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ライティング・タスク2

encourage・promote・facilitate の違い:人を促すか、ものごとを進めるか

執筆:高橋 響 公開日:

促す、推進する、後押しする。日本語ではどれも似た訳語になるため、encourage と promote と facilitate は入れ替えられそうに見えます。ところが英語では、うしろに何を続けられるかが3語で違います。The government should promote people to use public transport. という文が成立しないのは、意味ではなく形の問題です。

この記事では、人に働きかけるのか、ものごとを進めるのか、しやすくするのかという軸で3語を分けたうえで、答案で形を落としやすいところと urge との使い分けまで整理します。

01結論:うしろに人が来るかどうかで分かれる

この3語を分けているのは意味の強さではなく、うしろに続けられる形です。encourage は人を目的語にして to不定詞を続けられますが、promote と facilitate ではこの形を使いません。

3語の基本

encourage:人に働きかけて促す。encourage + 人 + to do の形が取れる

promote:ものごとを推し進める。この意味では名詞を続け、人 + to do の形は取らない

facilitate:行為をしやすくする。名詞を続けるのが基本で、答案では人 + to do を使わない

観点encouragepromotefacilitate
働きかける先ものごと行為やしくみ
人 + to do取れる促す意味では取らない答案では使わない
名詞を続ける取れる取れる取れる
していること気持ちを後押しする広める、盛んにする障害を減らして楽にする
典型の目的語students、peoplegrowth、the use of ...communication、access

3語とも他動詞です。目的語なしでは使えないので、encourage や promote を自動詞のように置いた文は成立しません。ここは形の話なので、意味が合っていても直す必要があります。

The government should promote people to use public transport.促す意味の promote は人 + to do を取らない

The government should encourage people to use public transport.人に働きかけるなら encourage

The government should promote the use of public transport.promote を使うなら名詞にする

下の2文は、同じ政策について別の角度から述べています。人の行動を変えたいと言うのが encourage、公共交通の利用そのものを広めたいと言うのが promote です。どちらを書いても内容は通りますが、混ぜると形が壊れます。

02encourage:人にもものにも使える

encourage は3語のなかでいちばん使い道が広く、人だけでなく活動、状態、変化など、後押しできるものを目的語にできます。人を目的語にして to不定詞を続ける形が中心ですが、名詞をそのまま続けることもできます。

ただし何でも置けるわけではありません。encourage a problem、encourage a mistake のように、望ましくない結果そのものを目的語にすることはできません。後押しできる方向のものかどうかが目安になります。

Teachers should encourage students to participate in class discussions.

教師は生徒が議論に参加するよう促すべきです(人 + to do)

The government encourages innovation through research funding.

政府は研究資金を通じてイノベーションを後押ししています(名詞を続ける)

Sunlight encourages plant growth.

日光は植物の成長を促します(主語も目的語も人ではない)

3つ目のように、主語が人でなくても使えます。この点が5節の urge との大きな違いです。encourage は気持ちや状況を後押しするという広い意味を持つので、無生物が主語でも成り立ちます。

受動態にすると読み手に届きやすい

be encouraged to do の形にすると、誰が促したのかを言わずに制度や慣行を説明できます。ライティング・タスク2で主語を政府や学校に固定したくないときに使えます。

Students are encouraged to take part in volunteer activities.

生徒はボランティア活動に参加するよう促されています

03promote:promote 人 to do と書けない理由

promote を「広める、推進する」の意味で使うとき、うしろに来るのは名詞です。この意味では人 + to不定詞という形を取りません。答案でいちばん多い誤りがここです。

promote のうしろに人が来る形自体は存在しますが、それは昇進させるという別の意味のときで、to のうしろには動詞ではなく役職名が来ます(この節の後半で扱います)。促すという意味で人を出したいのであれば、encourage に替えるのが確実です。

Schools should promote students to read more books.促す意味ではこの形にできない

Schools should promote reading among students.名詞を続ける

Schools should encourage students to read more books.人に働きかけるなら encourage に替える

直し方は2つです。promote のままにするなら目的語を名詞にする、人を出したいなら encourage に替える。どちらでも通りますが、名詞にすると the use of、the development of のような形が増えて硬くなるので、答案のリズムを見て選ぶとよいでしょう。

promote + 人 + to が使えるのは昇進の意味のとき

promote のうしろに人が来る形がまったく無いわけではありません。ただしその場合は促すという意味ではなく、昇進させるという別の意味になります。to のうしろに来るのも動詞ではなく役職名です。

She was promoted to senior manager last year.

彼女は昨年、上級管理職に昇進しました(to のうしろは役職)

promote people to do something という形を見かけたときに、この昇進の用法と混同しているケースがあります。to のうしろが動詞の原形なら誤り、役職や地位の名詞なら昇進の意味、と切り分けられます。

よく使われる目的語

  • 成長や発展:promote economic growth、promote sustainable development
  • 行為を名詞にしたもの:promote the use of renewable energy、promote recycling
  • 価値や状態:promote equality、promote public health、promote awareness

2つ目のように、動詞を名詞に変えれば promote で書けます。people to recycle と書きたくなったら promote recycling、people to use bicycles なら promote cycling です。

04facilitate:促すのではなく、しやすくする

facilitate は、障害を減らして行いやすくするという意味です。promote が広める方向なのに対し、facilitate は楽にする方向です。うしろには名詞を続けるのが基本の形になります。

Online platforms facilitate communication between people in different countries.

オンラインの基盤は、異なる国の人どうしのやり取りを容易にします

Better public transport would facilitate access to rural areas.

公共交通が改善されれば、地方へのアクセスが容易になります

The system facilitates students to submit their assignments online.この形を使う話者もいるが、答案では避けたい

The system facilitates the online submission of assignments.名詞を続ける

The system enables students to submit their assignments online.人 + to do を使いたいなら enable に替える

facilitate someone to do という形を使う話者もいますが、アカデミックな文章では facilitate access to、facilitate communication between、facilitate the development of のような名詞を続ける形が圧倒的に自然です。答案では名詞にしておくほうが安全です。

facilitate と promote の差は、すでにやろうとしている人がいるかどうかで考えると分かりやすくなります。やりたい人はいるが手間がかかっている状態を楽にするのが facilitate、そもそもやる人を増やしたいのが promote です。

ライティング・タスク2 let と allow の違い:妨げないのか、公式に認めるのか

人 + to不定詞を取れる動詞と取れない動詞の切り分けは、allow と enable でも同じ問題が起きます。上の記事にまとめてあります。

05urge:強く促す。誰が誰に言うのかがはっきりしている

urge は encourage と同じく人 + to不定詞を取れますが、単に強い encourage ではありません。そうする必要があると話し手が判断して求める、というのが urge です。必要性の認識が前提にあるため、結果として急ぎの含みが出ます。医師や国連のように、立場のある側が呼びかける場面で使われるのはこのためです。

encourage のほうは、相手が行動するよう後押しするという意味です。Teachers encourage students to ask questions. は弱い命令ではなく、質問しやすくするための働きかけを表しています。強い弱いではなく、必要性から求めているのか、背中を押しているのかで分かれます。

Doctors urge patients to quit smoking immediately.

医師は患者に直ちに禁煙するよう強く促しています

The UN has urged all countries to reduce carbon emissions.

国連はすべての国に炭素排出量の削減を強く求めています

主語は人や組織が基本です。Rising sea levels urge immediate action. のように無生物を主語にすると落ち着きが悪くなるので、Scientists urge immediate action ... のように呼びかけている側を主語に立てるか、encourage に替えます。

目的語が名詞になることもある

urge のうしろには、人だけでなく取るべき行動を表す名詞も来ます。urge action、urge caution、urge restraint、urge reform のような形です。

Environmental groups have urged immediate action on plastic waste.

環境団体はプラスチックごみへの即時の対応を強く求めています

いっぽう、technological advancement のような成果や状態を表す名詞は urge の目的語になりません。行動として取れるものかどうかが目安です。この場合は encourage technological advancement か、urge companies to pursue technological advancement のように人を立てます。

encourage との使い分け

急ぎではないこと、相手の判断に任せることには urge を使いません。I urge you to watch this movie when you have time. は強すぎて不自然に響きます。映画をすすめるだけなら encourage です。

06判断に迷いやすい例文

実際の文でどれを選ぶかを見ていきます。カッコの中がその語を選んだ理由です。

encourage を選ぶ例

Parents should encourage children to develop their own interests.人に働きかけている。人 + to do を取れるのは encourage と urge だけ

Tax incentives encourage investment in renewable energy.主語が人ではないので urge は使えない

promote を選ぶ例

Governments should promote the use of electric vehicles.利用そのものを広める。人を出さずに名詞で書いている

Physical education promotes both health and teamwork.健康と協調性を盛んにする。楽にする話ではないので facilitate は合わない

facilitate を選ぶ例

Digital records facilitate the sharing of medical information.共有そのものを楽にしている。広める話ではない

Flexible hours facilitate a better balance between work and family life.両立を成り立ちやすくしている

urge を選ぶ例

Health authorities have urged the public to get vaccinated.立場のある側が急ぎで呼びかけている

同じ内容を語を変えて書けることもあります。Governments should encourage people to use public transport. と Governments should promote the use of public transport. は、どちらも成り立ちます。人の行動に焦点を当てるか、利用そのものに焦点を当てるかの違いです。

IELTS学習アプリ 表現ニュアンス比較 意味の近い表現を並べて差を確かめられます。encourage と promote と facilitate が入れ替えられるかどうかの確認に使えます。

07ライティング・タスク2での選び方

ライティング・タスク2では、政策や制度が何をすべきかを述べる場面でこの3語が出てきます。手順としては、まず人を出すかどうかを決め、それから語を選ぶと形を落としません。

書きたいこと選ぶ語
人の行動を変えたいencourageencourage people to do
取り組みを広めたいpromotepromote the use of ...
やりにくさを減らしたいfacilitatefacilitate access to ...
急ぎで呼びかけたいurgeurge governments to do

1本の答案で encourage を何度も使うと Lexical Resource の観点で不利になります。人を出す形と名詞にする形を交互に使うと、同じ内容のまま語を変えられます。

Governments should encourage citizens to recycle household waste. In addition, schools can promote recycling through practical activities.

政府は市民に家庭ごみの分別を促すべきです。加えて、学校は実践的な活動を通じて分別を広めることができます

前の文は人に働きかけ、次の文は取り組みそのものを広めています。語を替えただけでなく、述べている角度も変わっているので、単なる言い換えより内容が進みます。

ライティング・タスク2 上級者でも間違えやすい動詞10組の使い分け:rise と raise、claim と argue

08よくある質問

encourage と promote の違いは何ですか。

働きかける先が違います。encourage は人に働きかけて促すので、encourage people to do の形が取れます。promote はものごとを広める、盛んにするという意味で、うしろには名詞が来ます。同じ政策でも、人の行動に焦点を当てるなら encourage、取り組みそのものに焦点を当てるなら promote です。

promote people to do という形は使えますか。

促すという意味では使えません。promote the use of public transport のように名詞にするか、encourage people to use public transport のように語を替えます。動詞を名詞に変えれば promote で書けます。people to recycle なら promote recycling です。なお昇進させるという別の意味では promote 人 to 役職 の形があります。

encourage と promote は自動詞ですか、他動詞ですか。

どちらも他動詞です。facilitate と urge も同じで、4語とも目的語なしでは使えません。違うのは目的語に何を置けるかで、encourage と urge は人 + to不定詞を取れますが、promote は促す意味ではこの形を取らず、facilitate も答案では名詞を続けます。

She was promoted to manager. のように人が目的語になっていませんか。

この promote は昇進させるという別の意味です。to のうしろに来るのも動詞ではなく役職名です。to のうしろが動詞の原形なら誤り、役職や地位の名詞なら昇進の意味、と切り分けられます。

promote と facilitate はどう使い分けますか。

すでにやろうとしている人がいるかどうかで考えます。やりたい人はいるが手間がかかっている状態を楽にするのが facilitate、そもそもやる人を増やしたいのが promote です。Digital records facilitate the sharing of medical information. は共有を楽にする話で、広める話ではありません。

facilitate を人 + to不定詞で使えませんか。

使う話者もいますが、答案では避けるほうが安全です。The system facilitates the online submission of assignments. のように名詞にします。人 + to不定詞を使いたい場合は enable に替えると自然な文になります。アカデミックな文章では facilitate access to のような名詞構文が圧倒的に多く使われています。

urge と encourage はどう使い分けますか。

urge は単に強い encourage ではありません。そうする必要があると話し手が判断して求めるのが urge、相手が行動するよう後押しするのが encourage です。urge は主語が人や組織であるのが基本で、急ぎではないことや相手の判断に任せることには使いません。映画をすすめるだけなら encourage です。

urge のうしろに名詞を置けますか。

取るべき行動を表す名詞なら置けます。urge action、urge caution、urge restraint、urge reform のような形です。ただし technological advancement のような成果や状態を表す名詞は取りません。その場合は encourage を使うか、urge companies to pursue ... のように人を立てます。

09まとめ

  • 4語とも他動詞。人 + to不定詞を取れるのは encourage と urge だけ
  • encourage は人にもものにも使え、主語が人でなくてもよい
  • promote は促す意味では人 + to do を取らない。promote the use of ... のように名詞にする
  • promote + 人 + to が使えるのは昇進の意味のときで、to のうしろは役職名
  • facilitate はやりにくさを減らす語。答案では名詞を続け、人 + to不定詞なら enable に替える
  • urge は必要性から強く求める語で、単に強い encourage ではない。主語は人や組織が基本

迷ったときは、まず人を出すかどうかを決めてください。人の行動を変えたいなら encourage、取り組みを広めたいなら promote、やりにくさを減らしたいなら facilitate です。人を出すと決めたあとで、その呼びかけが急ぎかどうかで encourage と urge を選び分けます。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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