スピーキングの自己練習を終えたあと、多くの人がまず取りかかるのは表現のインプットです。言えなかった表現を調べ、使えそうなフレーズをノートに書き留めて覚える。それ自体は間違いではありませんし、長期的には大切な積み重ねです。
ただ、この方法は短期ではなかなか成果が出ません。この記事では、その理由と、表現のインプットの前にやってほしい「うまく話せなかった問題の振り返り方」を、具体例とあわせて紹介します。
01表現のインプットだけでは短期的に成果が出にくい
練習の振り返りというと、「知らなかった単語を調べる」「言えなかった表現の英訳を確認して覚える」という作業を思い浮かべる方が多いと思います。この作業は語彙を増やすうえで大切ですし、続ける価値があります。
一方で、次の試験が近い人にとって効率のよい方法とは言えません。理由はシンプルで、覚えた表現がそのまま使える質問に本番で当たる確率が低いからです。スピーキングのトピックは幅広く、同じ質問をもう一度聞かれることはめったにありません。せっかく覚えた表現も、出番が来るのはずっと先になりがちです。
表現のインプットは長期戦の学習です。続けつつも、振り返りの時間をそれだけに使ってしまうのはもったいない、というのがこの記事の出発点です。
02うまく話せなかった問題を振り返る
そこでおすすめしたいのが、うまく話せなかった質問に戻って、「どのような話をすればもっと話せそうだったか」を考えることです。ここで振り返るのは英語表現ではなく、話の展開方法、つまり自分が話しやすい方向へ話を持っていく方法です。
話している最中は、緊張もあって冷静に考えられません。しかし、あとでゆっくり振り返ると、「こう話せばよかったのか」という切り抜け方に意外と気づけるものです。記憶が新しいうちのほうが気づきは多いので、振り返りはできれば練習の直後に行うとよいでしょう。
話の展開の仕方は特定の質問に縛られないので、一度身につければ別のトピックにもそのまま応用できます。同じ質問に当たる確率が低くても効果を持ち越せる、という点が表現のインプットとの大きな違いです。
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03振り返りの例①:Yesと答えたあとの展開を考える
ここからは、実際に聞かれそうな質問を例に、振り返りの進め方を見ていきます。まずは次の質問です。
Do you think rules are important in daily life?
Yes, I believe rules are important in daily life.
最初の一言までは言えたものの、そのあとが続かず沈黙してしまった。そんな場面を想像してください。振り返りでは、この続きにどんな展開がありえたかを考えます。たとえば次のような入り口があります。
- 自分の身近な話に引き寄せる:Actually, I'm a uni student, so there are a couple of important rules I have to follow. For example, …
- 具体例に落とす:For example, there are many traffic rules that help prevent accidents.
- 場面を設定して話し始める:When you drive, for example, …
どれも難しい表現は使っていません。振り返りのときに「このように話を展開すればもう少し気楽に話せたかも」と思えれば、その振り返りは正解です。次に似た形の質問に出会ったとき、同じ入り口がそのまま使えます。
04振り返りの例②:Noと答えて話が終わりそうなとき
もう一つ、答えに困りやすいパターンを見てみます。
Is there a rule you think is unnecessary or unfair?
No, not that I'm aware of.
「思い当たるものがない」と正直に答えるのは自然なことですが、できればここで話を終わらせたくありません。Noと答えたあとに話を続ける方法も、振り返りで用意しておけます。
- 考え直してみせる:On second thought, …(考え直してみると)と続けて、思い直したことにして例を挙げる
- 他の人の意見を借りる:But I know some people feel that some rules are too strict. のように、自分には思い当たらなくても、そう感じている人の話につなげる
自分の意見がすぐに出てこない質問でも、視点を少しずらせば話は続けられます。こうした逃げ道は、話している最中にはなかなか思いつけませんが、振り返りの中でなら落ち着いて見つけられます。
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05まとめ
スピーキングで失敗するときは、質問に真っ正面から答えようとして行き詰まっている場合が多いものです。振り返りの目的は、模範解答を暗記することではなく、回答に困る質問に出くわしたときの身のかわし方を身につけることにあります。
- 振り返りは記憶が新しい練習の直後に行う
- うまく話せなかった質問に戻り、「どう展開すればもっと話せたか」を考える
- 自分が話しやすい方向へ持っていく入り口(Actually / For example / On second thought など)を書き出す
- 表現のインプットは長期的な積み重ねとして並行して続ける
まずは今日の練習から、うまく話せなかった質問を一つ選んで振り返ってみてください。「このように展開すればもう少し気楽に話せたかも」と思えた気づきが、次の練習で使える引き出しになります。