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感情ではなく、理由で説得する

感情論に頼らない論理的な議論の構築

感情論に頼らない論理的な議論の構築
「若者たちが怒っているから、この規制は撤廃すべきだ」「可哀想だから、保護すべきだ」。このような感情論は、一見すると説得力があるように思えますが、IELTSライティングにおいては論理的整合性を欠いた議論となることがあります。

この記事では、感情論と論理的議論の違いを明確にし、具体的な事例を通じて、説得力のある議論を展開するための重要なポイントを解説します。

感情論とは何か

感情論とは、論理的根拠や客観的証拠ではなく、感情的な反応や共感を基に結論を導く議論のことを指します。

感情論の典型的なパターン




よく見られる感情論のパターン


「怒っているから、やめるべきだ」
「可哀想だから、助けるべきだ」
「不安に感じるから、禁止すべきだ」
「楽しいから、続けるべきだ」


これらの議論は、一見すると正しそうに見えますが、感情そのものが結論の根拠となっており、論理的なつながりに欠けている場合があるのです。

なぜ感情論は問題なのか



感情は人間にとって重要な要素ですが、感情だけでは行動の正当性を示す(根拠を示す)ことはできません。なぜなら、感情は主観的であり、人によって感じ方が異なる上、状況によっても変化するからです。


感情論の問題点


主観的で、人によって感じ方が異なる
客観的な根拠がない
状況によっても変化する

感情論と論理的議論の違い

感情論と論理的議論の違いを、具体例で見てみましょう。

感情論に基づく議論




感情論に基づく議論


The government should abolish the new social media ban for young people because they are frustrated about it. They express strong emotions about the policy, and some of them have even organised protests.

若者たちがこの新しいソーシャルメディア禁止に不満を抱いているので、政府は禁止を廃止すべきです。彼らは政策について強い感情を表明しており、一部の若者は抗議活動さえ組織しています。


この議論は「不満を抱いている」「強い感情」という感情を根拠にしていますが、なぜその規制が不適切なのか、どのような悪影響があるのかという論理的説明がありません

論理的根拠に基づく議論




論理的根拠に基づく議論


The government should reconsider the new social media ban for young people because it infringes on fundamental freedoms without providing clear evidence of benefit. While the policy aims to protect young people from online harms, a complete ban may drive them to unregulated platforms where risks are even higher.

政府はこの新しい若者向けソーシャルメディア禁止を再考すべきです。なぜなら、明確な利益の証拠を提供することなく、基本的自由を侵害しているからです。この政策は若者をオンラインの害から保護することを目的としていますが、完全な禁止は彼らをリスクがさらに高い規制されていないプラットフォームに追いやる可能性があります。


一方この議論では、感情ではなく、より客観的な根拠(基本的自由の侵害、明確な証拠の欠如、予想される逆効果)に基づいて議論されていることがわかります。

日本の熊駆除問題

もう一つの実例として、日本で議論されている熊駆除の問題を見てみましょう。

背景



日本では、熊が人里に出没し、人間を襲う事件が増加しています。これに対して、駆除が行われるたびに「熊が可哀想」という意見が出されます。熊が人間を襲うという現象自体は、人間活動が熊の生息地を侵食した結果という側面もあり、私自身も主観的には「熊が可哀想」という感情に共感する部分があります。一方で、熊を駆除すべきかどうか、という議論をするのであれば、そのような感情論は一旦脇に置いて、論理的に考える必要があります。

感情論に基づく議論




感情論の例


The government should not cull bears because these animals are innocent and it is cruel to kill them. Bears are pitiful creatures that deserve our sympathy and protection.

政府は熊を駆除すべきではありません。なぜなら、これらの動物は無実であり、殺すのは残酷だからです。熊は私たちの同情と保護に値する哀れな生き物です。


「可哀想」という感情が根拠となっていますが、人間の安全という対立する価値をどう扱うかについての説明がありません

論理的議論に基づく主張




論理的議論に基づく主張


The government should not cull bears because this approach may not be the most effective long-term solution. Bear attacks have increased primarily because human development has encroached on their natural habitat, forcing them to seek food in populated areas. Without addressing this root cause, culling will only provide temporary relief while the underlying problem persists. A more sustainable approach would involve improved waste management systems that do not attract bears, installation of electric fences around high-risk areas, and public education about avoiding bear encounters. Such preventive measures have proven successful in other countries and can protect both human safety and wildlife populations.

政府は熊を駆除すべきではありません。なぜなら、このアプローチは最も効果的な長期的解決策ではない可能性があるからです。熊の攻撃が増加したのは、主に人間の開発が彼らの自然生息地を侵食し、人口密集地域で食物を探すことを余儀なくさせたためです。この根本原因に対処しなければ、駆除は根本的な問題が持続する中で一時的な救済を提供するだけです。より持続可能なアプローチは、熊を引き寄せない改善された廃棄物管理システム、高リスク地域周辺への電気柵の設置、熊との遭遇を避けるための公教育を含むでしょう。このような予防措置は他国で成功が証明されており、人間の安全と野生動物の個体数の両方を保護できます。


「可哀想」という感情ではなく、根本原因の分析(生息地の侵食)、現行アプローチの限界(一時的な救済)、代替案の提示(予防措置)、実証例(他国の成功事例)という論理的根拠に基づいています。

なぜ感情論は論理的整合性を欠くのか

感情論が論理的整合性を欠く理由を整理しましょう。

理由①:因果関係の欠如



「怒っているから禁止すべき」「可哀想だから保護すべき」という議論では、感情の存在と行動の正当性の間に因果関係がありません


因果関係の欠如の例


前提:若者が怒っている
結論:規制を撤廃すべきである

「怒り」と「規制の適切性」の間に論理的なつながりがありません。怒りは不満の表明ですが、それだけでは規制が不適切である理由にはなりません。


理由②:対立する価値の無視



感情論は、しばしば対立する価値や利害を無視します


対立する価値の無視の例


「熊が可哀想だから駆除すべきでない」という主張は、熊への同情という一つの価値のみに焦点を当てています。

しかし、襲われた人間の安全をどう考えるのか、という別の重要な視点が抜け落ちています。感情論でいうなら、襲われた人間も可哀想という議論が出てきても不思議ではありません。論理的な議論では、複数の価値が対立する場合、それらをどのように比較考量するかを説明する必要があります。


理由③:主観性と普遍性の混同



感情は主観的なものですが、感情論はそれを普遍的な判断基準であるかのように扱いがちです。


主観性と普遍性の混同の例


「可哀想」という感情は、人によって対象や程度が異なります。ある人は熊を可哀想だと思い、別の人は襲われた人間を可哀想だと思うかもしれません。

主観的な感情を政策決定の根拠とすると、どの感情を優先すべきかという新たな問題が生じます。論理的議論では、客観的に検証可能な根拠に基づく必要があります。

感情論を論理的議論に変換する方法

では、感情論を論理的議論に変換するにはどうすればよいでしょうか。

ステップ①:感情の背後にある実質的な懸念を特定する



感情的反応の背後には、通常、実質的な懸念や価値があります。それを明確にしましょう。


感情から実質的懸念への変換


感情論:「若者が怒っているから、規制を撤廃すべきだ」

実質的懸念:若者の怒りの背後には何があるのか?
 → コミュニケーション手段の制限
 → 社会的孤立への懸念
 → 自由の制限
 → 実効性への疑問


ステップ②:客観的な根拠を探す



感情ではなく、客観的に検証可能な根拠に基づいて議論を構築します。


客観的根拠の例


研究データ(他国での同様の政策の効果)
実務的な問題(執行の困難さ、技術的制約)
論理的帰結(予想される結果、副作用)
代替案の比較(他の選択肢との優劣)


ステップ③:対立する価値を認識し、比較考量する



複数の価値が対立する場合、それらを明示的に認識し、どのように比較考量するかを説明します。


価値の比較考量の例


熊駆除の問題では、「野生動物の保護」と「人間の安全」という二つの価値が対立します。

論理的アプローチ:
 1. 両方の価値を明示的に認識する
 2. それぞれの価値を実現する方法を検討する
 3. 両方を最大限実現できる解決策を探す
 4. どうしても選択が必要な場合、その理由を説明する

まとめ

感情論と論理的議論の違い、そして感情論を論理的議論に変換する方法について解説しました。

IELTSライティング・タスク2では、感情的反応ではなく、論理的根拠に基づいた議論を展開することが求められます。「怒っているから」「可哀想だから」という感情論は、一見説得力があるように見えても、論理的整合性を欠いた議論となってしまいます。

論理的な議論を構築するためには、感情の背後にある実質的な懸念を特定し、客観的な根拠を用いて説明し、対立する価値を適切に比較考量する必要があります。


重要なポイントのまとめ


感情論は主観的で、論理的整合性を欠く
感情の背後にある実質的な懸念を特定する
客観的に検証可能な根拠に基づいて議論を構築する
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Mika

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Rui

この記事を書いた人

Rui Atsue

プラスワンポイントの創業メンバーであるMika先生とともに、日々IELTS対策記事や動画の制作に力を入れています。最新のトレンドや効果的な学習法を読者にわかりやすく伝えることを心掛け、学生や社会人問わず、多くの受験者に貢献してきました。現在は、ニュースレターの編集をメインに担当し、読者が常に新鮮な情報を得られるよう努めています。受験者一人ひとりの目標に寄り添い、実現に向けてサポートしています。

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