。
このタスクでは、「オンラインで情報が手に入るのは事実だ」と一度認めたうえで、「それでも図書館には別の役割がある」と自分の立場を示す流れが自然に作れます。つまり、議論の転換点は「認める部分」から「自分の主張」へ移る1か所です。
段落の途中で使ってしまった例
✗
It is true that most factual information is now available online. Students can search academic databases from home, and search engines return results in seconds. However, not all of these sources are written by experts, and inaccurate claims spread quickly. Library staff are trained to check where information comes from, and they can guide users towards material that has been reviewed. However, it is still much faster to find information online than to visit a library in person.ボディ1の中だけで However を2回使っている。次の段落で立場を切り替えるときには3回目になる
この段落は、1文目と2文目で「オンラインで情報が手に入る」と認めたあと、3文目でその内容を打ち消しています。そして5文目で、今度は図書館側の説明を打ち消して、最初に認めていた側へ戻っています。1文ずつ見れば内容に無理はありませんが、段落の中で立場が二度切り替わっているため、この段落が何を認めた段落なのかが読み終えても残りません。そのうえでボディ2の冒頭に However を置くと、3回目の同じ合図になります。
転換点に取っておいた例
○
It is true that most factual information is now available online. Students can search academic databases from home, and search engines return results in seconds. For someone who simply needs a date or a figure, a trip to a library is no longer necessary.ボディ1は認める内容だけで最後まで通している
○
However, libraries offer something that a search engine cannot. They provide a quiet public space that anyone can enter free of charge, and this matters most to people who have no suitable place to study at home.However はボディ2の1文目に1回だけ。ここが立場の切り替え地点だと一目で分かる
後者では、ボディ1を読んでいる間、読み手は「この書き手はいったん相手の主張を認めている」と安心して読み進められます。そしてボディ2の1文目で However が出てきた瞬間に、ここから書き手自身の立場が始まると分かります。合図が1か所しかないからこそ、その1か所が強く働きます。
02 なぜ段落の途中でhoweverを使ってしまうのか
段落の途中で However を使ってしまう原因は、語彙や文法の知識ではなく、プランニング不足であることが多いです。書き始める前に「どの段落で何を主張するか」が決まっていないと、書きながら思いついた対比をその場で処理することになり、そのたびに However が差し込まれます。
実際には、次のような状態で書き始めていることがよくあります。
各ボディの主張を決めずに、書きながら考えている。書いている途中で反対の材料を思いつき、その場で打ち消してしまう
譲歩を入れることだけは決めているが、譲歩をどこで終わらせるかを決めていない。認めた内容を説明しきる前に、反論に移ってしまう
反対意見を思いついた順に書いている。段落の役割ではなく、思いついた順序が構成になってしまっている
いずれの場合も、共通しているのは「転換点をどこに置くか」を先に決めていない点です。転換点が決まっていなければ、対比が必要になった場所がそのまま転換点になります。そして対比は書いている最中に何度でも思いつくので、However も何度でも出てきます。
逆に言えば、書き始める前に決めておくことは多くありません。各ボディで何を主張するかと、転換の合図を置く1か所をどこにするかです。この2つが決まっていれば、途中で対比を思いついても「これはボディ2に回す内容か、それとも1文の中で処理する内容か」と判断できます。
03 譲歩は悪くない。決めておくべきは譲歩を終える場所
譲歩そのものは避けるべき書き方ではありません。対立する意見の一部を認めたうえで自分の立場を示す構成は、タスク2でよく使われる型の一つです。問題になるのは譲歩を入れること自体ではなく、譲歩をどこで終わらせるかを決めずに書き始めることです。
譲歩を使う構成は、次の形が基本になります。
ボディ1: It is true that トピック1 because メインアイデア1.
ボディ2: However, I believe that トピック2 because メインアイデア2.
この形では、However はボディ2の1文目に1回だけ置きます。ボディ1の中では、認めた内容を最後まで説明しきります。ボディ1の途中で However を入れてしまうと、その段落の中で立場が元に戻ってしまい、ボディ2に残る役割がなくなります。ボディ1で反論まで済ませてしまった状態でボディ2に進むと、同じ内容をもう一度書くことになりがちです。
構成のタイプによって、転換の合図を置く位置は変わります。整理すると次のようになります。
構成のタイプ ボディ1の役割 ボディ2の役割 転換の合図を置く位置
譲歩型 対立意見の一部を自分も認める 自分の主張を展開する ボディ2の1文目
対立意見の紹介型 他者の意見として紹介する 自分の主張を展開する ボディ2の1文目
場合分け型 一般的なケースを述べる 例外にあたるケースを述べる ボディ2の1文目
一方向型 理由1を述べる 理由2を述べる 転換がないので合図は置かない
表の上3行はいずれも、合図を置くのはボディ2の1文目の1か所です。一方向型では、ボディ1とボディ2が同じ方向の理由を並べているだけなので、そもそも議論の転換が起きません。この構成で However を使うと、読み手は立場が変わると予告されたのに変わらないまま段落が終わることになります。並列であることを示す表現でつなぐほうが、構成どおりに読んでもらえます。
ライティング・タスク2
問題タイプ別の答え方:agree/disagree【各論①】
04 段落内の小さな対比には別の表現を使う
段落の中で小さな対比を書きたいときは、However ではなく従属節や but を使って1文の中に収めます。これらは文の内側で完結するため、段落と段落の関係を示す標識としては働きません。だからいくつ使っても、段落の切れ目に置く However の働きを弱めません。
表現 使いどころ 例
although / though 認める内容を添えたうえで、情報の重心は主節に残す Although online information is free, it is not always accurate.
while / whereas 2つの対象を並べて比べる While printed books require storage space, digital files do not.
but 軽い対比を1文の中でつなぐ The service is free but limited to local residents.
despite / in spite of 名詞句で対比を短く示す Despite the growth of online sources, visitor numbers have risen.
先ほどの誤用例の3文目にあたる対比も、1文の中に収めれば段落の途中の However を消すことができます。
✗
Online sources are convenient. However, some of them are not reliable.段落の途中で標識を使ってしまっている
○
Online sources are convenient, although some of them are not reliable.1文の中で処理しているので、段落の切れ目の However は温存できる
ここで注意したいのは、Nevertheless、Nonetheless、On the other hand も段落と段落の関係を示す標識として働くという点です。However を避けたいからといってこれらに置き換えても、同じ問題がそのまま残ります。段落の途中に置いた時点で、読み手はそこを転換点として読みます。置き換えるなら、標識として働かない表現、つまり従属節や but を選びます。
05 プランニングの段階で転換点を1か所に決めておく
書き始める前にやっておくことは、転換の合図を置く場所を1か所だけ決めておくことです。ここが決まっていれば、書いている途中で対比を思いついても、その場で However を差し込むかどうかを迷わずに済みます。
書く前の手順
タスクを読んで、譲歩を使う構成にするかどうかを決める。一方向で理由を2つ並べる構成なら、転換の合図はそもそも使わない
譲歩を使うなら、ボディ1で認める内容とボディ2で主張する内容を、それぞれ1文ずつ書き出す
However を置くのはボディ2の1文目だと決めて、プランニングのメモにその位置だけ印をつけておく
ボディ1を書いている間は、対比が必要になっても従属節か but で処理すると決めておく
4つ目が実際には一番効きます。ボディ1を書いている最中に「でも、そうとは限らない」と思いつくことは避けられません。そのときに、However を使わずに1文の中で処理するというルールが先にあれば、段落の中で立場が往復するのを防げます。
書いたあとの見直し
However、Nevertheless、Nonetheless、On the other hand が本文にいくつあるかを数える
それぞれが段落の1文目にあるかどうかを見る。段落の1文目以外にあるものは、置き換えの候補になる
2つ以上残るなら、どれが本当の転換点かを1つ選び、残りは従属節か but に置き換える
この見直しは1分もかかりません。エッセイを書き終えたあとに読み返す時間が短くても、転換の合図を数えて段落の1文目にあるかを確かめるだけなら間に合います。
ライティング・タスク2
プランニングの基本【初級】
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06 よくある質問
However は1本のエッセイで何回まで使ってよいですか。
回数の上限が決まっているわけではありません。ただし However は議論の転換を予告する語なので、転換点が1か所の構成であれば1回に収まるのが自然です。2回以上出てくる場合は、どれが本当の転換点なのかを選び直すとよいでしょう。
段落の途中に However を書くのは間違いですか。
文法として誤りではありません。問題になるのは、そのあとで本当に議論を切り替えたいときに同じ合図をもう一度出すことになり、読み手がどちらを転換点として読めばよいか判断できなくなる点です。
譲歩は使わないほうが安全ですか。
譲歩そのものは避けるべき書き方ではありません。対立する意見の一部を認めたうえで自分の立場を示す構成は、タスク2でよく使われる型の一つです。問題になるのは、譲歩をどこで終わらせるかを決めずに書き始めた場合です。
However の代わりに On the other hand を使えば回避できますか。
回避にはなりません。On the other hand や Nevertheless も段落と段落の関係を示す標識として働くため、段落の途中で使うと However と同じことが起こります。段落の中の対比には although、while、but などを使います。
段落の中で「It is true that ..., However, ...」と反駁する書き方は使えないのですか。
使えます。欠点を認めてすぐに反駁する構成では、段落の中の However が計画された転換として働きます。この記事で問題にしているのは、転換点を決めずに書き始めた結果、立場が無計画に往復してしまう使い方です。反駁として使う場合も、どこで However を使うかを書く前に決めておく点は変わりません。
ボディ1を書いている途中で反対の材料を思いついたらどうすればよいですか。
その場で書き足すのではなく、ボディ2に回せる内容かどうかを確かめます。ボディ2の主張と同じ方向なら、ボディ2に移します。段落の中で立場が元に戻ってしまうと、ボディ2に残る役割がなくなります。
一方向で主張する構成でも However は必要ですか。
必要ありません。ボディ1とボディ2で同じ方向の理由を2つ並べる構成では議論の転換が起きないため、転換の合図も置きません。ここで However を使うと、立場が変わると予告されたのに変わらないまま段落が終わることになります。
書き終わったあとに確認する方法はありますか。
However、Nevertheless、Nonetheless、On the other hand が本文にいくつあるかを数え、それぞれが段落の1文目にあるかを見ます。段落の1文目以外にあるものは、従属節や but への置き換えの候補になります。この確認は1分もかかりません。
07 まとめ
However を段落の途中で使ってしまう問題は、単語の選び方の問題に見えて、実際には構成を決めずに書き始めたことの結果として出てきます。転換点を先に1か所決めておけば、書いている途中で対比を思いついても処理の仕方が決まります。
However は議論の転換を予告する語で、読み手はそこを立場の切り替え地点として読む
段落の途中で使うと、本当の転換点で同じ合図を繰り返すことになり、どこが切り替え地点か伝わらなくなる
原因は語彙の知識ではなく、転換点をどこに置くかを決めずに書き始めたことにある
譲歩そのものは問題ではない。譲歩を終える場所を決めているかどうかが分かれ目になる
譲歩型・対立意見の紹介型・場合分け型では、合図はボディ2の1文目に1回だけ置く
一方向型では議論の転換が起きないので、転換の合図は置かない
段落の中の小さな対比は although、while、but、despite などで1文の中に収める
書き終えたら転換の合図を数え、段落の1文目以外にあるものを置き換える