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ライティング・タスク2

ボディ1とボディ2で話の重複を避ける

ライティングタスク2には、1つのタスクの中に2つの質問が含まれている問題タイプ(プラスワンポイントでは「ダブルクエスチョン」タイプと呼んでいます)があります。中でも、「Why do you think this is the case? Does it have a positive or negative impact on ...?」 のように、理由と影響の両方を問う形式では、ボディ1(理由)とボディ2(影響)の内容が実質的に同じになってしまうという問題が起こります。自分では別のことを書いているつもりでも、読み返してみると、同じ議論を繰り返しているように見えてしまうことがあります。

この記事では、タスクを例に取りながら、アイデアの重複が起きる仕組みと、その解決策を段階的に解説します。

01典型的な失敗パターン

まず、どのような場合にアイデアの重複が起きるのかを見てみましょう。

今回のタスク

Some countries invest a significant amount of money in promoting the use of bicycles. Why do you think this is the case? Does it have a positive or a negative impact on individuals and the society?

ボディ1(理由)
  • 自転車通勤が広まれば国民の健康が改善されるため、政府は自転車を推進している。
  • 自動車による排気ガスが減るため、政府は環境対策として自転車を支援している。
ボディ2(影響)
  • 自転車が普及すると、人々の健康が向上するというポジティブな影響がある。
  • 自転車の利用が増えれば、大気汚染が減り、環境に良い影響を与える。

これは、ボディ1とボディ2で議論が繰り返しになってしまった「失敗パターン」です。

ボディ1とボディ2で議論をしている内容(示しているアイデア)がほぼ同じことを議論していることが分かります。「健康が改善される」「排気ガスが減る」というアイデアが、「理由」の段落(ボディ1)でも「影響」の段落(ボディ2)でも繰り返されています。

02失敗が起こりやすい問題の組み合わせ

ダブルクエスチョンには、さまざまな問題の組み合わせがあります。アイデアの重複がどのくらい起こりやすいかは、その組み合わせによって変わります。

問題の組み合わせ アイデアの重複
原因+解決策 起こりにくい
原因+影響 起こりやすい
問題点+影響 起こりやすい
問題点+解決策 起こりにくい

「原因+影響」の組み合わせには、"What effects does this have on society?" のような影響を直接問う形式もありますが、"Is this a positive or negative development?" のようなポジネガ評価を問う形式もあります。どちらの場合も、アイデアの重複には注意が必要です。

ダブルクエスチョンタイプの問題の構成については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事 ダブルクエスチョンタイプの答え方

03なぜ「繰り返し」になってしまうのか

確かに、何らかの行動をとる「理由」をつきつめて考えていくと、それは将来的によい「影響」を期待しているからであり、「理由=影響」となってしまうのはある意味当然なのかもしれません。「政府が期待していること」はそのまま「実際に起きる影響」でもあるわけです。

今回のタスクであれば「健康増進のために政府が投資している」という理由は、「自転車が普及すれば健康が改善される」という影響と表裏一体になっています。つまり、理由と影響は本質的に同じコインの裏表であるため、何も意識しなければ自然に重複してしまうのです。

この繰り返しを避けるためには、まず、理由と影響の「視点」が異なることを意識する必要があります。

視点 主体 考察する内容
理由(Body 1) 政府・政策立案者 なぜ投資するという意思決定をするのか
影響(Body 2) 個人・社会 実際に自転車が普及すると何が起きるか

この視点の違いを意識すると、先ほどの「重なり」はどう変わるでしょうか。

ボディ1(理由):政府の意思決定として書く
  • 自転車通勤が普及すれば生活習慣病の発症率が下がり、国の医療費負担が軽減される。このコスト削減効果が、政府の狙い。
  • 国際的な気候目標を達成するプレッシャーを受けている政府にとって、自転車促進は現実的かつ政治的に実行しやすい手段である。
ボディ2(影響):個人・社会に起きる変化として書く
  • 毎日の通勤に自転車を取り入れることで、運動を習慣化できる。ストレス軽減、睡眠の質向上、心肺機能の改善といった効果も期待できる。
  • 自転車で移動する人は車と比べてスピードが落ち、地元の商店やカフェに立ち寄る頻度が上がる。これが地域経済を底上げし、コミュニティの一体感を高める。

ボディ1 は「なぜ政府が投資を決断するのか(財政的インセンティブ・政治的な事情)」、ボディ2 は「実際に何が変わるか(個人の生活・地域の変化)」として書き分けられています。健康と環境という同じテーマを扱いながらも、視点が異なるため、アイデアが重複しません。

04現状の問題を考察し、理由に含める

理由と影響が同じ話にならないようにするもう一つの方法は、理由の考察では「現状の分析(前提の共有)」もしっかり行っておくということです。

「なぜ今は自転車が使われていないのか」という現状の問題を考察しておくことで、「だからこそ政府の投資をすれば効果が期待できる」という論理の流れを自然につくりやすくなります。

自転車が普及しない現状の障壁
  • 専用レーンがなく、車道を走ることへの危険性が高い。
  • 駅や職場周辺の駐輪場が不足しており、通勤での利用が現実的でない。

こうした障壁があるからこそ、政府が積極的に投資して環境を整えることで利用を促すことができると思う論拠が生まれるわけですね。このような説明がないと、「車を使っている人は、仮に自転車レーンができても自転車を使うとは限らないよね?」と反論したくなるわけです。

05実例:ボディ1(政府が意思決定をする理由)

では、今回のタスクを使ってプランニングを実際に行っていきましょう。

ボディ1では、政府が「なぜそのような意思決定をしたか」という視点で書きます。財政的インセンティブや政策目標を前面に出すと、単なる効果の列挙とは異なる議論になります。

公衆衛生の観点

自転車通勤が普及すれば生活習慣病の発症率が下がり、国の医療費負担が軽減される。これは政府にとって財政上の直接的なメリット。

環境対策の観点

自動車は都市部の大気汚染や温室効果ガスの主要な排出源。国際的な気候目標を達成するプレッシャーを受けている政府にとって、自転車促進は現実的かつ政治的に実行しやすい手段。

前提の共有

多くの人は健康のために自転車を使いたいと思っているが、安全面や施設面(駅前の駐輪場の不足など)を理由に、利用をためらっている。

06実例:ボディ2(個人と社会への実際の影響)

ボディ2では、実際に自転車が普及した場合に「何が変わるか」という視点で書きます。主語を「政府の意図」から「個人・社会の変化」へと切り替えることが重要です。

個人レベル(健康)

忙しい人でも気軽に運動ができるようになる。ストレスも軽減され、メンタル状態の改善も期待でき、全体的に生活の質が向上する。

社会レベル(地域コミュニティの活性化)

車移動と比べて自転車はスピードが落ち、周囲に目が向きやすくなる。その結果、地元の商店やカフェに立ち寄る頻度が上がり、地域経済の底上げにつながる。また、自転車専用レーンやシェアサイクルの整備は、街全体をより安全で住みやすい空間にする。

07モデルアンサー

Some countries invest significant amounts of money in promoting the use of bicycles. This essay will argue that governments do so primarily for health and environmental reasons, and that this trend has an overall positive impact on both individuals and society.

Governments promote cycling because of the health and environmental benefits it offers. From a public health perspective, higher rates of cycling can reduce the prevalence of lifestyle-related diseases such as diabetes, thereby lowering the burden on national healthcare systems. From an environmental standpoint, private vehicles remain one of the leading sources of urban air pollution and greenhouse gas emissions, and governments under pressure to meet international climate targets view cycling promotion as an effective measure. Since many people are already willing to cycle but are deterred by safety concerns or inadequate infrastructure, such as a shortage of secure bicycle parking, governments believe that addressing these barriers is a worthwhile investment.

When cycling becomes more widespread, meaningful changes occur at both the individual and societal levels. For individuals, quality of life improves as cycling becomes a practical way to incorporate regular exercise into a busy daily routine. It also helps reduce stress and improve mental well-being. At the societal level, cycling can revitalise local communities. Unlike car travel, cycling encourages people to slow down and engage with their surroundings, making them more likely to stop at local shops and cafes, thereby boosting local economic activity. Furthermore, investment in dedicated cycling lanes and shared bicycle schemes makes urban environments safer and more pleasant for all residents.

In conclusion, governments invest in cycling promotion for health and environmental reasons, and when these efforts succeed, the benefits extend to individuals and local communities alike. I therefore consider this trend to be a positive development.

08まとめ

ダブルクエスチョン形式でボディが重複してしまう根本的な原因は、理由と影響が本来つながっているからです。これを書き分けるためのカギは、誰の視点で書くかを明確にすることです。

ボディ1では「なぜ意思決定者がそう判断したのか」という意図の論理を、ボディ2では「実際に社会や個人に何が起きるのか」という変化の記述を書く。同じテーマを扱っていても、視点が異なれば内容は重複しません。

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Hibiki Takahashi

この記事を書いた人

Hibiki Takahashi

日本語で学ぶIELTS対策専門スクール『PlusOnePoint(プラスワンポイント)』創設者・代表。『英語ライティングの鬼100則』(明日香出版社)著者。1997年に大阪大学医学部を卒業後、麻酔科専門医として活躍。2012年渡豪時に自身が苦労をした経験から、日本人を対象にIELTS対策のサービスを複数展開。難しい文法・語彙を駆使するのではなく、シンプルな表現とアイデアで論理性・明瞭性のあるライティングを指導している。これまでの利用者は4,500名を超え、Twitterで実施した「12週間チャレンジ」では、わずか4週間で7.0、7週間で7.5など、参加者4名全員が短期間でライティングスコア7.0以上を達成(うち2名は7.5を達成)。「IELTSライティングの鬼」の異名を持つ。オーストラリア在住14年、IELTS 8.5(ライティング 8.0)、CEFR C2。

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