IELTSライティング・タスク2には、社会的な問題などに対して異なる立場の2つの意見が提示され、「Discuss both views and give your own opinion.」と問われる問題タイプがあります。「両方の意見を考察し、さらに自分の意見を述べなさい」という指示ですが、このタイプは「両方の意見に触れなければならない」という点で、他のタイプとは少し異なるアプローチが求められます。
この記事では、Discuss both views タイプで求められていることの整理から、意見のすり替えを防ぐための注意点、イントロダクションの書き方、ボディの展開方法まで、効果的なエッセイの書き方を解説します。
総論
問題タイプ6分類と構成パターン
目次
Discuss both views で求めていること
与えられた意見を「そのまま」考察する
イントロダクションにポジションを明示する
ボディの書き方
反論への反駁は必要か?
このタイプでよくある失敗
よくある質問
まとめ
01 Discuss both views で求めていること
このタイプのタスクを正しく答えるには、3つのことが求められています。
Discuss both views が求めていること
意見1を考察する(問題文で示された一方の見解を論じる)
意見2を考察する(問題文で示されたもう一方の見解を論じる)
自分の意見を述べる(どちらの見解に同意するかを明示する)
この3つがすべて含まれていることがタスクを完全に達成するための条件です。どれかひとつでも欠けると、タスクへの応答が不十分と判断されます。
タスクの例を見てみましょう。
タスクの例
Some people say that online study is the most effective and convenient way to learn. Others believe that online study will never be as effective as learning at school, or in person. Discuss both views and give your own opinion.
オンライン学習が学習の最も効果的で便利な方法だと言う人がいます。一方、オンライン学習は学校や対面での学習と同じくらい効果的になることはないと考える人もいます。両方の意見について考察し、あなた自身の意見を述べなさい。
この例では、「オンライン学習が最も効果的かつ便利な方法である」という意見と、「オンライン学習は対面学習ほど効果的にはなれない」という意見の、2つが与えられています。
02 与えられた意見を「そのまま」考察する
Discuss both views タイプで特に注意が必要なのが、与えられた意見を正確に考察することです。特に問題文に含まれる限定的な表現(「always」「never」「the most」など)を見落として、意図せず別の意見を考察してしまうケースがよくあります。
先ほどの例で確認してみましょう。問題文で示されている意見は、online study is the most effective and convenient way to learn です。「最も効果的で便利」という表現が含まれています。
この場合、online study is one of the effective ways to learn(オンライン学習は効果的な方法のひとつ)を考察しても、元の意見を十分に考察したことにはなりません。
意見のすり替えに注意
問題文の意見
online study is the most effective and convenient way to learn
すり替えた意見
online study is one of the effective ways to learn
問題点
「最も効果的な方法」と「効果的な方法のひとつ」は主張の強さが異なります。後者を考察しても、前者を完全に考察したことにはなりません。
このような意見のすり替えは、特に譲歩をする場面でも起こりがちです。「確かにオンライン学習にも良い点はあります」と一定の価値を認めながら書くとき、「the most」という限定をいつの間にか外した形で書いてしまうことがあります。問題文を何度も確認し、限定的な表現を意識しながらエッセイを書くようにしましょう。
03 イントロダクションにポジションを明示する
Discuss both views タイプのイントロダクションでは、次のような形が使われることがあります。
This essay will discuss both these views and argue that online learning has its limitations.
これは「このエッセイでは両方の意見を考察し、〜を主張する」という内容を予告するアウトライン文です。この書き方でも間違いではありませんが、できるだけイントロダクションの中で明確にポジションを示しておくことを推奨します。
イントロでポジションを明示すべき理由は、主に3つあります。
イントロでポジションを明示する3つの理由
1
首尾一貫性を保ちやすい
ポジションを明示することで、「次に何を書くか」が自然と決まります。ボディを書く前にポジションが決まっているため、各段落で何を主張すべきかが明確になり、書きながら迷う場面が少なくなります。そのため overall progression を整えやすくなります。
2
読み手がフォローしやすい
最初から書き手のポジションがわかっていると、読み手はそれを念頭に置きながら各段落を読み進めることができます。エッセイ全体の流れが伝わりやすくなります。
3
意見の考察と自分の主張をまとめて書くことができる
イントロダクションにポジションを明示することで、ボディの1つを「自分の主張」として書くことができます。それにより、3つあったはずのタスクのうち、2つを同時に達成することができます。
ポジションを明示したイントロダクションの例としては、次のような形が考えられます。
While some argue that online study is the most effective way to learn, I believe that in-person learning remains superior for developing deeper understanding and interpersonal skills.
こうすることで、読み手は「この筆者は対面学習の方が優れていると考えている」とすぐに把握でき、エッセイ全体を通じた論旨が明確になります。
04 ボディの書き方
Discuss both views タイプのボディには、次のような書き方がよく見られます。
ボディ1
On one hand, ...
ボディ2
On the other hand, ...
あるいは、
ボディ1
Some people believe that...
ボディ2
Others argue that...
このスタイルは、イントロダクションでポジションを決めず、客観的に両方の意見を考察したうえで、結論段落で最終的な判断を示すアプローチです。
ただし、この記事ではイントロでポジションを明示することを推奨しているため、ボディの書き方も自然と異なります。ポジションが決まっているのであれば、ボディは「対立意見の考察」と「自分の主張の展開」という形で組み立てます。
基本構成
Body 1
対立意見の考察
Some may argue that [意見1] because [メインアイデア].
Body 2
自分の主張
However, I believe that [意見2] because [メインアイデア].
Body 1 では問題文で示された一方の意見(自分が同意しない側)を考察し、Body 2 では自分が同意する意見を展開します。この構成によって、「両方の意見を考察した(Body 1)」「自分の意見を述べた(Body 2)」というタスクの要件を満たすことができます。
05 反論への反駁は必要か?
Body 1 で対立意見を考察したあとに、その意見への反駁(counter-argument)を加えるべきかどうかという疑問があります。
答えは「アイデアの強さによります」。
反駁が必要かどうかの基準
反駁が不要な場合: Body 2 で展開する自分の主張が十分に強く、対立意見を上回るアイデアがある場合。自分の論拠が明確であれば、反駁なしでもエッセイの論旨は成立します。
反駁があった方がよい場合: 対立意見と自分の主張が均衡しており、読み手がどちらを支持するか判断しにくい場合。反駁を加えることで、自分のポジションをより鮮明に示すことができます。
反駁を加える場合は、反論(対立意見)を考察する段落の後半に、その問題点や限界を考察したり、解決策を提案したりすることで反論(対立意見)のアイデアの強さを弱めておくことが大切です。
ただし、反駁を加えると一般的にはエッセイの構成は複雑になります。そのため、エッセイ全体の構成を乱すリスクも伴います。慣れるまでは、まずは基本構成(Body 1: 対立意見、Body 2: 自分の主張)を確実に書けるようにしてから、余裕があれば反駁を加えることを検討するといいでしょう。
06 このタイプでよくある失敗
Discuss both views タイプは、求められている要素が3つある分、取りこぼしが起きやすいタイプです。
失敗1:自分の意見を書き忘れる
2つの意見を丁寧に考察したものの、どちらを支持するのかを最後まで書かずに終えてしまうパターンです。give your own opinion は独立した要件なので、これが無いとタスクへの応答が不十分になります。
失敗2:2つの意見が対立していない
問題文の2つの意見を自分の言葉に置き換えるうちに、両方とも同じ方向の主張になってしまうことがあります。書き終えたら、ボディ1とボディ2のトピックセンテンスを並べて、本当に対立しているかを確認しましょう。
失敗3:どちらの意見も同じだけ支持してしまう
両方の意見を公平に扱おうとするあまり、「どちらにも一理ある」で終わってしまうパターンです。両方を考察することと、どちらを支持するかを示すことは別の話です。
失敗4:問題文にない第三の意見を持ち出す
「実際には両方を組み合わせるのがよい」のように、問題文に無い立場を自分の意見として出してしまうケースです。与えられた2つの意見のどちらを支持するかを示すのが原則で、独自の折衷案を主張の中心に据えると、与えられた意見への考察が薄くなります。
07 よくある質問
Discuss both views タイプでワンサイドの構成は使えますか。
使えません。問題文で示された2つの意見の両方を考察したうえで、自分の意見を述べることが求められます。「意見1の考察」「意見2の考察」「自分の意見」の3つのうちどれかが欠けると、タスクへの応答が不十分と判断されます。
自分の意見はイントロダクションで示すべきですか、結論まで取っておくべきですか。
イントロダクションで明示することを勧めます。ポジションが先に決まっていれば各段落で何を書くべきかが定まり、首尾一貫性を保ちやすくなります。また、ボディの一方を「自分の主張」として書けるため、3つの要件のうち2つを同時に満たせます。
「両方の意見を考察する」とは、それぞれに1段落ずつ使うということですか。
基本はそのとおりです。イントロダクションでポジションを示す場合は、Body 1で自分が同意しない側の意見を考察し、Body 2で自分が同意する意見を展開します。この形で「両方の意見の考察」と「自分の意見」の両方を満たすことができます。
問題文の意見を自分の言葉に置き換えて考察してもよいですか。
言い換えは必要ですが、主張の強さまで変えてはいけません。the most effective way を one of the effective ways のように弱めてしまうと、元の意見とは別の意見を考察したことになります。always、never、the most などの限定的な表現には特に注意してください。
対立意見への反駁は必ず必要ですか。
必須ではありません。Body 2で展開する自分の主張が十分に強ければ、反駁なしでも論旨は成立します。対立意見と自分の主張が均衡していて、読み手がどちらを支持するか判断しにくい場合には、反駁を加えると立場が鮮明になります。ただし構成は複雑になるため、基本構成を確実に書けるようになってから検討しましょう。
譲歩をするときに気をつけることは何ですか。
譲歩の場面は、意見のすり替えが最も起きやすい場所です。「確かにオンライン学習にも良い点はある」と書いているうちに、問題文にあった限定表現がいつの間にか外れてしまうことがあります。書きながら問題文を何度も確認してください。
On one hand / On the other hand で書き始める形は使ってよいですか。
使えます。これはイントロダクションでポジションを決めず、両方の意見を客観的に考察したうえで、結論段落で最終的な判断を示すアプローチです。ただしこの記事では、イントロダクションでポジションを明示し、Body 1で対立意見、Body 2で自分の主張という構成を勧めています。
08 まとめ
Discuss both views タイプの問題を正しく攻略するためのポイントをまとめます。
求められているタスクは3つ(意見1の考察、意見2の考察、自分の意見)
問題文の限定的な表現(always, never, the most など)を見落とさない
譲歩の場面で意見がすり替わっていないかを確認する
イントロダクションでポジションを明示することで、首尾一貫したエッセイになる
ボディは「対立意見の考察」「自分の主張」の2段落で展開するのが基本
反駁は必須ではないが、アイデアが均衡する場合には検討する